登場人物
・魔王…魔王です。魔王っぽくやってください。
・勇者…勇者です。勇者っぽくやってください。
・その他…ナレーションです。どちらかが読むかもう1人友達呼んでください。
以下本編
【魔王城の雇用契約書】
ここは魔王城。数多くのトラップや魔物達がわんさか溢れ返り、数多の挑みに来る勇者達を返り討ちにして来たが…
勇者「とうとう来たぜ。魔王!お前を倒して王国の平和を取り戻してやる!」
魔王「ハッハッハっ!来たな!勇者!お前一人などこの私が捻り潰してくれるわ!」
勇者「行くぞ!」
魔王「来い!」
勇者「うぉぉぉぉお!」
〜数分後〜
勇者「はぁ…はぁ…はぁ…」
魔王「うっ…クソっ…」
勇者「とうとう追い詰めたぞ、魔王」
魔王「これまでか…」
勇者「これで最後だっ!はぁあ!」
魔王「ちょっと待て…勇者よ…」
勇者「んっ…」
魔王「…聞いてくれないか…ワガハイの…最後を…」
勇者「まぁ、魔王の遺言など聞いた所で同情などはしないからな!さあ!どうぞ!」
魔王「はぁ…勇者よ…お前は気づいていないのか…」
勇者「何がだ?」
魔王「ここは魔王城。ワガハイの部屋に来るまでに何をしてきた。」
勇者「そりゃぁもちろん。門を開けて、廊下を歩いて3つの部屋を歩いて順調に…ハッ!」
魔王「…気づいたか…この違和感を…」
勇者「いない…魔王以外の魔物がいない!」
魔王「そう!」
勇者「道理で経験値も集まんないしなんか物足りない訳だ!」
魔王「そう…そうなのよ…実はさ…つい先日、部下の魔物全員…ストライキ起こして辞めてしまって…」
勇者「え…そうなの…可哀想に…」
魔王「そうなのよ!ちょっと長くなりそうだから一旦首にかざしてる剣置こうか。」
勇者「お、おう。」
魔王「そこに座って、ほうじ茶でいいかな?」
勇者「あ、お気になさらず…で、理由は分かるのか…」
魔王「それが…ハッキリとは…」
勇者「ん〜そうか…」
魔王「結構いい職場だとは思うんだけどなぁ…朝6時出勤の夜は12時退勤。残業は平均で月40時間。給料は月平均20万の勇者撃退ボーナスありで昇給のチャンスも…」
勇者「悪魔倒すべし…魔王しばくべし!!!」
魔王「ちょちょちょちょっと!急にどうしたの!親身に相談乗ってくれるかなとか思ったのに!」
勇者「ふざけるな!そんな職場で働いてやれるかよ!」
魔王「ななな、なんでよ!ちゃんと社員食堂もあるのに!」
勇者「そこじゃないよ!ブラックすぎるでしょ!どう考えたって!」
魔王「いやいや、ちゃんと社員寮完備だよ?それのどこがブラックなのさ!」
勇者「ちが〜〜〜う!そうじゃない!」
魔王「そうじゃなくないもん!だって魔王様の為に働いて常に魔王様の近くにいれるような環境のどこがブラックって言うのさ!」
勇者「・・・」
しばらくの沈黙
魔王「分かってくれた?」
勇者「はぁ…呆れて言葉も出ないわ…そりゃストライキだのなんだの起こしたくもなるわ…」
魔王「そ…そうなの…か?…」
勇者「うん、だってよ。朝の6時から夜の12時…休憩時間が2時間あったとしても16時間拘束。それに残業もあるとしたら…考えただけで恐ろしい…ちなみに週休は…?」
魔王「ん?1日だ。でも休日に勇者来る事もあるし、そこはあったりなかったり…」
勇者「はぁ…もちろん休日手当とか残業手当はあるよな?」
魔王「え?無いよ?そんなの。だって魔王の為に働いてるんだよ?みんな喜んでやってくれるでしょ?だからそんなのいらないよ〜」
勇者「こ…こいつ…化け物だ…」
魔王「一応魔王ですから。」
勇者「そういうことじゃない!人として!…いや、魔物として終わってる!魔物の心がない!」
魔王「はぁ?そこまで言うか?」
勇者「いいか!今の社会、頑張る者が損しては行けないんだ!頑張った分だけそれだけ対価が生まれ!頑張った分だけ楽ができ!頑張った分だけその次も頑張ろうと気力がでる!そういう喜びのループが生まれなくちゃどこかで絶対破綻するんだ!」
魔王「でもちゃんと働きやすいように給水器とか無料の自販機とか置いて上げてるし…パソコンだって最新のものを…」
勇者「ちがう!それでこの魔王城の負のループが緩和されると思うのか!いくら頑張っても次の日になればまた頑張らなくちゃ行けないと重い腰を上げさせるこのクソみたいな会社!そんな給水器だのコーヒー1缶だので魔物の心が満たされると思うのか!」
魔王「う…じゃあどうしたら…」
勇者「まずは金だよ!金!頑張った分だけお金が手元にくる。そして自分の地位もその分だけ上がる!昔から居ただけで若者の上にあぐらかいてる無能なんていらないんだよ!頑張って成績が優秀なやつが地位を上げてく!そして目に見えるお金という対価をその分だけ貰える!その基礎がなってないからストライキなんか起こされるんだよ!」
魔王「そ…そうなのか…でも魔王の為に働いてるだけでみんな幸せなんじゃ…」
勇者「分かってね〜し懲りねぇな!こいつは!もうまったく…」
魔王「う〜ん…人間の言うことは分からないなぁ…ん?てか勇者よ、お前もお前でなんで1人なんだ?」
勇者「んん…」
魔王「普通、魔王城に挑みに行くって言ったらパーティで来るもんだよね…」
勇者「お、おう。そうだな…俺は強いからさ!魔王の1人や2人、俺だけの力でぶっ倒せる…」
魔王「(被せて)居ないんだ。お仲間が。」
勇者「ヒッ…」
魔王「へ〜…パーティ集まらなかったんだァ…」
勇者「そ…そんな訳ないし…」
魔王「でも…なんだろうねぇ…この募集のチラシは。」
勇者「おわっいつの間に!」
魔王「どれどれ…「募集要項。魔王討伐経験者のみ。レベルMAXのみ。未婚者のみ。女性優先…」えっと…」
勇者「はぁ?なんか文句あるかよ!」
魔王「あの…プ…アハハハハハ」
勇者「く〜…やっぱ殺してやる!お前なんか!」
魔王「いやいや待てって!そりゃ見たらわかるでしょ!アハハ!こんなのに人絶対来ないって!」
勇者「うるさいうるさいうるさいうるさ〜い!俺はな!可愛いくて強い子たくさん集めてハーレムパーティを作ってチヤホヤされてぇんだよォ!」
魔王「はぁ…お腹痛いから!やめて!死んじゃう!アハハ!…」
勇者「ん〜…こっちは恥ずかしくて死にそうだよ…」
魔王「(笑い終わって)はぁ…仲間が離れてった者と仲間が集まらなかった者。理由は違えど同じ独りぼっち同士だ。どうだ?ここはいっちょ組んでみないか?」
勇者「どういうことだ。それは。」
魔王「2人で仲間を集める旅に出る。」
勇者「はぁ?そんなの無理に決まってるだろ?いいか?俺らは敵同士!更には魔物と人間。住む場所も違う。一体どうやって集めるのさ!」
魔王「それは簡単な話だ。人間にだって魔王城で働きたい者もいるし、その逆もある。魔物だって勇者になって人間界のヒーローになりたい奴もいるからな。」
勇者「じゃあ俺に魔物と仲間になれって言うのか!けしからん!そんな話には乗らんぞ!」
魔王「ふ〜ん…いいんだぁ」
勇者「な…なんだよその言い方!」
魔王「魔物には生物界随一の美女種族が居るのになぁ…「サキュバス」って言う。」
勇者「サ…サキュバス…」
魔王「そう…上からボンッキュッボンッ!で彼女らは人間の性気を好物としてるから…夜には…(囁くように)あんなことやこんなことが…」
勇者「あんなことやこんなこと…」
魔王「そう…○○○だったり…×××だったり…」
勇者「○○○だったり…×××だったり…」
魔王「…で、どうする?ワガハイと手を組まないか?もし組んでくれたら魔界で取っておきのサキュバスを探してやらんでもないぞ?」
勇者「ふんっ、まぁそんなサキュバスとやらに興味はないが!大事だから2回言うぞ!興味はないが!…魔王が独り身でど〜しても可哀想に思えてしまったからな!しかたな〜く、しかたな〜くだ!手を組んでやろう!」
魔王「よし!決まったな!」
勇者「サキュバス…あは〜…夜にはあんな事やこんな事が…毎日毎晩…ぐへへへへ…」
魔王「じゃあ早速この資料に拇印を〜」
勇者「ぅへぇ〜は〜い。ポン!」
魔王「よし。じゃあ契約成立だな!今日から君は。ここ、魔王城の社員だ!」
勇者「ぐへへ〜…え?え!え〜!騙したな!お前!」
魔王「騙してなどないぞ?契約と言っても仮だ、強いて言えば(早口で)裏切ったりそのような行動が見られた瞬間にお前の魂がワガハイの者になり一生魔王城の為に尽くす事にはなるが!(ここまで)まあ、いつでも解除することはできる。一応の仲間という証明だ。安心したまえ。」
勇者「う…そうなのか…なら…大丈夫か…」
魔王「では早速だが一応念の為だ。魔王城の案内でもしよう!」
こうして部下のいない魔王と仲間のいない勇者は契約を交わし、仲間を探すパーティとなったのであった。この日、まおうと勇者は社員寮で2人飲み会をし、今後のプランを考えた。そして意外と気が合っていたのでした。
魔王「こいつ。意外と気が利くやつなんだな。」
勇者「こいつ。意外と優しいやつなんだな。」
次の話が出るかは…作者次第…