「耳鳴り治療音」聞いてもよくならない根本原因はコレだ

ー効果的な「音響療法」のやり方ー


耳鳴りを治したい、消し去りたい…
強く願い、耳鼻科をはしごし、
ネットや本で調べまくったでしょう。

どうです?

そうでしょう?

その時、

「耳鳴りに効く音」とか、
「これを聞けばよくなる」とか、
「音響療法」

 

という言葉を
目にしませんでしたか?

え?もう調べた?
もしかして、
実は私より詳しくなってたりしません?

今回は、
この「音響療法」が
テーマです。

なんだか良さそうな雰囲気ですよね。
耳鳴り
治りそうですね。

しかし、
この音響療法、
耳鳴りが治るとかいって、

やってみたのに
全然良くならない。
むしろ、ますます悪くなった気がする…

なんて方、少なくないんですよ。

じゃあ、正しいというか適切な、
効果が得られる音響療法とは
どういうものか、

これから解説していきます。

では、参りましょう

 

1.音響療法とは
2.やってはいけない音響療法
3.音響療法で効果を出すためには

  1.音響療法とは

 

音響療法とは、
簡単に言っちゃうと、
「音を使って、耳鳴りを治療しよう」というものです。

これには、大きく2つあります。

①マスカー療法
②TRTの音響療法


TRT、
これはネットで調べると
出てきますね。

これは、
Tinnitus Retraining Therapy(耳鳴り再訓練療法)
の略です。

では、それぞれ解説していきましょう。


①マスカー療法
これは、
マスクする、
要は耳鳴りを隠す、ふさぐということです。

耳鳴りの音を
別の音でマスクする、
これを遮蔽といいます。

「マスキング」といいます。

耳鳴りの音を別の音で一定時間マスキングすると、
耳鳴りが消える、または、音が小さくなる、
という現象が発見されたんです。

これは、
1970年代の話ですね。

なんだかよさそうに思えますね。

これは、
どんな音を聞かせるかが
キモなんです。

というのは、
あなたの耳鳴りの音に合った
マスキング音を聞かせなければならないんです。

ということは、
あなたの耳鳴りの音がどんな音かを
詳しく調べなきゃいけないんです。

耳鳴りの検査については、
こちらで解説しています。→

詳しく調べてから、
最適な音の高さや大きさを調整して、
それを2時間くらい聞きます。

というのが、マスカー療法です。

いいじゃん!それやってよ、
って思いますよね。

じつはこれ、
今ほとんどやってません。

え?何で?

このマスカー療法、
あまり効かないんです。

効くことは効くんですよ、
ごく短時間。
でも、すぐ元に戻る。

むしろ、
ひどいことに、
よけい悪くなったりします。

なぜ?

それは、
耳鳴りを完全にマスキング、
要するに完全に聞こえないようにしたわけですが、

そのマスキング音が消えたら、
どうなります?

まず、
マスキング音聞いてたときより、
静かになりますよね?

静かになった瞬間に、
耳鳴りがキーンとかジーとかザーとか、
際だって聞こえちゃうんですよ。

そうしたら、
耳鳴り強く
感じちゃうんです。

消えないじゃん!って
落胆やショックの感情とともに、
さらに耳鳴りに集中しちゃうんです。

なので、
マスカー療法はやらないほうがいい、
という考え方になってきています。

②Tinnitus Retraining Theraphy:TRT
これは、
名前にもあるとおり、
耳鳴りを再訓練するという方法です。

あ、ただ読んだだけでしたね。

要するに、
耳鳴りを消すとか、治すとは
言ってはいないんです。

具体的には、
「耳鳴りに慣れましょう」
という方法です。

これは1990年前後に始められました。

耳鳴り研究の歴史では新しいものです。

今言ったように、
耳鳴りを消すことは
考えていません。

じゃあ、
何を目的としているのか?

これは、
耳鳴に対する受け止め方や感受性を改善させることに
主眼を置いています。

このTRT。

「TRT=音響療法」」だと
勘違いしている方が
非常に多いんです。

実をいうと、
お医者さんでも
そう思いこんでいる人が少なくありません。

このTRT、
音響療法ではあるんですけど、
実は、大きく2つから成り立っているんです。

1.指示的カウンセリング(directive counseling)
2.音治療(sound therapy)

まずは
カウンセリングが
大事です。

これをしっかりと、
しかも正しくというか適切に行うことが
大事です。

名前にもあるとおり、
指示的なんです。

ただ患者さんの話を聞いて
受け止めるだけじゃないんです。

指導したり説明したり、
まさに指示的なんです。

そしてその上で、
音を使った治療です。
音響療法です。

繰り返しになりますが、
あくまでもTRTの目的は
耳鳴りに対して順応(habituation)させることです。

TRTの考え方では、

耳鳴りは脳が大きく関与している、
脳が耳鳴りの発生源といっても過言ではない、
としています。

そして、
その脳を耳鳴りの音に順応させる、
要するに慣れさせることで、

耳鳴りは消えないんだけれども、
意識しなくなる、

なんか鳴ってるけど、
慣れちゃったから全然気にならない
っていうのを目指すものです。

さて、
肝心な音響療法についてですが、
このTRTの音響療法は、雑音を使います。

ザーっていう雑音ですね。

古い話ですけど、昔、
テレビ番組って、深夜は放送がお休みになって、
ザーッていう「砂嵐」っていわれる画面が流れていました。

覚えてます?
あれ?知らないですか?

 

…………。


まあ、あの音と思ってもらっていいです。

そして、やり方です。

これは、
原則として両耳で1日6時間以上
聞くことが勧められています。

でも、
片耳でもいいですよ。
十分効果あります。

「ん?
1日6時間以上?
そんな時間ないよ!!」

まあまあ最後まで聞いて。

これは、
耳に補聴器のようなイヤホンを装着して、
日常生活を普通に送りながら聞き続けるんです。

ほら、これが、その機械です。



 

 

これね、安くない。
発売当時、今から10年ほど前でも
5万円近く

今はもっと高くなっています。

しかも、雑音しか聞けません。

そして、大事なのはこれです。
音の大きさです。
大きすぎても小さすぎてもダメです。

耳鳴が消えない程度にしなければいけません。

だからといって、
あまり小さな音にしすぎても
ダメです。


そりゃそうですよね、
 

聞こえなかったら

意味ありませんからね。

 

とにかく、

注意しなくてはならないのは

 

雑音を大きくしすぎて

耳鳴がマスクされてしまわないように

することなんです。

 

マスクされてしまうと

耳鳴に対しての順応が

起きなくなってしまうからです。

 

だって、それじゃあ、

マスカー療法に

なっちゃいますもんね。


さて、TRTの詳しい説明はまた

今後の記事や動画に譲るとしまして、

 

今回は音響療法の大きく2つ、

マスカー療法とTRTの音響療法について

まずは簡単なご紹介でした。

 

 

  2.やってはいけない音響療法

 

「これを聞けば治ります」とか、
「耳鳴り治療音」とか、

YouTubeにたくさんあるのでね、

よし、これをやろう!って
皆さん、
一生懸命聞くんですよ。

あなたも?
まあ、そうでしょう。

ヘッドホンつけて、
机に向かって、
画面にも集中してね。

「耳鳴り消えろ消えろ」って
念じながら、
真剣に聞くんですよ、みなさん。

で、聞きました。

「ちょっと小さくなったかな…」、
「ああ、まだ耳鳴りしてる」
「もっと聞かなくちゃ」
「この音じゃないのかな。これかな?」

………。

こういうかた、少なくないんですよ。

あなたもそうじゃありません?
どう?違います?

そうでしょう?

これ、
耳鳴りよくなるどころか、
ますます悪くなります。

「え?なんで?
耳鳴りに効果ありって
言ってるよ!」

これは、

やり方、
いや、そもそも考え方から
間違っているんです。

そもそも、
耳鳴りそのものを消す音なんて
ありません。

消すことはできません。

さっきの
マスカー療法でも
説明しましたね。

一瞬消すということは
できることはできますが、
また元に戻るか、余計悪くなります。

まず、問題なのは、
集中して、一生懸命
聞いていることです。

集中、意識。

人間は意識してそこに集中すればするほど、
これっぽっちのことでも
とっても大きく感じてしまうんです。

意識して集中
って言うのは、
感覚を研ぎ澄ましてしまうんです。

そうなんです。

耳鳴り消したい、治したいって
気持ちが強すぎて、
意識して集中して

耳鳴り治療音
っていうやつを
聞いてしまう。

これ、やってはいけません。

耳鳴りの音響療法、
集中して聞いちゃ
ダメです。

いいですか?

さらに、

これを聞いた後に、
耳鳴りが鳴っているかどうか、
確認するでしょう?

「ああ、まだ鳴ってる」とか、
「ちょっと小さくなったかな?」とか。

これも絶対やってはいけません。

だって、
自分の耳鳴りに聞き耳たてて、
感覚研ぎ澄まして、

さらに、
比較・分析
しちゃってるじゃないですか!

ますます
耳鳴りの耳、耳鳴りの脳に
なっちゃいますよ。

自分でさらに
耳鳴りの学習
してしまっています。

分かりました?

耳鳴りの音響療法、
ほとんどの人が間違ってます。

意識して集中して
聞くのは
絶対ダメです。

聞き耳たてて、
比較・分析・検討、
絶対やってはいけません。

 

  3.音響療法で効果を出すためには

 

じゃあ、

耳鳴りの音響療法で
効果を出すためには
どうすればいいんでしょうか。

まず、絶対的な注意点です。

いいですか。

それは、
意識しない、集中しない
ことです。

でも、

意識しない、意識しないって
思えば思うほど、
人間ってもっと意識しちゃうんですよね。

嫌なことは特にね。

だから、
聞き流すことです。
流しておく

これは、
雑音や環境音として
ただ耳に聞かせて流しておくんです。

耳鳴りなんて聞いてる場合じゃないよ、
世の中にはもっといろんないい音があるよって、
自分の耳と脳に聞かせてあげるんです。

しかも、意識しないように。

だって、

世の中のあらゆる音を、
全部意識して聞き耳立てて
聞いてないですよね。

いちいち聞いてたら
頭おかしくなっちゃうでしょ。

それを、
ある特定の音だけ
聞いちゃっている。

耳鳴りがそうでしょう?

聞き流す

そして、
音は何でもいいんです。
しかし、楽に聞き流せるものを。

よく滝の音がいいとか、
ホワイトノイズがいいとか
言われます。

これは、
音自体に効果があるとかじゃ
ないんです、

抑揚とか、音の変化がなくて、
一定で、
しかも何の意味もない音。

だから、
聞き流せるから、
いいんです。

音楽やラジオ、
テレビ、YouTubeでも
いいんです。

でも、
内容があるでしょ、
意味があるじゃないですか。

そうすると、

人間、何か考えちゃったり、
感情が動いたり、
いろいろ思い出したりなんかして、

ストレスになったりするわけですよ。

嫌な気持ちになったりするんですよ。

そうすると、
そういう嫌な感情やストレスが
さらに耳鳴りを増強させます。

だから、

なるべく意味がなく、
抑揚やリズムなどの変化がない、
一定の音、

ホワイトノイズや滝、
川のせせらぎなんかが
お薦めです。

一番いいのは、

イヤホンつけっぱなしで、
耳鳴りがする耳だけでいいので、
1日中、流しっぱなしがいいですね。

寝るときもですよ。

何時間聞くとか、
聞かなきゃとか、
そういう意識は一切なしですよ。

朝起きたらすぐつけるとか、
仕事が終わったらすぐつけるとか、
考えずにやることです。

今、
いいイヤホンがいっぱい
ありますのでね。

で、

音の大きさは、
耳鳴りを消さない程度が
いいです。

ほら、
先ほど説明しました
マスクはダメでしたね。

日常生活を送りながら聞き流すので、
大きすぎず、小さすぎもしない、
楽な大きさにしましょう。

または、

これはホントに雑音。

お部屋に1台、
サーキュレーター。

これ、いいですよ。

空気を循環させてくれて、
冷暖房の効きが良くなりますし、

なんと言っても、
ずっと、ブーンって鳴ってる。
一定の音で。意味もなく。

これ、耳鳴り音響療法として最高です。

さて、結局、
果たして音響療法は効くのか?どうか。
ホントに効果はあるんでしょうか?

ちーん…

残念ながら、
効くという人もいれば
効かないという人もいて、

何とも言えないのが実情です。

私からしますと、
そもそもこの音響療法のやり方、考え方が
間違っていることが多いんです。

それでも
音響療法には
それなりの効果はあります。

それは、
1.耳鳴によるストレスや緊張を和らげる効果
2.耳鳴への注意をそらす効果
3.リラックス効果
4.耳鳴に関連する大脳皮質の再構築と活性化
などです。

要は、
耳鳴り以外の何か気分の良い音を聞けば、
気分が楽になりますよということです。

4の大脳皮質がうんちゃらかんちゃらというのは、
実は大事です。

なぜ?

それは、
耳鳴りは、実は脳みそと関係がある、

いや、

そもそも耳鳴りは、
耳というよりは、
脳が生み出している

という説が有力になったんですよ。

これについては、
また別の記事や動画で説明します。

 

  今回のまとめ

 

今回のまとめです。

何か音を聞くことで、
耳鳴りをよくしようという
「音響療法」ですが、

考え方と目的、
そして
やり方が重要です。

まず、大前提です。

耳鳴りを消すことはできません。

ほかの記事や動画でも解説していますが(多分)、

耳鳴りは人間みなしています。

それに気づいたか、気付かないか、
気付いても定着しなかったか、
の違いです。

耳鳴りを消そうとして、
意識して集中して、
しかも一生懸命聞けば、

ますます耳鳴りは悪くなります。

さらに、

自分の耳鳴りを比較したり、
検討したり、分析したりして、
耳鳴りの感度を高めてしまいます。

消そうという意気込み、
消したい、でも消えてない、
こういった強い気持ち、耳鳴りへの意識が

さらに耳鳴りを強化します。

目指すのは、
耳鳴りに気付かなかった
あの頃の自分。

世の中の雑音に紛れて、
取るに足らなかった
あの頃の耳鳴りの音。

世の中のさまざまな音と同じように、
聞き耳を立てれば、集中して意識して聞けば
聞こえるんだけど、

でも、
普段は気にならない、
気付かない。

そういう状態を目指します。

とにかく聞き流す。

「流す」
という言葉は
私のキーワードですね。

ほかの記事や動画でも強調していましたね。

ただ聞き流す。

これが大きなポイントです。

 

あなたが

あなただけの一度きりの人生を、

いい気分で送れますように

 

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さて、私どもでは

あなたの耳鳴について

簡単な診断をしています。

 

ぜひやってみてくださいね。

 

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