原題直訳:細作、魅惑された者たち

『愛する時は生きることを願って、
憎む時は死ぬことを願う、その気まぐれな矛盾!』
高い地位にあるが、心は卑賤な王でイ・インと
彼を倒すために細作(諜者※1)になった女性の
残酷な運命を描いた物語

※1 諜者・・・ひそかに事情をさぐりうかがう人

  • 企画意図

兵法の大家、孫子は細作についてこのような言葉を残した。
『三軍の仕事の中で細作より親密なものはなく 
細作ほど隠密なものはない。
聖なる知恵を持った者でなければ細作を書くことができず 
善良で義理ある者でなければ細作をすることはできず
神妙な者でないと細作の成果は得られない。』
細作とは、権勢を持った者をだまして情報を盗み出す者をいう。
だまして盗むものだから
世の中で一番卑しいことだと言えるだろう。

ところが、どうして孫子は 
細作と細作を弄する者を言いつつ
「神聖で、善良で、義理があり、神妙だ」ということだろうか?
細作の道は、全力を尽くして相手を欺き
その心を得て、最終的には相手の意思さえ動揺させること、
致命的な混乱の中で相手を落として目的を成すことにある。
相手を完全に騙すには、その過程で
細作自身も相手ほど揺れないといけないし 
致命的な混乱を乗り越えなければならないだろうし
これは恋に落ちる過程とあまりにも似ている。
人をだます最も卑賤な方法で
心という最も尊いものを得ることだから、
したがって、孫子もどうしても卑しいうちに悪口を言えなかったのだろう。

<細作、魅惑された者たち>は一国のすべての権勢を持っているが
心は限りなく卑賤な王であるイ・インと、
彼を倒すために
細作となった女性、カン・ヒスが大義と名分、
愛と復讐のためにお互いを騙す
熾烈な暗闘の記録であり、
お互いの心臓に向かって剣を突きつけたまま
黒い石と白い石を置いていく
棋譜(囲碁を打った記録)だ。

この残酷で魅惑的な戦闘、
一本勝負の勝者は誰になるだろうか?
勝者になれば、果たして皆が望む平穏が訪れるだろうか?
どうしても迂闊に答えにくい質問に切実な祈りで答えてみる。
願わくば民の血涙を慰める
風が吹いて小雨(濛雨몽우※2)が降ると、 
桃の花が咲き乱れる木
日陰の下、運命の恋人と向かい合い
甘い手談(言葉がなくても心の通じ合う囲碁)分け合いますように。

※2 濛雨・・・あたりをうす暗くして降る小雨。

  • 人物関係図


  • 人物紹介

イ・イン (李仁) (チョ・ジョンソク)
이인 (조정석)

朝鮮の王。王子時代の封号※3チナン大君。 囲碁の天才

先代王の継妃(王の後就である妃)パク氏の一人息子として生まれた。すでに世子がいるにも関わらず母親のパク氏は息子のイ・インに「あなたは父親の後を継ぐ大統」とし、王在教育を行う。自分を大事にしてくれる異母兄のイ・ソンを見て苦しんでいた幼いイ・インは誓う。死ぬ日まで兄の臣下として生き、忠心で仕えると。

イ・インの誓いは、清の侵略の結果、質子(人質)となり、清の瀋陽に連れて行かれた時に光を放つ。イ・インは師匠カン・ハンスンに何度も手紙を送り、清の状況を知らせ戦争を避ける方法を講じるなど細作の役割を十分に果たすが、イ・インの忠心はむしろ王座を貪る欲望と見られる。心が病んだ兄のイ・ソンが弟のイ・インを恐れて憎むようになったのだ。一度心を与えれば変わることのない純情な男であるイ・インに迷いに陥った兄の変化は深刻な苦痛だった。
そうして世の中を捨てたい気持ちになったあの時!漆黒の闇の中の一筋の光のように、渇いた大地を濡らす小雨のように、あいつが現れる。

賭け囲碁の達人、浮浪者に過ぎないあいつが自分の代わりに自分を罵る人々に対抗して戦う姿を見たイ・インは、正体不明のあいつに完全に心を奪われてしまう。名前も教えてくれない無言のあいつに首を突っ込み、妃楼に毎日のように立ち寄り、あいつの代わりに刀を打たれる。あいつと碁を打つために哀しくすがりつき、惜しくも負けても怒る代わりに、素直に大事にする号(別称)、モンウ(濛雨:小雨)を渡して身分と年齢を越えた友達になる。友人のモンウが自分のせいで危険に陥るようになった時、イ・インはモンウを救うために生まれて初めて兄のイ・ソンに対抗し、兄の剣の下で素直に自分の首を出す。自分が死んでこそモンウが生き、兄のイ・ソンも迷い(迷惑)から抜け出すことができるだろう…

しかし、血を吐いて倒れた人は兄イ・ソンだった。

※3 封号・・・授封ないし冊封に当たって授与する爵位であり称号。




カン・ヒス(姜熙秀)でありカン・モンウ(姜濛雨) (シン・セギョン)
강희수 이자 강몽우 (신세경)

カン・ハンスンの娘。賭碁師。細作。

母親を早く亡くし、国のことなら靴も履かずに飛び出す父親の下で育つ。両親の優しい養育の代わりに小間使いの子のチャ・グンニョンを頼りに生きてきたが、色々と足りない養育環境はカン・ヒスが、士族の娘はあえて抱けない夢を見て格別な人生を送るようにする。

幼い頃、父親の見よう見まねで学んだ囲碁を一人で打ち破り囲碁の達人だ。石を置くことで何を変えられるのかと打撲するチャ・グンニョンを説得して男装をし、恐れることなく世の中に出たカン・ヒスは自他ともに認める「神の境地」(入神)に達したという賭け囲碁の達人たちを破り「名も知らない賭け囲碁の達人」として市中に名声をとどろかせ、そのように得た財物で清に連れて行かれた民の帰還のための身代金を用意する。負けることを嫌い、飽きることをもっと嫌う。また石を置けば負けることがなく、一度勝てば二度と同じ人と打たない。 カン・ヒスは婚姻においても同じ信条を持っているが、幼い頃から囲碁で自分に勝てなかった男とは婚姻しないと決心していた。カン・ヒスの友人であり小間使いであるチャ・グンニョンが内心カン・ヒスのパートナーだと思う、まともで立派なキム・ミョンハもこの信条は破れないが、そのようなカン・ヒスの信条を一発で崩した男が現れる。

チナン大君であるイ・イン。その尊い男がカン・ヒスの防御幕を突き抜けて躊躇なく近づいてきて、カン・ヒスは自分も気づかない間に為す術なく彼に夢中になる。世の中がイ・インを疑って悪口を言う時、カン・ヒスだけは彼が惑わされない強い人だと固く信じている。その信頼はイ・インが逆謀の疑いを受ける時も動揺せず、自分はもちろん友人のホンジャンの命までかけてイ・インの無実を叫ぶほど強かった。




キム・ミョンハ(金慏夏) (イ・シニョン)

김명하 (이신영)

外戚※4キム・ジョンベの息子。ムンソン大君の従兄。

四書三経※5を通達した士大夫※6でありながら、弓術と剣術まで巧みで、文武を兼ね備えているという言葉がぴったりの優れた男だ。偉そうだが、偉そうにせず、不義を我慢せず、偏見なく世の中を見ようと努力する真面目な性格だ。政治的反対派と言えるミン・ジファンの弟、ミン・サンヒョと心置きなく親しくなり、父親のキム・ジョンベの手下の役割をする奸臣※7、ユ・ヒョンボとは距離を置く。

もともと勢家のない家門だったが、父親の姉である叔母が中殿に選ばれ、家門の命運が変わる。キム・ミョンハは優れた科挙試験の成績と家門の勢力図に支えられ、要職の弘文館※8校理※9として出仕する。清の冬至使※10として行くカン・ハンスンの署長官として瀋陽について行った縁で、カン・ハンスンの人柄とイ・インとの師弟関係に惚れたキム・ミョンハは、父親のキム・ジョンベにこの事実を隠してカン・ハンスンの家を出入りし、彼の娘カン・ヒスを知り、彼女を心に抱く。イ・インに好感を持っていたが、カン・ヒスがイ・インに対して格別な感情を抱いていることに気づき、イ・インを競争者として感じ警戒する。それでも父親のキム・ジョンベがイ・インを細作という逆賊の濡れ衣を着せ、除去しようとすると苦しむ。皆がイ・インを疑う時、イ・インが逆心を抱いたはずがないと思う。

※ 外戚・・・皇帝、王の母親または妃の一族のこと

※ 四書三経・・・君子が国家や政治に対する志を述べる大説として日常の出来事に関する意見・主張や噂話など虚構・空想の話を書く小説と区別される。四書は論語・大学・中庸・孟子、三経は易経・書経・詩経がある。

※6 士大夫・・・平民に対する両班(朝鮮の高麗および李氏朝鮮時代の特権的な官僚階級)の一般的称

※7 奸臣・・・邪悪な心を持った家来。

※8 弘文館・・・宮中の図書の管理や王・官僚の諮問に応じた李氏朝鮮の機関。

※9 校理・・・正五品の中級文官職

※10 冬至使・・・朝鮮時代に明と清に定期的に派遣した使臣



○重要登場人物

イ・ソン(李瑄) (チェ・デフン)

이선(최대훈)

イ・インの異母兄。朝鮮の王。

母親を亡くし、父親の継妃パク氏を母上と呼んで育つ。

13歳で世子に冊封※11されるが、世子になって程の母親の外戚も党派もなかったので寂しかった。その寂しさを満たしてくれたのは父親の継妃パク氏が産んだ弟イ・インだった。目に入れても痛くないように大切にしていた弟だったが、ある瞬間、自分より明敏で自分より勇敢で、自分より政治的手腕が優れた弟が気になり始める。弟に対する不安と恐怖は変乱を経て自責が混じった憎悪に変わり、イ・ソンは自分に迫ったすべての苦痛と煩悩はイ・インと継母パク氏(大妃)が指図したものだという妄想を抱くようになる。

弱い王は苦い諫言を捧げる忠臣より、甘ったるい巧言(巧妙に装う言葉)をささやく奸臣にさらに惹かれる方法、イ・ソンは自分の正妃キム氏の兄キム・ジョンベに力を与え、彼の思い通りに命を与えようとする清に軍を明け渡すことを決める。そう決めておいては、唯一信じて頼っていた領議政※12のカン・ハンスンを通じて倒れていく明に対する道理を守ると言って、清に密かに細作を送り、結局このことが清に知らされ戦争の危機に瀕することになると絶望する。

この時、イ・ソンは君主としてしてはならない致命的な選択をする。

※11 冊封・・・朝鮮に限定すれば中原の王朝(明または清)が朝鮮王を封じ立てることで、朝鮮王が王妃や世子などを封じるときにも使う。

※12 領議政・・・朝鮮王朝における議政府3議政の一つで、正一品にあたる最高の中央官職。現在の大韓民国の国務総理にあたる。



パク・ジョンファン (イ・ギュヒ)
박종환 (이규회)

完州郡の府院君※13。領中枢府事※14。王大妃パク氏の兄。

計略の第一人者、処世術の達人。相手の弱点に気づき、自分が望むことを成就するのに非常に上手で、何よりも頭を下げて伏せる時と頭を上げて号令する時を見分ける能力が優れている。

パク氏一族は代々王妃を輩出し、王の外戚として権勢を享受してきたため、甥のイ・インが王座に座れないということを家門の屈辱と考える。イ・インを王座に上げた功労で朝廷の重責を引き受けてもおかしくないのに、すべての職を拒み、名誉だけがある領中枢府事の座を固守する。外戚中の外戚、実力者の素顔を隠すためだ。

姉の王大妃殿の威勢と甥のイ・インの助言者という名誉を背負って朝廷内外の事を勝手に思いのままにする。

※13 府院君・・・忠烈王期以降の高麗および李氏朝鮮時代に使用されていた爵位である

※14 領中枢府事・・・朝鮮時代に中枢部に置かれた正一品官職。



ユ・ヒョンボ (ヤン・ギョンウォン)
유현보 (양경원)

礼曹佐郎※15。キム・ジョンベの手下。ホンジャンの兄。

名のある名望家の長者として礼曹官吏で奉職し礼と道理を強調するが、実状は富貴栄華のためならできないことがない、礼と道理は犬の糞ほど大切に思わない小人、奸臣だ。

変乱中に家門の長者として命を維持しなければならないとし、王に従う代わりに逃げる破廉恥な行動をしておきながら、実の姉であるホンジャンが清に連れて行かれ、生きて帰ってくると死なずに生きてきて家門を汚したとし、あらゆる手段を動員して苦しめる。一度抑圧心を抱くと、相手を選ばず、あらゆる手段を動員して迫害する人間のクズだ。

※15 礼曹佐郎・・・朝鮮時代の文官系の正六品の官職である。



キム・ジョンベ (チョ・サンハ)
김종배 (조성하)

兵曹判書※16。キム・ミョンハの父。中殿キム氏の兄。

頑固な性情に口調が強く、疑い深い。外戚ではあるが、富貴栄華だけを望み、勢力を作る部類の奸臣ではない。むしろ国と民を考えることだけを見れば、忠臣に近い。イ・ソンに対する忠誠心が先走っているため、イ・インが逆心を抱いているという先入観にとらわれている。

※16 兵曹判書・・・軍事を統括していた大臣



カン・ハンスン (ソン・ヒョンジュ)
강항순 (손현주)

領議政。カン・ヒスの父。イ・インの師。

忠臣であり立派な師匠だが、良い父親ではない。いつも国のことが最優先なので、娘のカン・ヒスに申し訳ない気持ちを持っており、それで娘が望む通りに暮らせるようにしてあげると決心して婚姻を強要しない。清に密かに明に細作を送った事件で、再び清の侵略を受ける危機に瀕すると、領議政としての責務を果たそうとする。



○イ・インの周辺人物

チュ・サンファ (カン・ホンソク)

주상화 (강홍석)

イ・インの護衛武官。別軍職※17行首(かしら)。

兼司僕※18出身で、武芸も優れているが、忠心が格別な男だ。

変乱中、チナン大君のイ・インとともに清軍に対抗して戦った後は、イ・インの護衛武官となり、イ・インが王座に就いた後は別軍職(別王の親衛軍。護衛と摘奸(不正があるかどうかを調べる)の仕事を引き受ける)行首になる。武芸も優れているが、行動する前にいつも一歩退いて二人の命令を待つことができる賢明な男だ。王であるイ・インの過去の歳月はもちろん、その心の中の流れまでも自分の手の平のように見抜いているため、カン・モンウ(カン・ヒス)を警戒する。

※17 別軍職・・・国王の親衛組織

※18 兼司僕・・・朝鮮王朝時代に精鋭騎兵を中心に構成された軍隊



トン尚宮 (パク・イェヨン)
동상궁 (박예영)

イ・インの至密尚宮※19

イ・インの母親、大妃に仕える女宮だった時からチナン大君イ・インを心に抱いていたが、王イ・ソンの至密尚宮になってその心を折る。イ・ソンが突然崩御した時、イ・インに助けを与えた功労を認められ、イ・インの至密尚宮になり、兄弟の間柄であるイ・ソンとイ・イン、両王に仕えたという理由で国中が指を差して悪口を言う背倫の象徴になる。イ・インの護衛武官のチュ・サンファと極度の相性の悪さで、会うたびに顔を赤くして戦う。

皆が中宮殿よりトン尚宮の方が上殿だと思うほど宮殿の実力者であり、誰も知らないイ・インの致命的な秘密を知っている唯一の証人だ。

※19 至密尚宮・・・王と王妃の身辺保護および起居、寝、食、衣など一切と物品管理をする者。尚宮は朝鮮王朝の女官の称号のひとつ。



チ・ナムギュ (ハン・ジョンホ)
지남규 (한정호)

内医院※20の医官。

若い医官として2人の指名を受け、大殿※21を担当している。 王イ・インから誰も知らない王命を受け、修行中である。

※20 内医院・・・宮中内の医療施設。

※21 大殿・・・王が暮らしている建物。王を示す呼称でも用いる。



キム内官
김내관

大殿内官

イ・インが王座に上がって以来、大殿を担当している内官だ。



○細作勢力:カン・ヒスの周辺人物

チュ・ダラ (ナ・ヒョヌ)
추달하 (나현우)

元武官。細作。泮村白丁※22カン·ヒスの助力者。

カン・ヒスの実父カン・ハンスンの部下で、摠戎庁※23哨官(従9品の武官)として奉職し、カン・ハンスンの指示で古くから清と明を行き来する細作の役割をしてきた。カン・ハンスンに内緒でカン・ヒスを助け、清に連れて行かれた力のない民を贖還(身代金を払って送還すること)する仕事をしていたところ、ユ・ヒョンボの姉ホンジャンを知り、恋に落ちる。

カン・ハンスンの命で王がイ・インの密書を持って明に行って帰ってくる途中に清の軍事に急襲され、厳しい拷問の末に片目を失う。九死に一生を得た後、泮村の白丁となって二人を引きずり下ろそうとするカン・ヒスを助ける。

※22 泮村白丁・・・泮村は朝鮮時代に主に、漢陽成均館を中心に形成された村。牛肉解体を初めとして、雑用的な仕事をさせらており、非常に社会的地位は低い。
白丁は朝鮮時代における身分の一つである。牛や豚を屠殺することを仕事する人で一番低い身分。

※23 摠戎庁・・・五軍営(秀吉の朝鮮出兵・壬辰倭乱ののちに五衛を改変してできた軍制)の中で首都の郊外を担当



チャ・グンニョン (ソン・サンウン)
자근년 (송상은)

カン・ヒスの友人で、小間使い。

性格がせっかちで言葉より行動が先立つ女性で、名前は小さい(자근년→작은녀 小さい女)が図体と気前は山のように大きい。カン・ヒスと同年代であるにもかかわらず、カン・ヒスを自分の子供のように扱い、大事にしている。幼い頃、カン・ヒスがチャ・グンニョンという名前の代わりにソヨン(小媖 小さい女の子)という名前を付けてくれるが、ついにチャ・グンニョンと呼ばれることを願う意地っ張りだ。こうして、人の目には相手のカン・ヒスに勝って食べているように見えるが、いつもカン・ヒスに負けざるを得ない、ヒスを大事に一途に思ってる。



ホンジャン (ハン・ドンヒ)
홍장 (한동희)

妓女。カン・ヒスの友達。ユ・ヒョンボの姉。

士族の女性だったが、変乱中に清に連れて行かれたが、贖還されたことで家門に捨てられる。カン・ヒスとチュ・ダラの助けで帰ってきた後、自ら妓女の道を選択し、カン・ヒスを助ける仕事をする。血を分けた兄弟のユ・ヒョンボに、さまざまな脅迫と暴力で迫害されながらも、言いたいことを言って行動する決断力のある女性だ。



セドン (チョン・ソギョン)
세동 (정석용)

泮村の革靴職人。細作。

カン・ヒスの父親、カン・ハンスン側の人だ。都城、いや朝鮮一の優れた手先の器用さで、気が利くし体が軽い。昔、田舎の士人として漢陽都城に出仕したカン・ハンスンと下宿屋の主人として初めて縁を結び、大きな変乱を経て自然に細作になる。純情でまっすぐな性格で、チュ・ダラと兄弟のように過ごし、カン・ヒスを補佐する。



チョム・イネ (コ・スヒ)
점이네 (고수희)

セドンの妻。細作

家も財産もなしにさまよって暮らし、変乱中にセドンと夫婦の縁を結ぶ。泮村下宿を経営しながら、世間に出回っているうわさや情報を集めている。言うことも言えないことも言えないほどおしゃべりが好きで突拍子がなく、チャ・グンニョンとよく争うが、カン・ヒスと彼女に従う人々に対する義理と俗情だけは誰よりも深い。



ブニョン (キム・ブヨン)
분영 (김보윤)

宮殿の色掌内人。細作。

変乱中、両親とともに清の兵士に捕らわれて清に連れて行かれ、父親を亡くす。母親と一緒に清の人の奴婢として暮らし、カン・ヒスとチュ・ダルハの助けで贖還し、朝鮮に帰ってくる。母親が清の奴婢生活中に得た病気で亡くなった後、セドンとチョム・イネの養女になって暮らし、カン・ヒスの復讐のために宮に入り、色掌内人(宮殿で書札を伝える仕事を担当する内人)になる。

大妃殿と中宮殿、後宮の手紙を運ぶ仕事をしながら、カン・ヒスが宮殿の内密な情報を得るのに役立つ。



草庵 キム・ジェナム
김제남

かつて朝廷の臣僚※24。カン・ハンスンの旧友。

もともと朝廷に出仕して重職を務めたこともあるが、戦乱を防げなかった罪悪感とパク・ジョンファンとキム・ジョンベのような外戚たちが朝廷を掌握したことに対する失望で辞職し都落ちする。私利私欲に揺るがない、芯の固い男で、王の主治医になっても余るほど優れた医術の実力を持っている。 カン・ハンスンとは長年の友人関係で、その娘であるカン・ヒスの傷痕を治療し、カン・ヒスがカン・モンウという囲碁棋士に身分を偽装することを助ける。囲碁に本気なので、娘のようなカン・ヒスの教えを受けるが、実力が伸びず、毎回負ける。

※24 臣僚・・・多数の臣下、家来。



○王室の人達

王大妃パク氏 (チョン・ヨンナム)
왕대비 박씨 (장영남)

先代王の継妃。イ・インの実母。パク・ジョンファンの姉。

性格が火のようで忍耐力がない方だ。自分の望むことのために相手を操り懐柔する能力が優れている。

王妃を輩出してきた家門の威勢を背負って16歳、花のような年に花のような顔で宮に入ってきて、二人を産んだ後、息子を大統(王位を継承する血統)にして、王座にすると決心する。兄のパク・ジョンファンと一つになってイ・インを教えて勢力を育てていくが、表だけ産んで中身は産めなかった息子のイ・インが母親の心をあまりにも分かってくれず、すれ違うだけで腹が立って怒りが爆発する。イ・インが王座に上がった後も、このような状況は変わらない。イ・インがイ・ソンの女性だったトン尚宮を至密に置いて、中殿と後宮を遠ざけると、毎日気が気でない。



チャンニョン公主 (アン・セウン)
장령공주 (안세은)

先王イ・ソンの長女。イ・インの姪。キム・ミョンハのいとこ。

堂々としていて賢い性情を持っているが、父親の情を知らずにひたすら母親の意思に従って生きてきたので、母親のキム氏が残した遺言を守ることが人生の目標になってしまった哀れな少女だ。婚姻する年になると、祖母の王大妃パク氏の思い通りに婚姻することになるのではないかと、弟のムンソン大君を守れなくなるのではないかと毎日不安に震える。



ムンソン大君 (チェ・エチャン)
문성대군 (최예찬)

先王イ・ソンの息子。イ・インの甥。キム・ミョンハのいとこ。

両親の情を知らずに育ったが、姉のチャンリョン公主の分別があり賢い保護の下で育った。

人を簡単に信じられない環境で育ったにもかかわらず、心を交わすことに恥ずかしさがない。他人が親を殺した仇敵だとささやく叔父のイ・インに対しても、おばあさん、王大妃パク氏の疑いを避けるために表では怖がるふりをするが、心の中ではそれなりの判断を下して行動する。命が危険な状況でも姉を守り、自分の意思を守るために勇気を持って行動する少年だ。



中殿オ氏 (ハ・ソユン)
중전 오씨 (하서윤)

イ・インの妻。中殿※25。オ・ウックァンの娘。

きれいな外見ではないが、落ち着いた性情を持ち、王大妃のパク氏に選ばれ、中宮殿の主人となった。だが、3年が過ぎてもイ・インの心をトン尚宮から回すことができず、長男を産めなかったという理由で王大妃パク氏のいじめを受け、心身が崩れ始め、いつの間にか一日も痛くない日がない境遇になる。表向きには何のそぶりも見せないが、トン尚宮を殺したいほど憎む。

※25 中殿・・・王妃



ハン尚宮 (チョン・スジ)
한상궁 (전수지)

王大妃殿尚宮。

イ・インの母、パク氏が中殿になった時から一緒にいた尚宮。王室の禄を得て生活してが、パク・ジョンファンが面倒を見てくれたため、長い間パク氏一族のために生きてきた。



○朝廷の臣僚たち

オ・ウックァン (オム・ヒョソプ)
오욱환 (엄효섭)

驪興府院君※26。中殿オ氏の父。

生まれつきの小人物、天が出したケチな人呼ばれる。一度手にした財物は、空が崩れても決して渡さないという所信を持っており、外戚のパク・ジョンファンの家の敷居がすり減るほど出入りした理由は、ひたすら世の中の富貴栄華を手にするためだった。ところが、イ・インを王座に乗せた手柄で一人娘を中殿の席に座らせ、府院君になると、むしろ光に積み上げた財物が漏れ始める。中殿の懐妊(妊娠)のために広門を開け、朝鮮八道の巫女と道士たちを呼び込み、幾重にもお寺ごとに供養米を捧げ、始皇帝もあっち行けと言うほど名薬の名医を探し回る。

※26 府院君・・・忠烈王期以降の高麗および李氏朝鮮時代に使用されていた爵位である。国舅(王后の父親)および正一品の品階を受けた功臣(朝鮮語版)に対して与えられた。



ミン・ジファン (ペク・ソックァン)
민지환 (백석광)

パク・ジョンファンの右腕。兵曹判書。

目的のためなら、誰でも躊躇せず切らなければならず、切ることができてこそ真の男という所信を持った男だ。一見、物事に明るい理性的な人間に見えるが、実は目的の前に手段と方法を選ばない冷静な人間だ。イ・インを王座に載せた手柄で兵曹判書になった後、パク・ジョンファン(박종환)、オ・ウックァン(오욱환)と共に三ファン(삼환)と呼ばれるほど勢力が大きくなる。外戚のパク・ジョンファンには頭を下げるが、中殿の父親であるオ・ウックァンは見下していつも皮肉を言う。



ミン・サンヒョ (キム・ソハ)
민상효 (김서하)

キム・ミョンハの友人。ミン・ジファンの弟。

兄のミン・ジファンと違って、世の中のことに大きな欲がないお人様。仲間同士で会うと言って、キム・ミョンハとは幼い頃からの友達だ。キム・ミョンハがカメなら、ミン・サンヒョはウサギ。面白いことを探してあちこちにうずくまって歩くのが好きだ。 自らを囲碁の神だと思う。カン・ヒスが賭け囲碁の達人だった時、賭け囲碁を打って思いもよらず(?)勝ったことがある。カン・ヒスが女性だとは知らずに惹かれ、しばらく一人でアイデンティティの混乱を体験する。



チョン・ジェピョ (チョ・ジェリョン)
정제표 (조재룡)

清の官吏。通事 (通訳官)。朝鮮の奴婢出身。

辺境の奴婢として生まれた。頭がよくて気が利くので、幼い頃から国境を越え、聞き覚えで清と明の言葉を習得する。変乱が起きると、清の軍事に投降、通訳として活躍し、その功で使臣団の通事通訳を務める官吏になる。奴婢として生まれ、迫害を受けて育ったという理由で朝鮮を裏切って、細作の役割を合理化し、自分の利益のために行動する。

※画像は全てtvN公式サイトから引用、翻訳
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