先日近隣医師会が主催する産業医研修会に参加してきました。
産業医を行っていく中で、
パワーハラスメント(パワハラ)によるメンタルヘルス不調者の職場復帰支援は
一筋縄で行かない複雑な問題です。
セミナーでは、
パワハラには6種の型があるそうです。
①身体的な攻撃
②精神的な攻撃
③人間関係からの切り離し
④過大な要求
⑤過小な要求
⑥個の侵害
それぞれの型については、
「こんなケース、ありそうだなー」と
容易にその風景を想像することができます。
パワーハラスメントについては、
上司部下・先輩後輩の関係などの力学により、
優越的な関係に基づいて発生することが多いので、
特に上司といわれる立場の方に対して、
「あなたのこんな行為がパワハラかも・・・」
というような事例を提示しながらの研修が行われることが通例です。
しかし、よく考えてみると、
役職だけでなく、年齢や経験年数に基づいた上下関係という意味では、
新入社員以外のほとんどの方には部下や後輩が存在し、
職場のほとんどの方は、優越性を持った立場にもなり得ます。
つまり、パワハラを与える側にもなる上に、
パワハラを受ける側にもなり得ると言うことなのです。
誰にでも同じような口調で同じような内容を伝えたとしても、
それを高圧的・嫌がらせと受け取られる可能性が有り、
時代や環境によっても変化していくものです。
そういった意味では、
パワハラの研修は上司といわれる立場の方だけでなく、
従業員全員が反復して受ける必要があり、
「平均的な労働者の感じ方」を共有していくことが重要と考えられます。
産業医を担当する事業所だけでなく、クリニックの職員同士においても、
風通しのよい職場になるよう、情報共有していこうとおもいます。