午後、娘といつもの公園に行きました。

公園に着くと、娘はすぐに走り出していました。
特別なことをしたわけではなく、ただ、いつも通りの公園です。

それでも、この日は少し、心に残る場面がいくつかありました。


 

 

 走り回りながらも、周りを見ていたこと

 

 

滑り台では、先に遊んでいる子がいると、
少しおっかなびっくりした様子で、様子を見ていました。

それでも、
前の子がちゃんと滑り終わるのを待ってから、
順番に滑ろうとする姿がありました。

うまく言葉でやりとりするわけではないけれど、
「今は待つ」ということは、ちゃんと分かっているように見えました。


 

 少し離れたところを見る余裕

 

公園の端に、小さな山のようになっている場所があります。

そこに登って、娘は少し立ち止まり、
あたりをきょろきょろと見回していました。

近くでキャッチボールをしていたのは、
中学生くらいの女の子たち。

特別に近づくわけでもなく、
ただ、遠くからじっと眺めていましたが、
その姿が、なんだか印象に残りました。


 

 できることと、まだ助けがいること

 

山の上まで登ったものの、
降りるときには少し怖くなったのか、
こちらを見て「抱っこ」を求めてきました。

自分でできるところまでやって、
難しくなると助けを求める。

その感じも、今の娘らしいなと思いました。


 

 帰りのスーパーで見えた成長

 

帰りに寄ったスーパーでは、
子ども用のカートを自分で押していました。

「りんご入れて」と声をかけると、
「りんご」と言いながら、かごに入れてくれました。

買ったオムツの袋も、
小さな手で一生懸命持ってくれていました。

重かったと思いますが、
最後まで、頑張って運んでいました。


 

 何でもない午後だけれど

 

特別な出来事があったわけではありません。

でも、
公園での様子や、スーパーでのやりとりを振り返ると、
「ちゃんと、いろいろ感じながら過ごしているんだな」
そんなふうに思えた午後でした。

できないことも、まだたくさんあります。
不安がゼロになるわけでもありません。

それでも、
こういう何気ない一日が、
少し安心につながることもあるんだなと感じました。



今は、娘なりのペースで毎日を過ごしています。
笑ったり、怒ったり、好きなものに夢中になったり。
家の中は、それなりににぎやかです。

ただ、振り返ってみると、
「あの頃からだったのかもしれないな」と思うことが、
いくつかあります。

療育につながったきっかけも、
何か大きな出来事があったわけではなく、
そんな小さな引っかかりの積み重ねでした。


 

  ことばが出ないことへの、引っかかり

 

家では、私たちが「ママ」「パパ」と声をかけても、
娘はそれを真似することがありませんでした。

名前を呼べば振り向くし、
こちらの言っていることも、なんとなく分かっていそう。
それでも、ことばだけが出てこない。

「そのうち話すかな」
「まだ小さいし」

そう思いながらも、
どこかで、少しだけ引っかかっていました。


 

  1歳6か月健診で言われたこと

 

1歳6か月健診で、
「有効な一語文が出ていないですね」と言われました。

そのとき、
娘が「アンパン」と言えているように聞こえることが、
何度かあったのを思い出しました。

それを伝えると、
「それは一語文には入りません」と説明されました。


 

  「それは違う」と思いたくなった気持ち

 

正直に言うと、
その言葉を聞いたとき、少し否定したくなりました。

「ちゃんと聞けば、言ってるように聞こえる」
「たまたま、その場で出なかっただけかもしれない」

心配よりも先に、
「違うと思いたい気持ち」が出てきた感じでした。

それは、娘を否定された気がしたからかもしれません。


 

  ずっと気になっていた、頭の大きさのこと

 

実は、3か月健診の頃から、
頭囲が大きいことはずっと指摘されていました。

「個人差の範囲」と言われながらも、
健診のたびに触れられる項目ではありました。

2歳頃だったと思いますが、
念のためという形で、脳波やCTを撮ったこともあります。

結果として大きな異常はなく、
それでも、
「何かあるかもしれない」という気持ちは、
完全には消えませんでした。


このときは、
まだ「療育」という言葉も、
自分たちの生活とは結びついていませんでした。

ただ、
いくつかの小さな違和感が、
少しずつ積み重なっていた時期だったと思います。

通院での点滴が終わった、翌日の午前中でした。

 

前の夜に雪が降っていて、
東京でも、道の端や日陰に少しだけ雪が残っていました。

 

 

せっかくなので、
近所の神社まで歩いて初詣に行くことにしました。
人が集まるような場所ではなく、
住宅街にある小さな神社です。

 

途中、歩道の端に残っていた雪を見つけて、
娘を抱っこから下ろしました。

 

雪を踏むのは、たぶん初めてだったと思います。

固まった雪の感触が面白かったのか、


娘は足元を見ながら、
何度も、何度も、ふみふみしていました。

 

「もう行こうか」と声をかけても、
なかなか動かず、
しばらくその場で雪を踏み続けていました。

 

神社に着くと、
境内には誰もいませんでした。

 

小さな神社なので、
静かで、少しひんやりしていて、
音もあまりありません。

 

娘は少し警戒した様子で、
それでも気になったのか、
おっかなびっくりしながら
ガラガラを鳴らしていました。

 

特別なお願いをしたわけではなく、
長く立ち止まったわけでもありません。

 

ただ、そこにいて、
少しだけ手を合わせて、
また歩いて帰りました。

 

退院して、
通院が終わって、
雪が残る道を歩いて、
娘が雪を踏んで、
誰もいない神社に寄った。

 

そんな、退院後の午前中でした。