24分の1の価値
毎日のようにこの喫茶店でお茶を楽しんでいると、窓際の席がいつも私を待っていてくれてるような気さえしてくる。ドアを開けると即座に窓際の席に目をやり、先客がいないかまず確認する。「私の席」それは、傲慢な贅沢とも言える午後の空間である。ホットコーヒーを楽しむというより、これまでの自分を一旦ここでシャッフルしているのだと思えてくるから不思議である。だがそれは、的を得た直感ではないだろうか。 この喫茶店は自転車で15分の所に位置し、私の年齢や体力を考慮しても実に格好のオアシスなのである。 「一人じゃつまんなくない?」そう言う人もいるけれど、一人だからこそ得られる大きな喜びがある。口で説明すると、ぽろぽろと何かがこぼれ落ちてしまいそうだが、自分さえ思いも付かなかった発想が突如として湧き出したりする。人間というものは実に面白い。環境をちょっと変えただけで、自分の本質を別の角 度から見ることができる。そしてまた新しい創造力が生まれたりする。此処での1時間は、私の背に羽が生えたかと思わせる年齢のない24分の1の貴重な「時」に違いない。