レッドクリフ part2 | 今日も定時ダッシュ

レッドクリフ part2

 パート1では見せ場の多かった趙雲や関羽など蜀の面々が序盤で映画から外れてしまったこともあり、三国志を彩る英雄たちの群像劇という面持ちは影をひそめてしまいました。代わりに孫権の妹の尚香と周瑜の妻の小喬の呉の女性二人にスポットライトが当たっており、ジョン・ウーは男たちの火を噴くような激しい対決でご飯三杯はイケる監督なのに、まさかのフェミニズム的展開は孔明ですら見抜けなんだに違いない。

 てっきり映画に花を添える程度の存在だと思っていたのに、映画の一番の見所となってしまった小喬が魏の陣営に乗り込むシーン。もうトンでもなく美しい。彼女が一人で乗り込むというのがミソで、これはまるで、小林旭の渡り鳥シリーズで、最後の決闘前に敵のチンピラが脇を埋め尽くす中をギターを弾きながら悠然と歩く小林旭のよう。ものすごくたっぷりタメを持たせて、動きの少ないシーンなのに観る側の興奮をこれでもかと煽っております。その後でお茶を淹れる前に手を拭う仕草がこれまた色っぽい。小喬ラーーーーヴ!

 もう一方の尚香ですが、「小林サッカー」の坊主頭もチャーミングだったのも今は昔、えらいことヴィッキー・チャオが老けてしまっている。ともかく彼女が敵陣に乗り込んでスパイをするくだりで、彼女をテンから男と信じ、知らぬ間にスパイを手伝ってしまう気のいい男が登場するのだが、何となくこの男は、黒澤明の「用心棒」で傷ついた主人公を運ぶ時に騙されて棺桶の片棒を担いだ悪党の手下を思い出した。レッドクリフでは愛嬌とバカっぽさを残して腹立つほどいい人に仕立てた感じで、いくらなんでもここまで阿呆だと嘘臭い。ヴィッキー・チャオの男装が誰にもバレてないのと合わせて、このシーケンスは映画から浮いてしまっている感じがする。

 色々とオリジナル要素を加えても三国志の大枠は変えられないから、史実の通り曹操は大敗するも結局は逃げ延びる。しかしいくら何でもあそこまで追いつめて首を取らないってのは手ぬる過ぎ。これまでのジョン・ウーの映画は男のダンディズムの上に非情さがあってこそ対決に見応えがあったのだが、今回は自己陶酔しっぱなしで終わってしまう。お前らなんのために戦ったんだと。中途半端に終わるくらいならいっそ曹操を殺してしまえ!と思うが、さすがにそれでジョン・ウーを責めるのは違うよなあ。 男同士の対決を描きつつ決着がつけられないという、最後の最後で「実はこの話をジョン・ウーが監督するのは間違っていたのでは?」と思ってしまったのでありました。

こんな人にオススメ:映画を観た後は誰もがリン・チーリン ラーーーーヴ!