おかみさんから昔言われたこと。
「下浚いでも、きちんと正絹の着物を着るのが礼儀です。」
 
でもね。
汗をかいたら着る度に生洗いに出さなきゃ…とか考えると、できればポリエステルの着物で済ませたいと思っちゃうんですよね。
 
そんなわけで、先日の踊りの講習会二日目。
私にとっては大きな決断で久々に正絹の着物を着たことに大満足していた私。
講習に遅れてやってきた先生に聞いてほしくて報告。
子供じみてるとは百も承知だが意気揚々と
 
「先生、今回はちゃんと正絹の着物を来てきたよ。」
先生、一言
「うん。えらいっっグー
 
わーいわーい、褒めてもらった o(^o^)o
 
そして本日のお稽古にて。
先日、講習会の帰宅後に、着物を脱ぐ前にせっかくだからと撮っておいた写真(当ブログでもアップしたものと帯の後ろ姿)をおかみさんに見せました。
 
「あら。ちゃんと着られるようになったねぇ…(しみじみ)」
 
わーいわーい、褒めてもらった o(^o^)o
 
幾つになっても褒めてもらえると嬉しいものです。
 
着物を着るとき、踊りを始めて10年くらいは必ずお稽古場に寄って、先生かおかみさんに着せてもらっていました。もちろん踊りのお稽古でもお稽古用の袋帯や名古屋帯を着付けの練習として意識的に締めていた時期もありました。でもきちんとした場に出かける時は、着せてもらっていたんですね。当時、年2回、真面目に参加していた講習会は、行く前にお稽古場に着物を持って行き、そこで着せてもらって先生と一緒に会場へ行くのが習慣でした。
 
それがいつの頃か、自宅で頑張って着るようになりました。
初めて自分で着て行った講習会の事はやけに印象深く記憶に残っていまして。
後日おかみさんが
「そういえば今回はうちに寄らなかったから、着物はどうしたのかしら、って先生に聞いたら、『なんだか自分で着て来たみたいだよ』って言ってたから驚いたのよ」と感心されたのが思い出深いのです。20代後半でしたかな、私。
 
衣装としての着物の着方は師匠が見てくれますが、楽屋や外出するための着物はおかみさんが私の先生です。
「踵が隠れるくらいに着なきゃ。それじゃつんつるてんだよ。」
「あんたまだ年寄りじゃないんだから、帯はもう少し胸高に締めないと。」
「前褄は、もっとキュッと上げなさい。」
「いくら若くても襟を窮屈に絞め過ぎ。もうちょっとゆったりさせると首が長く見えてスッキリするよ。」
その他にも半衿の付け方、半襦袢の裄が合わない時の肩上げ、逆に裄を出す縫い方とか、数え切れないくらいの教え。全て血肉となっております。
 
そんな20年間の記憶の籠った
「あら。ちゃんと着られるようになったねぇ…(しみじみ)」
なんですな。
 
なんだかおかみさんにそう言ってもらえると、しみじみ嬉しいのです。
 
そうそう、ポリエステル着物と正絹着物での踊り心地の違いに衝撃を受けた今回、おかみさん曰く
「洗える着物で楽々踊れるのは若い証拠。私くらいの歳になると、疲れて踊れない。」のだそうで、何となくそれが理解できるのであります。
「あんたもそんな歳になったんだねぇ」って。
 
ほんと、そういうふうに言ってもらえるってありがたい。
うん。ありがたい。
 
最後にコソッと。写真では前褄があまり上がっていないことだけ注意されました。
着た時はちゃんと上がってたんですけどね、踊っている時の立ち座りの際何回か前褄を踏ん付けちゃって、下がってしまったんだよん。