ラブリーボーン | 今日も定時ダッシュ

ラブリーボーン

 ピーター・ジャクソンが監督し、スピルバーグがプロデュースというコンビは、広範囲な世代に「なんだかスゴそう」と期待させる布陣で、どっちもど真ん中の自分は大いに期待したのだけれど、まさかピージャックといっても「乙女の祈り」に連なる乙女チックで繊細な特殊効果と、まさかスピルバーグといってもドリームワークス製作ってだけのつながり(実際は知らんが)だったとは。

 天国とこの世との派境のビジュアルは確かに印象的だけれど、その辺りから予想したものとは違うぞ?と感じ、それじゃあ一体自分は何を期待していたのかというと、要は「ゴースト」なのだということに気付いて、「20年も経ってゴーストのパクリはサスガにやらないだろう」と思い至りました。

 この映画のように、理不尽に襲われた不幸な出来事に対して、単純に復讐することだけが道なのではないという映画がこれまでにも無い訳ではなかったが、それを子供の目線で語る切り口が「ラブリーボーン」が独特な点ではないかと思う。そういう意味でこの映画は従来のハリウッド映画のパターンから色々逸脱しているのだが、それならそれでもっと殺された少女がどんな形で救済されるのかというポイントをストレートに観客に見せたほうが良かったように思う。この映画は従来のハリウッド的展開をするように見せてサラリとかわすミスリードが多過ぎて、「この映画はゴーストではない」と弁えていたつもりだったのに、自分は最後までこの映画が観客の溜飲を下げるような復讐譚であることを期待してしまった。

 特に最期の金庫の扱いは気を持たせすぎて、もう一方のスーザンがやり残したことを成し遂げるシーンが観ていてイライラするだけだったのはマズいんじゃないだろうか。

 霊的な存在が見える女の子は(「ゴースト」でウーピー・ゴールドバーグが演じた)オダ・メイのような活躍をしないし、トウモロコシ畑が舞台といっても、そこは「フィールド・オブ・ドリームス」のような感傷的な場では全くない。この映画は、ファンタジー的な描写を除くと恐ろしく殺伐とした物語であり、そしてそれこそが現実でもある。今更ながら自分が生きている場所が先の全く見えない恐ろしい場所でるかを思い知らされたような映画でした。

こんな人にオススメ:なんだかモヤモヤとしたい人へ