新釈 四畳半襖の下張 | 今日も定時ダッシュ

新釈 四畳半襖の下張

 永井荷風作とされる発禁本を、自分は随分長い間、野坂昭如が書いた「四畳半畳の前貼り」だと勘違いしていた。畳の前貼りって何だよと自分でも思うのだが、それじゃあ襖の下張とは何なのか未だに分からないので勘違いしてもしょうがない(だって襖の前貼りじゃあ余計イミ分かんないじゃーん)として、何故原作が野坂昭如だと思っていたのか疑問だったのだが、四畳半襖の下張事件という裁判があったのだな。どうやらこの事件を何かで見聞きして全部勘違いしたらしい。

 というワケで、もちろんオリジナルなんて知る由もない訳ですが、愛染恭子が監督したこの新釈版は濡れ場が中々よろしゅうございまして、過激さよりも卑猥さの高い、ねっとりした中年向けポルノとして申し分ない出来でございました。放蕩の末に身上を潰す大店のバカぼん役の男優が非常にハマっていて、好色そうなタレ目がスケベさを強調し、三浅一深のストロークも昭和ヒトケタ時代の遊び慣れたテクっぽい。芝居の上では女優を先導しつつ、しっかりと女体のエロさを引き立てている。

 今作でヒロインを務める麻美ゆまは現役のAV女優だそうで、なるほどオッパイにはナミナミならぬタプンタプンした説得力がありますな。ただ、これは製作側の責任なのだが、冒頭のお座敷シーンのアップから肌の疲れ具合がモロにスクリーンに映ってしまってコレはアカンだろうと。愛染恭子はじめ(おそらく)ピンク映画のスタッフが入っているのならば、他がアレでも女優を奇麗に映す技術だけは一般映画以上のものがあるハズなのに。

 で、当の麻美ゆまなんですが、ブログや公式サイトの写真と映画の顔が・・・えらいこと違ってませんか?毎回ビックリするけど、女ってメイクでこんなに変わるもんなの?ブログで見る彼女はとても現代的なかわいらしい感じだけれど、スクリーンの中の彼女は、首をくくろうとする時の思い詰めた表情や、旦那が寄らなくなった寂しさで泣き崩れる様子がとても似合う薄幸な女としてしっかり映画に溶け込んでいたと思う。

 役者の衣装も当時の風俗に合わせた感じだし、ヒロインもきっちりと日本髪を結っており、何より製作費が一般映画よりもゼロ一つ(か二つ)少ない筈のこの映画で、全編に渡って現代の風景を完全に閉め出したのは立派だと思う。それだけに、麻美ゆまのアップが奇麗に撮られていないのが物凄く勿体ない。

こんなヒトにオススメ:ピンク映画を基準にすれば、今作はとても上等なんじゃないかと。