冬の青春18きっぷの、利用期限が明日に迫った1月9日、満を持して最後の1枚を握りしめ、川崎駅から上野東京ラインに乗り込んだ。

行先は言わずもがな、川端康成先生の「トンネルを抜けるとそこは雪国だった」の越後湯沢である。

今回のお目当ては、「雪」と「♨」と「米」に「ぽん酒館」と盛りだくさんだ。


トンネルを抜けるとそこは雪国だった?




高崎駅で上越線に乗り換えて、水上駅へ到着。

ここからループ線を登り、群馬県と新潟県の国境を越えるトンネルを抜ける訳だったのだが…

「トンネルを抜ける前に、すでに雪国であった」

そう、スキーをやる人なら知っていると思うが、意外にも水上は豪雪地帯で、雪質は上越よりも優れているのだ。



とはいえ、トンネルぬけた後の一面に広がる越後湯沢の
雪の大地はひと味違う。

 国境を越えた感が、溢れている。



まさに圧巻の眺めだ。

景色を堪能していると、いつの間にか列車は越後湯沢駅へと吸い込まれていった。



10:15越後湯沢に到着し、まずは温泉を目指す。

越後湯沢の日帰り入浴は公共の温泉施設が5つ、その他、各旅館やホテルも日帰り利用可能なところが多い。


駒子の湯の驚くべき保温力



5つある、共同温泉の中では唯一徒歩圏内の「駒子の湯」に行くことにした。

歩道の雪は水や温泉で溶かされているので思ったより歩きやすいが、それでも20分程度は歩く。



駒子の湯の湯は川端康成の小説の登場人物の「駒子」にちなんだ温泉施設である。

木造だが、中は比較的新しく、浴場も衛生的で気持ちが良い。

泉質などの効能は良く分からないが、保温力はものすごく、その後半日は全く寒さを感じなかった。

平日の午前中にも関わらず、地元の人が多く訪れていた。

この温泉に一度浸っておけば、一日中寒さ知らずですごせるのだから、人気があるのも頷ける。


越後湯沢の「あさくさ」の米



温泉の次は「コメ」

何処良い店はないかと駅まで戻ってブラブラしていると「新米入荷しました」という幟が目に止まった。



店の構えもなかなか。

越後湯沢なのに店名は「あさくさ」



釜めしメインの店らしいが、米だけで食べたかったので「釜焚きご飯御膳」を注文した。

日本酒も置いていたが、このあと「ぽん酒館」に行くことを考えて我慢我慢。



おかずは種類は多いが、いわゆる家庭料理なのでとりたてていうほどのものはないが、やはりここはご飯である。

釜の蓋を開けるツヤツヤとひかり輝くご飯が姿を現した。

このツヤの光具合こそが滅多に見られない美味しいご飯の証である。

魚沼産コシヒカリの新米を炊きたてで味わう。ふっくら、ツヤツヤ、米の甘み。

極上の体験だ。


「ぽん酒館」は天国だった


魚沼産コシヒカリ堪能後、いよいよメインイベントの「ぽん酒館」を目指した。


「ぽん酒館」はJR新潟地区の駅ビル「COCOLO」にある施設だ。

受付で、¥500を支払って、コイン5 枚と交換。

 好きなお酒を自動販売機から、お猪口一杯あたり、コイン1枚から2枚で飲むことができる。

店内を見渡すと人気ランキング表やスタッフおすすめが書いてある。



数は150種類程度あるので、何を飲むかまようところであるが、いづれも都会で飲めば一合¥1,000は越える高級酒なのでハズレはない。

とりあえず、オスメスや原酒、山廃などから選んで飲をでみる。

いずれもフルーティな白ワインを飲んでいるかのような味わいがある。

というよりも白ワインよりむしろ芳醇だ。

この味が僅かワンコインで味わえるとは…恐るべし!

訪れる人のほとんどが、外国人であったのも頷ける。



「ぽん酒館」をでて、もう少し雪の車窓を楽しみたくなり、再びJR上越線で長岡駅まで足を延ばすことにした。

電車の先頭はいかにも雪国の列車の表情になっていた。


長岡駅


長岡駅に近づくにつれて、天気はどんよりとして、日本海的な冬の空の表情になってきた。

山の上と海側では気候も異なるようだ。

長岡での滞在時間はほとんどなくなっていたので駅周辺の散策のみに留める。

【長岡城本丸跡】


【長岡花火の正三尺玉と打ち上げ台モニュメント】



長岡駅にも商業施設のCOCOLOがあり、「ぽん酒館」もあったのだが、流石に帰路のことを考えると飲む気にもなれなかったので、代わりに新潟麦酒を買って電車の中で飲むことにした。



あまり期待せずに買ったのだが、これがまた非常に美味い。

ほのかに米の香りがするような気がしたが、気のせいで成分は外国製の麦芽とポップのみであった。

缶にをよく見ると、なにやら手紙のような添え書きが目に付いた。

ただ、美味しいビールが飲みたかった…!!
そんな想いで造った本格的エールビールです。
こんな味を求めていたあなたに送ります。」

「追伸
美味しい味わいを…      敬白」


その想い、確かに受け取った!

帰りの上野東京ラインに揺られながら、ビール片手にうつらうつらしていた…