突然ですが。今日は、うつの話。


うつの自己チェック
というのをやってみると、
(サイトによって質問項目の違いはありますが)


私の場合、大抵、

『うつの可能性があります。』
もしくは
『中等度のうつ病です』

などと結果が出ます。



ま、今さら驚くようなことではないので、気にしてはいないんですが。








不妊治療をやっている人は皆、多かれ少なかれ、精神的なダメージを受けているはず。


不妊をきっかけに、うつを発症する人も多い。

こんなに苦しい思いをすること人生そうそう無いだろうし、無理もないと思う。





ただ。これは私の、医療従事者のはしくれとしての視点ですが、




うつ、と診断されるのは
ものすごく簡単なこと。


抗うつ薬が処方されるのも
ものすごく簡単なこと、

なんです。


敷居は全然高くない。



心療内科の初診で、症状を話して、いくつか検査をしたら
カウンセリングとか全部すっ飛ばして、
その日にもう抗うつ薬が開始されたりする。


「うつですね。まずは、あなたの言う症状を和らげる薬を、少ない量から試してみましょう」と先生は言う。




もちろんそれは、悪いことではない。


でも、

自分が正式にうつだと診断され、
やっぱりか、とホッとする人もいれば、

まさか自分が‥と落ち込む人もいるはず。



うつの治療は長くかかることが多い。


良くなったからといって急に薬をやめると再発しやすいから、何ヵ月、何年という単位で、薬を調節しながら、リハビリのようにゆっくりと調子を戻していく。
根気のいる、長い付き合いになる。



自分がうつだと知り、薬を飲まなくてはいけない状態だと知り、それを受け入れることだって結構勇気がいる。

そんな風になってしまった弱い自分を責めて、いっそう落ち込む。優しく接してくれる親や友人にも申し訳なくなるし、思い描く未来から道をはずれてしまったことにも絶望する。



病は気から、じゃないけど、
診断されたことがきっかけで、自ら、うつという状態にはまっていってしまう人もいるんじゃないか、

と私は考えたことがあります。





一方で、

どこかの心療内科さんのページで、ほとんどの医師は「うつではない」と診断することに積極的ではないけれど、そういった判断をすることもまた重要である、と書かれていました。


例えば、若い子なら特に、うつではなく、栄養障害が原因で無気力になっていることがある。
我々の頭や体がスムーズに動くには多くのエネルギーが必要だから、エネルギーを生み出すための栄養が不足していると朝も起きられないし、何をする気力もなくなる。

それは、脳に働きかける抗うつ薬で対処しても大して効かない。
でも、効かなければ薬の量が増える。薬の量が増えれば副作用のリスクも上がるし、だんだんと体が薬に依存していく。そこから減らしていくのにも余計に時間がかかる。
うつから抜け出すのが大変になっていく。



うつが現代病となった今では、受診や治療のハードルも随分低くなっている。
10代の子だって薬局でも結構見かける。

一人で我慢して辛くなるくらいなら、
受診して薬を貰って安心する、
そっちのほうがずっといい。


本当にうつ病なら、それは脳の神経が関与するれっきとした病気だから、気の持ちようでは絶対に治らない。
薬による治療は必須だし、長くなるけどそれが一番の近道。

それだけはきちんと知ってもらいたい。

だから、気軽に受診できるのはいいことだと思う。



ただ全員が全員、うつではない。
薬を飲めば、それですべて解決してくれる、ということではない。


この判断は難しいところだと思います。











話は変わって。



私が精神科の門前薬局で働いていた頃、向精神薬を何種類も飲んでいて結構重症な精神疾患をもつ女性の患者さんがいました。確か30代の終わりか40代前半だったと思います。精神不安定で、イライラしたり、落ち込んだりと気分の波がとにかく激しいといった症状がありました。


その患者さんがある時、妊娠したんです。

結婚していて、元々妊娠希望がある事は知っていたのですが、今の状況ではとても産めないだろうと私は思っていました。


日が経ち、お腹は少しずつ大きくなっていきますが、精神科の薬は一向に減りません。
定期薬に加えて頓服薬が必要なほど、状態は不安定のまま。処方薬の中には、妊婦には勧められない薬、つまり妊婦と胎児への安全性が確立されていない薬もありました。


私はそんな状況に疑問に思っていましたが、精神科の先生ももちろん妊娠を知っているし、産婦人科の先生も精神科で治療していることは了承済みで経過を見ているとのこと。

今、精神科の薬を中止したほうが患者が危ないといった判断だったようです。
調子悪い時は自殺もしかねない状態だったので。

だから私も先生方の意図に従い、服薬指導を続けました。
内心では、絶対に胎児に何らかの影響が出るだろうと思っていましたけど。



数ヶ月後、ベビーカーに赤ちゃんを乗せて患者さんが来局されました。


話を聞いていると、赤ちゃんは何の異常もなく元気に産まれてきた様子。

しかも、母乳も与えているとのこと。



色々と、、驚きました。



私が異動になったので、
それから先のことは分かりません。



そういった例もあった、というお話でした。





ちなみに。
妊娠中に飲めない薬のうち、「安全性が確立されていないため」という曖昧な理由のものも多くあります。


母親に薬を飲ませて胎児に異常が出るかを人間で確かめることは倫理的に難しい。何十年と先までその経過を追うことはもっと難しい。
過去の例や、動物実験においてこういった影響が出ますときちんと報告されているものもありますが、そうでないものもある、と知っていてもらえたら有難いです。


薬剤師も分からないこと多いんです(^-^;


あとは、胎児に影響出るリスクはあるけれど、それ以上に治療の有益性が上回るだろう場合には、医師判断のもと薬が使われたりもします。




どんな薬にもベネフィットの裏にはリスクがある。
不要な薬は、使わないに越したことない。


風邪だって、細菌による合併症のリスクがあるケース以外は、抗生剤は無意味です。風邪は大半がウイルスが原因、一方で抗生剤は細菌をやっつけるもの。ウイルスには無効なんです。過剰な使用は耐性菌を生み出すリスクにしかなりません。いざという時に全く効かない、という事態を招きかねないわけです。





医療、薬の進歩は人類の努力の賜物ですが、健康を維持するための大前提としては、日頃の生活習慣が何より重要だと感じます。

自らを律するってのは、とてつもなく大変なことなんですけどね。







以上、
とりとめのない話、失礼しました。





最後に‥



不妊治療も十分、
うつの原因になり得ます。

重症化すると、
その分だけ治りも遅くなります。


カウンセリングも良いですが、家に帰って一人になるとまた落ち込んでしまうといった事もあると思います。
抗不安薬や睡眠薬など比較的軽い薬は不妊治療に差し支えなく使える場合もあります。これらは妊娠した時に中止しやすい薬でもあります。
西洋薬が心配なら、漢方の選択肢もあります。


最後は先生のお考え次第ではありますが、もし生活に影響が出るほどつらい時には、我慢せず一度相談してみてください。







ちなみに。

私は落ち込みすぎて眠れなくなる時の為に、昔飲んでいた抗不安薬が欲しいと兼ねてから思っているのですが、、

先生に心配をかけたくないという変な見栄が邪魔して、
なかなか相談できずにいます‥(^  ^;


偉そうなこと言っといて、すいません。