【復刻版】Dimash インタビュー《Born to Sing》 ② 2022.2.7
前回の公開から1年半も経って Part 2が公開された。
Arman Davletyarov氏の公式YouTube ↓
ナレーション:ワールドクラスのスター、Dimash Qudaibergen。
彼はロシア、カザフスタン、ヨーロッパ、アメリカ、そして中国で認められている。
(番組のダイジェスト)
0:13
D:もうっ、何故モスクワまでお越しになったんですか!
ナレーション:モデルのようなその容姿、漲るエネルギー、そして勿論そのユニークでずば抜けた声…。
それは “天から授けられた声“ というよりほかに言いようがないほどだ。
その絶大な人気の下でも Dimashはスター病にかかることもない。
このミュージシャンは驚くほど謙虚で誇れる人物である。
彼はインタビューを受けることを好まず、それを受けることは稀なのだが、今回はArman Davletyarovの為に例外を作ってくれたのだ。
Dimashは既に 彼の私生活や歳を取った後の自分について語ってくれたが、今回も彼 人生について引き続きシェアしてくれる。
D:…いろいろな方から「Dimashはお酒を飲むの?」って聞かれるんです。
ナレーション:プレッシャーを和らげる方法は?
D:僕達カザフスタン人は自分にプレッシャーはかけません。
ナレーション:ロシアの芸能界についてはどう思っているのだろうか?
そして有名になったがために諦めざるを得なかったことはあったのか?
D:僕がやってきたこと、これからやること全ては より良くなる為なのです。
Arman:みなさん、Dimash Qudaibergenです。
D:こんにちは。
A:よろしく。
=Arman Davletyarov インタビュー=
A:君は普段はとても(私生活を)閉ざしているアーティストだよね。
君はその曲/芸術の他には(私生活は)あまり知られていないね。
今日はこの家庭的、信用できるフレンドリーな雰囲気の中で君と話したいと思っているんだよ。
…家族について…
D:僕達カザフ人は古くからの習慣で 初めての子供を年長者に還すというものがあります。
ですから、僕は祖父母に育てられました。
家族は全員同居しているのですが、僕は祖父母のことを “お父さん”、“お母さん” と呼んでいます。
その為、両親のことは “aga(年上の男性への尊称)”、“apa(年上の女性への尊称)” と呼んでいるんです。
僕にとって家族は全てなのです。
僕がどこでパフォーマンスをしていても、どんな賞を受賞しても、最初に母の心からのスマイルを見つけるんです。
これが僕には最高の賞なのです。
A:彼らは君が自慢かな?
D:はい(自慢気な微笑)
彼らは僕の自慢の家族ですし、彼らも僕を誇りに思ってくれています。
彼らはティータイムの時にでも いまだに僕に教示をくれるんです。
祖父は「それではダメだ。言動/行動に気をつけなさい。いつも謙虚でありなさい」と諭します。
彼は毎日飽きもせず繰り返すのです。
A:(何が)「それではダメだ」って?
D:高慢だったり傲慢だったり…良い人間ではないこと(がダメ)。
僕の両親、父、祖父は 僕のあこがれの人物なんです。
彼らはその経験から 価値ある人間があるべき言動/行動というものを示してくれるんです。
僕の父が誰かに声を荒げたところなど、一度も見たことがありません。
母が他の人と口論をしているところも見たことがありません。
どんな人でも誤解をすることは当然あるものです。
ですが、彼らは決して一線を越えることはありません。
父と両親(祖父母)が常に僕を導いてくれていることに ずっと感謝しています。
彼らは僕のコンサートに付き添ってくれ、僕を支えてくれているんです。
全てが上手くいっているのです(自慢気な微笑)
A:そうだね、彼らは尊敬されるべきだね。
君とご両親の関係は 私達東方の、カザフの子育てだと理解できるよ。
君のご両親が年長者、君の祖父母を尊敬することを教えてきたんだね。
君の成功の鍵の一つには こういう君のご両親への姿勢が影響していると私は思っているよ。
…カザフスタンについて…
ナレーション:キャリアを開始した若きDimashは、感動を呼ぶ優しい王子様であり、若いファン達が "アイドル" と呼ぶにふさわしい。
彼の巨大なファンダムはカザフスタンやロシアのみならず、世界中に広がっているのだ。
A:君のファンはどの国が一番多いのかな? ロシア?カザフスタン?
D:カザフスタンです。
《歌手2017》 の番組の時からですね。
A:カザフスタン人としてよく聞かされるのは “カザフスタン人は冷たい” と。
それは私達が感情を表に出さないからだと思うんだ。
君もそうだよね、今こうやって話していても 君は基本的に真面目だよね。
これって国民性なのかな?
それともカザフスタンでの家族制度(年長者がいる前での礼儀など)の影響なのかな?
D:正直僕もよくは分かりませんが、カザフスタン人はそんな風には思っていないんじゃないでしょうか。
僕らの国の人達も楽しむことを知っていますし、冗談も言います、自分を表現しますしね。
ラフにふるまうのは ちょっとカザフスタン人の特徴ではありませんね。
僕たちは違ったメンタリティーを持っているんですね。
それが間違っているとは思いません。
どの国も それぞれに違っているものがあるのは当然のことだと思います。
僕らはそれでいいと思っていますから。
いろいろな方から「(お酒を)飲みますか?」と聞かれるんですけど、僕は「いえ、飲みません」と答えるんですよ。
「じゃ、どうやってリラックスするの?」って聞かれたら「僕らカザフの人間はナーバスにはなりませんから」って言うんです。
そんな感じですよ(笑)
…タレントショーについて…
ナレーション:Dimashの国際的な人気は中国から始まった。
2017年に彼は人気番組に出演した。
D:Slavic Bazaarの1年前にこの番組からオファーがありました。
でもその時はまだ若すぎると言う理由でお断りしたんです。
今でもまだその条件には達していないのですが、その時はそう思ったのです。
翌年に延期したことは正しかったと思っています。
ナレーション:Dimashは決勝まで進んだが、優勝は逃した。
準優勝となったのだ。
その2年後、彼は別のコンペティションに参加することを決めた。
アメリカの番組 《The World Best》 だ。
多くのファンたちは彼の優勝を確信していたのだが、準決勝でDimashはこの番組を降板すると発表したのだ。
彼は「若い子達へもっとチャンスを与えたい」という思いを告げた。
A:中国に話題を戻そう。
ロシアのスターの Polina Gagarinaも出演したよね。
※ <歌手2019> に出演、決勝の8名に残った。
他の歌手もいたね。
彼らは 「あのコンペティションは、緊張感が半端なく、体力的にも精神的にもすごく厳しい”」って言ってたよ。
君はそのすべてを経験して決勝まで行ったけれど、君にとってどれくらい大変なものだったのかな?
D:僕にとっても本当に大変なものでした。
当時 僕にはあまりレパートリーがありませんでしたから。
勿論それまでにも カザフスタンでのコンサートはやっていましたけれど…国外でも一度。
でも僕には(実績がないから) “椅子にどっかり座って10年貯めた熟練した曲から選ぶ” なんてことができません。
コンペティションで歌うには、十分な準備と良い選曲が必要なんです。
この番組では それがちょっと難しい状況でした。
毎週、僕にとっては新しい曲を学んで それをプロデュースして、曲の構成を立ててアレンジしなくちゃいけないんです。
それに、そのパフォーマンスが観衆の好みに合うのか、というのも憶測しなければなりませんでした。
7:31
A:君がそういう困難に打ち勝つのに何が役に立ったのかな?
D:勿論、優勝したいと思っていましたが、準優勝でも勝利だと思うのです。
ほんの 0.01パーセントの差でしたから。
既に名のあるアーティストが(優勝を)持って行ったと言うことです。
Sandy Lam(林忆莲)さん(優勝者)は中国ではビッグスターですから。
A:(優勝を逃して)ガッカリした?
D:いえ、いいえ。
A:準優勝も君にとっては勝利なんだね。
D:勿論ですよ。
1位、2位、3位(という順位)は重要ではありません。
大事なことは、僕がそこからもっと多くの者を得た、という事なんです。
この番組の後には 大きなコンサートを始めることになりましたし、多くの人達が僕を知ってくれるようになりました。
これが僕にとっての勝利なのですよ。
A:中国の共演者達は君をどう受け止めてくれたのかな?
ライバル視してた? それとも友好的だった?
彼らは君をサポートしてくれた?
君のコンサートに来てくれた?
それとも君の足を引っ張ったりした?
全然気にも留めなかったとか?
D:いいえ
正直に言いますが、中国の人気アーティストの方々で 場違いなことをしたり、高飛車だったり、こんな(鼻高いジェスチャー)感じで王冠を被ってるような感じの人は見たことがありませんでしたよ。
みなさんとてもシンプルで優しかったです。
A:ロシアではどう?
D:とても…とてもシンプルなアーティストが多いです。
A:あそこでもそうなの?
D:いえ、中国の話をしていたから…。
ロシアは…僕はロシア語が分かるから…でも中国では中国語が分からないですしね。
アーティストのみなさんはみんなとてもシンプルな方達だと思いますよ。
…ロシアは…95%くらいのアーティストの皆さんは みなさん率直で友好的だと思いますよ。
僕の知っている方達とは 話ができますから(わかるのです)。
でも、そんなに親しくはなかったりしますけど…。
A:君と一緒にいる人が君を喜ばせる人間か、それとも君から何かを得ようとする人間か、その人が正直な人間か、君は見分けられる?
D:分かりますよ。
A:そういう時、君はどういう態度を取るの?
D:リアクションですか?
僕は何もリアクションはしませんよ。
カザフの諺に(カザフ語で)「挨拶してくれる人には挨拶を返す」というのがありますから。
A:(ロシア語に)訳しましょう。「挨拶してくれる人には挨拶を返す」
D:そういうことです。
そして僕はこれを基本にしていて、どんな人とも良い関係を築くよう努力しています。
…人気について…
A:Presnyakov(ロシアのアーティスト)と話していた時、彼が「初めてOlimpisky(オリンピックスタジアム)でパフォーマンスをした時、俺は天狗になったんだ。
その後 Agutin(ロシアのアーティスト)が出てきて 俺はケツを蹴り飛ばされたんだ(人気を奪い取られた)」と言っていたのを覚えているんだけど、君には人生の中でこんなことはなかった?
D:ウマル・ハイヤーム(ペルシャの学者で詩人)が常に言っているのですが「幸運な人や裕福な人を羨んではいけない。夜が明けが来れば 日没も必ずやって来る」ということです。
全てのことがアーティストにとっては一時的なものであるということを分かっていなければなりません。
今ここで言えることは、有難いことに 僕にはやるべきコンサート、パフォーマンスがあるということです。
これは本当にありがたいことなのです。
それを大切にしなければなりません。
人生において僕たちが受けていることは 全て試験だということを理解しておかなければならないのです。
人生において 金銭やキャリアなどは全く価値などないのです。
キャリアを積んでいく上で それが順調にいっているということは 大きなボーナスのようなものなのです。
アラーは僕たちを試しているんです。
誰かに全てを与えて、他の誰かには何も与えない。
A:今の人気は君にとっては試験なの?
D:その通りです。テストされているのです。
A:今 君は人気があるけれど、それによって何かを諦めなければいけないことはある?
D:なにも。
これはテストだということだけです。
全てを与えられた人間は アラーに感謝するのか?
何も与えられなかった人間は アラーを憎むのか?
これが基本なのです。
僕らはただ今を生きるだけなんです。
そして明日は新しい日だということを忘れないこと。
明日になれば ステージを降りて 観客と一緒に座っていることになるかもしれないということ。
クリエイティブな路を通るということは、観客と一緒に(客席に)座ることになった時に「君はつまらないアーティストだったよ。自分がどれだけ傲慢な態度を取っていたか覚えているか?」と誰にも言われないように。
それを目指すべきなのです。
A:君はそんな風な(傲慢な)態度は取らないの?
D:少なくともそう努力しています。
勿論、僕も人間ですから…単純な普通の人間ですから、怒ることも傷つくこともありますし、過ちを犯すことだってあります。
でも、どのアーティストも 守らなければならない倫理があります。
誰かが僕に「Dimash、今日はここでパフォーマンスをして」とか「この曲を歌って」とか「この番組に出演しなさい」とか言われるのには困ります。
何も言わないでいるのは簡単ですが、僕達にはきちんと言う という倫理的な基準があるんです。
カザフ人にはちょっと違った考え方がありますし、人それぞれの考え方があります。
出演しないと決めている番組もいくつかあります。
それはヨーロッパや他の国には違ったエンターテインメントの番組があって…何を言っているのかは お判りになると思いますが…ちょっと卑猥なものや言葉遣いが荒いものなどいろいろ。
僕はそういう番組には出演しません。
これは僕個人の考え方ですから…それを面白いと思う人もいるかもれないですけどね。
A:それはいいことだね。興味深い。
君は、君を崇拝する数百万人のファンを抱えるアーティストだ。
君の性格に関してこんなに話してくれて、初めて聞く話だったよ。
普段君のスキャンダルは目にしたことはないけれど、君が今日話してくれたことは私にとっては身近に感じられて非常に大切な事だよ。
D:アーティストというのは先ず第一に、若い世代にとっての模範になるべきだと思うのです。
もしその人が口汚いことを故意に言ったり、それ(汚い言葉)を不意にでも言ったりしたら…それでは(その人の)価値を下げてしまいますよね。それに…
A:それが回りまわって友達の間で広がる…
D:そうです。
だから僕は少し違った見たかをしているんです。
例えば、小さな子達があなたのことが大好きなファンで、あなたが悪い言葉を使ったり、なにか悪いことをやったりしたら、その小さな子達は将来どんな人間になるでしょう?
…信仰について…
A:神を信じる?
D:はい。
でもナマズ(イスラム教の祈祷)はしていません。
たまにモスクに行ったりコーランを読んだりはしています。
A:お祈りの仕方は知ってる?
D:いいえ、それほど詳しくはありませんが、コーランは読みます。
A:お祈りの言葉をいくつか覚えている?
D:はい、祖母が20年ほどナマズの祈祷を一日5回 毎日かかさず続けています。
脚が悪いのに、いつも祈りを捧げていて ナマズを読んで正しいやり方を確認していますね。
…将来について…
ナレーション:昨今のDimashは、超人気人物だ。
これは誇張でも何でもなく、彼は世界クラスのスターであるが、まだ30歳にもなっていない。
D:勿論、あと数年ほどはステージに立っていたいです。
それはとても難しいことだと分かっていますけれど。
ですから 数十年も活躍していらっしゃるアーティストの皆さん全てを尊敬しています。
だってそれは本当に、本当に難しいことなのですから。
ナレーション:Dimashは様々なジャンルに挑戦しようとしている。
クラシックからロックまで…そしてそれを違ったイメージで容易に歌えるのだ。
このアーティストはロマンティックにも、クールにも、ミステリアスにもなれるのだ。
彼の新しいビデオ、<Golden> で表現しているように。
これはただのミュージックビデオではない。
アクション、カーチェイス、撃ち合い、ファイトありで悪と戦い勝利するという全くのファンタジー映画だ。
…一問一答…
A:君の人生の中で何か後悔したことはある?
D:後悔したことはないと言えますね。
幸運なことに全て上手くいっています。
A:君の人生で何か変えたいことはある?
D:人生で変えたいことですか?
(キッパリと)ありませんね。
僕の人生は全てが幸運です。
A:今日はありがとう。
新しい新鮮な君を引き出すことができたと思うよ。
心底温かくて、オープンで、優しくて、一番大切なこと…光をもたらしてくれる君をね。
D:ありがとうございました Arman aga。
A:これからの幸運、成功を祈ってるよ。
芸術的にも成功することを!
これからも私達の祖国カザフスタンを輝かせて、世界中に知らしめて欲しい。
安全(健康)で!
では。
D:ありがとうございます aga。