原題直訳:天気が良ければ訪ねていきます

※赤字は表現を分かりやすくするために付け足したものです。

  • プログラム情報


『冬が好きな理由はただ一つ。
私の窓を隠していた木の葉が落ちて
向こうのあなたの窓が見えるってこと』

チェロを教えていたことをやめたヘウォンは、 
ホドゥハウスペンションを経営するおばさんのそばでしばらく過ごすことにする。
老夫婦が住んでいた瓦屋が小さな本屋「グッドナイト書房」に変わったのを見て「この田舎に書店…」 怪しむヘウォン。
ノンドゥロンスケート場にいたウンソプは、
彼の本屋を覗くヘウォンを見て、ぎょっとするが…。 

いつか何気なく彼に冬の野原のマシュマロの名前を聞いていた
隣の彼女が帰ってきたから….

すまないと、愛してると、会いたいと、後悔すると、
許してくれと、もう許してしまったと…。
お互いに申し訳ない人たちが長い間話せなかったことを
ようやく勇気を出して伝える話。

  • 登場人物紹介
■人物紹介図


■人物紹介

モク・ヘウォン (パク・ミニョン)
목해원 (박민영)

女/28歳/無職

『私は誤解という言葉嫌い。その言葉はちょっと卑怯じゃない?』
 
角が立つ物も特別なものもない平凡なヘウォンは、他人と少し違う風に生きてきたものがあるとすれば、幼い頃からチェロを演奏したということくらい。そのおかげで注目を浴びたが、それでもいつも平均値の平凡さを維持していたヘウォンだけど彼女の18歳、父親が亡くなり、ヘウォンの人生が少し変わった。
 
母親は父親の死に対する過失致死で7年の刑を言い渡されて刑務所に入り、ヘウォンは叔母と一緒に祖母の住む北峴里(プッキョルリ)に来た。家族を一度に失い、田舎に来て初めてできた友達は、彼女の秘密を他の友達に言いふらしながらソウルの大学に行ったものの、そこには彼女くらいチェロを上手に弾く人が溢れていた。最初の職場で入った教室では、院長から学生まで彼女を人格的に冒涜し、そのようにヘウォンは心を痛めたまま、再び北峴里に戻ってきた。
 
心を痛めたヘウォンが選んだのは心を癒すことではなかった。これ以上怪我をしないため、傷つかないために冷たいレンガで心の壁を埋めるようになったのだ。
 
親切を誤解せず、笑顔を信じず、善意を負担に思い、好意は警戒することにしたのだ。
 
そう受け取る心、与える心もなく徹底的に一人であることを選択したヘウォンはもう泣きたくても全く泣かなくなり、言いたいことが多くてもごくごくと飲み込む方法を知った。
 
あんなに冷たくなった彼女に近付いたのは、ほかでもないウンソプ。
 
『そこで止めて、これ以上近づかないでください』と大きな手を差し伸べるヘウォンにウンソプは他の無礼な人のように近寄らなかった。ただ線の外に立って『アンニョン。』『もっと言いたいことはある?』と聞くだけ。
 
暖かい顔をしていたが、心はいつも寒い日のほのかに暖かいような幸せを信じたかったが、いくら探しても自分のそばにはいなかった、それで幸せはとても近くに、そうすれば私のすぐそばにいたのに、私たちが見られないだけだという浮かれた言葉は嫌がるようにしてしまった、『寒くてもいいんです』とツンと言ったが、実はどこにでも入って体を暖めたかったヘウォンが、
 
私をどうか温かく抱いてください。
 
つかまえて哀願したかったが、一度もそのようなことは言ったことのないヘウォンが、非常に慎重にウンソプに文句を言い始めた。
近づいたウンソプは暖かかった。特に手がそうだった。



イム・ウンソプ (ソ・ガンジュン)
임은섭 (서강준)

男/28歳/北峴里グッドナイト書房運営

『世界で最も長い歴史を持つ夜行性点在組織グッドナイトクラブの皆さん。僕は…失敗しました』
 
北峴里で本屋を経営し、本屋に立ち寄る人々にコーヒーを提供するウンソプ。
 
朝起きてコーヒーを淹れて本を読む。昼間は本屋のドアをしばらく閉めておいて、スケート場に降りて子どもたちと遊んであげる。夜は眠れなくてブログに[本屋日誌]を書き、週に一度町内の人たちと読書会を開く。これがウンソプの長いことしてきた日常。
 
彼の日記はいつも昨日のような話だけだ。そんなウンソプの[本屋日誌]が、ヘウォンが北峴里に戻ってからは少しスペクタクル。
 
1年に2回ぐらい帰省しようかしないか考えていた彼女が、これからは北峴里に長く滞在するという。5年に1度、彼に話しかけるかしなかった彼女が、今や彼の本屋でバイトをしている。同じ教室にいたが、一度も目を合わせたことのない彼女が、彼の目を見て話したり、すれ違ったりしても笑いを見せたことのない彼女が、彼の言葉に笑ったりもする。長い間、ウンソプの心にいたヘウォンが彼に少しずつ近づいている。
 
気軽に心を開きたいけど、それでもいいのか、と思うのは本当に幸せでいたいけど、簡単に歩めないのは幸せの絶頂から消える悲しみが何なのかよく知っているから。
 
ウンソプはそれを二度と経験したくない。



シム・ミョンヨ (ムン・ジョンヒ)
심명여 (문정희)

女/48歳/元ベストセラー小説家

『何で。何。不満があるの?』
 
名門大学文芸創作科を卒業した才女で、大学時代にもミョンヨは有名だった。美しくて文を本当に上手に書くことに。同時に男とよく付き合ってよく捨てることに。
 
そのように輝いた20代を過ぎ、彼女の30代は小説家と旅行家としてはまた違って輝く時間だった。
 
その時も文学および出版業界でミョンヨは有名だった。相変わらず美しく、相変わらず文章が上手で、同時に男とよく付き合って、やっぱりよく捨てることに。
 
そして、彼女の40代。突然、ミョンヨはすべてをやめて、自分の母親の住む北峴里に甥と越してきて、これからは甥を育てることに邁進してみると、一緒に母親が運営するペンションを受け継ぐという抱負を明らかにし、母親を呆然とさせたが、彼女の固執は雄牛も後ずさりする固執であるため、「そうしなさい。あなたの心行くままに生きなさい。」ミョンヨのお母さん、つまりヘウォンのおばあさんはそのことでガンをプレゼントされた。
 
心の中がわからない。何を考えているのか本音を全く言わない。最も親しいスジョンにさえ壁を張ることがとても上手だ。『いいえ、結構です。しないでください。』はミョンヨの専門用語だ。
 
一時、ミョンヨは熱かった。それで誰よりも冷たく冷めてしまった。いつも生きるのが大好きだと言っても、幸せだと言っていたあの時のミョンヨはもうなく、ただ生まれたついでに生きる、息のついでに支える再び弱くなったの女だけがここに残ることになった。
 
いつもサングラスをかけている。寝る時も使って寝るという話があるが、本人は「ファッション哲学」と主張する方だ。



イ・ジャンウ (イ・ジェウク)
이장우 (이재욱)

男/28歳/ヘチョン市庁公務員

きれいな笑顔が魅力的な自称ヘウォン市の宝物。イ・ジャンウ。小学校の時から全校トップに全校会長を逃したことがない。ソウル大学に合格した彼が公務員になって故郷に戻った時、みんな『ジャンウ、お前が公務員だなんて。お前はもっと派手な仕事をすると思った。』と言ったが、故郷の公務員になることを望んだのは、ほかならぬジャンウの両親。  ジャンウはいつも両親の望みを熱心に叶えようと努力する親孝行者だ。しかし、何と言うか。その願いは何か終わりもないというか?公務員として一生懸命働けば「もういいだろう。」思ったが、早く結婚しろとイライラ。俺イ・ジャンウ。やっと28歳。満26歳。結婚だなんて。これは話にならない。
18歳の時にもそんなこと言われたことはあったけど、冗談じゃなかったなんて。市会議員の父親と医師の母親の名声に恥じないために一生懸命生きてきたジャンウは、いつも親の要求事項にぴったりの人になろうと努力したが。両親の要求事項がどうやら自分が望む幸せとつながっていると思っていたが。それでも結婚だけではない。団欒で可愛らしい家庭を築いてきた家族と近所で仲良く暮らすのが両親の夢だったとしても…。結婚だけは好きな女としたい。例えば建てた室のような まあ、ただそうだって。



キム・ボヨン (イム・セミ)
김보영 (임세미)

女/28歳/英語補習塾講師

ヘチョン市内の郵便局の隣の部屋の娘、ボヨン。一男二女の第一子。典型的な息子を大事にする家の長女として生まれ、いつも冷遇されてきた。大学にも行かせないというのをなんとか言い張って大学に行ったのだ。
 
どこでも自分が輝いて注目され、雰囲気を引き出してほしいタイプ。しかし、ボヨンは望む以上とは異なり、注目を受けたり好感を買うスタイルではない。自分がそんな人になれない自責の念を頑なに隠し「それでもこの町では、自分がいいんじゃない?」と一人で精神勝利※1をしながら生きてきたが、そのような彼女の前にヘウォンが現れた。ヘウォンはソウルから転校してきたチェロを弾く子。来るやいなやみんなの注目を受け、性格も良くて、みんなが好感を持った。そんな彼女と親しくなれば他の友達から羨ましがられそうだった。近づいて親しくなったら、友達がボヨンを羨ましがるどころか、みんなヘウォンだけを眺めている。
 
ヘウォンが嫌いだったわけではない。それでも良かった。心から好きだった。もしかしたら、いつも自分自身だけを気遣いたかったボヨンに、本当に好きなことができたが、それがヘウォンかもしれないと思う。
 
しかし、ボヨンが考える「誤解」で彼女と遠ざかり、ボヨンはいつもヘウォンと再び親しくなりたがっている。なぜなら、それは本当に「誤解」だから。本当にヘウォンが考える「誤解」だから。
 
絶対に悪い役割をしない。良い役割をしなければ、それだけでもしてこそ人々がボヨンを見てくれることを知っているからだ。

※1 精神勝利 (정신승리)・・・実は勝ってない又は不利な状況なのに、自分に有利な小さいことを見つけて、自分が勝ったとか有利だとかして、現実を否定や歪曲する考え方。



イム・フィ (キム・ファニ)
임휘 (김환희)

女/18歳/ヘチョン高校2年

ウンソプとなんと10歳違いの妹。
 
礼儀がなくうるさい。とても落ち着きがなく歩かずにいつも走り回る。自転車に乗りながら誰もいなくても『みんなどけ!!』と叫ぶ。お母さんとお父さんにずっと『買って。』『出して。』『やって。』と言う。一人だけのお兄ちゃん、ウンソプには絶対オッパとは呼ばない。フィがウンソプを呼ぶ用語は『おい。』『おい。イム・ウンソプ。』『おい、ウンソプ。』『おい、お前。』ぐらい。
 
友達がいない。もともとこんなにうるさくて落ち着きのない子たちは友達がいないもの。しかし、それでもご飯を一人で食べるわけではないのに、それはかわいそうなので見過ごす友達、クォン・ヒョンジがいるからだ。
 
学校で一番勉強ができるヨンスが好きだ。当然ヨンスの気持ちなんか関係ない。

■ブッククラブ会員たち

ペ・グンサン (イ・テヒョン)
배근상 (이태형)

男/47歳/LED照明営業

『ハハハハハ!!』豪快な笑顔が素敵な男、グンサンは初めはLED照明営業のためにグッドナイト書房に立ち寄ったと思われるが、いつの間にか本に夢中になって読書会に熱心に出ている熱血会員だ。
 
幼い頃、ヘウォンの母親であるミョンジュを慕っていた男子生徒の一人。未婚の独身男性。



クォン・ヒョンジ (チュ・イェジン)
권현지 (추예진)

女/18歳/ヘチョン高校2年

ハニム薬局の娘。幼い頃はヤシの木の髪を自慢しながら木馬に乗って遊んでいたが、今はショートカットでシックな表情がトレードマークの高校2年生だ。裸も白く目鼻立ちもくぼんでいて、髪を伸ばせばきれいだと思うが、本人はどうしても拒否。『なんで伸ばすんですか?疲れるのに。』ヒョンジの夢はラッパー。舞台でラップをするのがヒョンジの夢だが、オーディション番組には絶対出ないつもりだ。有名になる計画だが、有名税を得ないだろう。大衆の共感と人気を集めるラップを書きたいが、ありふれた感受性が嫌いだという。そのように誰よりも困難な進路を選んヒョンジは、とても世の中にシニカル※2だがかわいそうなことを我慢できない性格のおかげで、いつも読書会の時に母親に内緒で盗んだカイロをスンホとスンホの祖父に渡してくる。かわいそうなことを全く我慢できないおかげで、友達が居ないフィと一緒にご飯を食べてくれる。

※2 シニカル・・・皮肉っぽい態度をとるさま。



チェ・スジョン (イ・ソニ)
최수정 (이선희)

女/48歳/専業主婦

大学生の娘と軍隊に入った息子。建設会社の現場所長である夫を持つこの時代の普通の女性。家で花も育て、編み物もし、くるみパイも作る。時間が余ったらあんずパイも作り、マフィンも焼いてクッキーも焼いて村に回す。さらに時間が余れば、キルトを作って町内に売り渡すこともある。
 
名門大学の文創科※3を出たが、ミョンヨのように文才がなく文章を生業にすることができなかった。しかし、誰よりも本をたくさん読む文学少女。
 
ミョンヨのベストフレンド。ミョンヨのすべての男に出会い、ミョンヨの人生の喜怒哀楽にいつも一緒にいた。 それで、今のミョンヨがあまりにも残念だが、絶対に表には出さない。

※3 文創科 (문창과)・・・文芸創造学科 (문예창작과)の略



チョン・スンホ (ハン・チャンミン)
정승호 (한창민)

男/9歳/プッキョン小学校2年生

祖孫家庭※4の子供だが、苦労を表に出さない。いつもしっかりしてる。学校が終わったらグッドナイト本屋に行って本も読んでスケートもするスンホ。いつもウンソプが面倒をよく見てくれて、とても温かい子供。ウンソプにはおじさんと呼び、ヘウォンとヘウォンの友達にはヌナと呼ぶ。ミョンヨにはミョンヨさんと呼ぶ適切な社会性も持っている愛らしい子供だ。

※4 祖孫家族 (조손가정)・・・祖父母による孫育て



チョン・ギルボク (イ・ヨンソク)
정길복 (이영석)

男/77歳/古紙回収

古紙を拾って生活するスンホのおじいちゃんはある日、息子が育ててほしいと連れてきたスンホだけを見て生きていく。体が疲れて休みたい時があってもスンホにご飯をもう一度食べさせようと毎朝古紙を拾いに歩き回る。

■ヘウォンの家族



シム・ミョンジュ [ヘウォン母] (チン・ヒギョン)
심명주 [해원모] 진희경

女/50歳/無職

町内の人々を見るかのように婚前妊娠し、23歳のその幼い年に結婚して6ヵ月も経たないうちにヘウォンを産んだミョンジュはヘチョン市で一番きれいだった。 そのきれいな顔にふさわしく、もともと高慢で冷たい性格だったが、その時代、ヘチョン市の男子生徒たちの初恋の相手は全部ミョンジュであるほどだ。そのようなミョンジュが、自分が好きだというあらゆる男を捨てて選択したのがヘウォンの父親、チュホン。チュホンはミョンジュの言葉なら何でもする男たちの中でも一番熱かった男。プライドが高く田舎から抜け出したかったミョンジュは、自分がこき使いやすい相手を選んで結婚するや否やソウルに上京した。



ユン・ヘジャ [ヘウォン祖母] (イ・ヨンナン)
윤혜자 [해원 조모] (이영란)

女/生きているなら72歳/クルミハウス運営

20歳で結婚し、22歳でミョンジュを産んだ。その時まではとても遅く子供を持ったのでヘジャは心の苦労が多かった。ミョンジュを産んで3年後にミョンヨを生んだその翌年。夫が死んだ。その時からヘジャ 
一人で娘を育て始めた。女性一人でできることは何だろうか、考えて探したのが、結婚する時にもらった少し大きい家の空き部屋に賃貸したのだ。その後、その部屋に客を受け入れ始めたのだ。そのように民宿を構えた。ペンション事業が人気を集めると、これまですべてのお金をつぎ込んで2階建ての家を建てて、飼っていた子犬の名前を取った「クルミハウス」を設けるまで。子供一人は一人前の家に嫁いで、もう一人は大学に送り、小説家にするまでヘジャの人生は忙しく、苦しかった。やっと両足を伸ばして残りの老年を楽しんでみたかったが、長女は両目にあざができてたまに家を訪ねてくると、結局夫を殺したと刑務所に行ってしまい、残りの次女は長女の甥っ子を見ると書いた小説も書かずに田舎に帰ってぶらぶら暮らし始めた。ヘジャの胸には再びあざができ、そのあざは癌になって全身に広がった。二人の娘はそんな彼女の気持ちも知らず勝手に生きているのに。



モク・ジュホン [ヘウォン父] (ソ・テファ)
목주홍 [해원부] (서태화)

ヘウォンの父

■ウンソプの家族

イム・ジョンピル [ウンソプ父] (カン・シニル)
임종필 (은섭부) 강신일

男/64歳/あらゆる町内の仕事専門。歓迎

ウンソプとフィを本当に愛するウンソプ父。女に身動きも取れない恐妻家で娘バカのこの男は実は、がさつでタフだ。前世で木こりだったかと思うほど木を上手に割る。
 
しかし、いつもウンソプ母とフィにどうしていいか分からない男。他の息子、父親がそうであるように、ウンソプはまるで学校の後輩のように接する男。
 
しかし、実はウンソプ父は、ウンソプざ本当に誇らしい。よく育ってくれて。そして、自分によく似てくれて。



ユン・ヨジョン [ウンソプ母] (ナム・ギエ)
윤여정 [은섭모] 남기애

女/60歳/専業主婦

北峴里で最も美しく清純なウンソプ母。ソウル出身。ウンソプを本当に愛してる。この世にウンソプさえいればいいからといって、ウンソプ父を悲しませる女。

■北峴里の人達

チ・ウンシル (ヤン・ヘジ)
지은실 (양혜지)

女/28歳/カンヌン市役所公務員

ジャンウの初恋。芯が強くて明るすぎる。そのため、学生時代、ジャンウの告白を軽くしてしまった。『あら。ごめん、私はあなたに関心がないんだけど?』ということを着実に努力して得てきた私の誠実男、ジャンウは熱心に準備したイベントとバラの100本をとてもくだらない物扱いをするウンシルにひどく傷ついた。ウンシルは他の意味があってそうではない。ただ、その時は、ジャンウが気に入らなかった。ジャンウが一言一句書いた手紙もなんだか貧乏臭いように見えた。久しぶりに行った同窓会でジャンウに会ったが、依然としてあの時のその姿そのまま。ただ、ウンシルが少し変わった。ウンシルはやっとそんなに真面目な男が素敵だということを少し知った。



キム・ヨンス (キム・デゴン)
김영수 (김대건)

男/19歳/ヘチョン高 3年

できるのは勉強だけなので勉強をするというヨンスの夢はただソウル大に行くことだ。ソウル大に行って、この町を離れて新林洞(シルリムドン)に行くこと。新林洞に行って大学を卒業した後は、この町に永遠に来ない。そうしてこの町で永遠に住みそうなイム・フィを見ないことだ。なぜ必ずソウル大なのかと尋ねると、この成績に農漁村特別選考※5をそっと加えれば行ける所がソウル大なのに、あえてその学校ではない他の所に行かなければなりませんか?聞くだろうからそんな質問はどうかパス。イム・フィが最初から嫌だったわけではない。フィが黙っていた時は、それでも好感があった。だが、いきなり『私はあなたが好きなんだけど?』という時、とても情が無くなった。それでも。それでも、何と言うか、あいつが悪くなかったというか。しかしフィがいきなりヨンスに「昨日は何をしたの?僕は本を読んだ。小説だったのにごちゃごちゃ』言い始めてからはフィはアウト。口数の多い女はすごく嫌だ。さらに先輩である自分にいきなりタメ口だなんて。あきれるほどなのに。余計な正義感に燃えてフィを救ったが、より大きな侮辱感だけを抱くようになった。ヨンスにフィは本当に不思議な存在いつもヨンスを当惑させ呆れさせながら、さらに恥ずかしくまでさせるのに何度も目を向ける存在だ。小説が好きだ。小説家が夢だ。正確に言えば、ソウル大学を出た小説家が夢だ。

※5 農漁村特別選考・・・都市部に比べて劣悪な教育環境を持つ農漁村高校生たちの入試を助けるために作った選考。



チャン・ハニム (イ・ボンニョン)
장하님 (이봉련)

女/47歳/薬剤師

大学の時から付き合っていた彼氏と当然結婚すると思っていたが、あいつは妊娠だけさせて逃げた。家が豊かなおかげで市内に薬局を出すことができたが、その次からは、正確には、子供を産んで育ててからは全て彼女の仕事だった。一人で粘り強く現地を育てた。ちゃんと育ててるか、育てられないか考える暇もなく。



パク・ヒンドル (ユン・サンファ)
박흰돌 (윤상화)

男/51歳/世紀書林代表

プライドが強く負けず嫌いな文学家。豪快なふりをするが、心の片隅はか弱い思想家。学生時代。ミョンジュが密かに好きだったが気弱な性格と数多くのライバルによって軽く放棄。その後、ミョンジュが嫁いでしばらく忘れていたが、夫を殺して監獄に入ったという話を聞いて、その時からヒンドルはミョンジュに手紙を書き始める。大したことではない。良い詩や良いポエムを書いて送ることだ。彼女が読んで気持ちが少し良くなりそうなもので。パク(박)、ヒン(흰)、ドル(돌)の名前を3文字書いて。どうか自分を分かってくれることを願う気持ちで。相変わらずあの時代の少年のように。

■その他の人物

オ·ヨンウ (キム·ヨンデ)

오영우 (김영대)

男/28歳/バリスタ。コーヒーショップ運営

ハンサムだ。そして冷たい。ヨンウはそんな子だ。小学校の時からヨンウは一人で、母親はいなかった。闇金をする父親はいつも忙しく、ヨンウはそのように捨てられた。父親は時々、稀に家に来て、その度にヨンウを無差別的に殴ったりもした。それは小学校の時も、中学校の時も、がっしりとした体格を持った高校の時もいつも起きていたこと。そのように育ったヨンウは暗く、冷たくて無礼極まりない。
 
それでもどこに行っても、人々はヨンウを褒め称えたが、それはただヨンウがハンサムだという理由だけで。周りの環境に無関心だという理由だけで。
 
合同音楽授業の時、ピアノを弾いていたヘウォンは幼い頃、夢で見たような母親の姿と似ていた。その姿がきれいで近づいたが、ヘウォンはあまり彼に関心を持たず、ヨンウはそれが不思議なほどだった。近づいて振ってみても、ある程度の隙間を作ったまま、これ以上近づかなかったヘウォン。久しぶりに故郷に彼女が来たという。その上同じ学校だったのかも知らなかった男の子と会っているような気分。「どうしよう?じゃあ、訳もなく行って振ってみたいんだけど?」



チャ・ユンテク (ファン・ゴン)
차윤택 (황건)

男/48歳/出版社編集長、旅行小説家

ミョンヨの大学時代の彼氏。特に美しい外見を誇るわけではないが、心が本当に綺麗な男。慎重で思慮深い。ミョンヨが捨てた数多くの男の中で、ミョンヨが唯一忘れられない男。ミョンヨが数多くの男性に会って付き合っている間、ユンテクは何と言うか、木の柱というか。ミョンヨといつも付き合っていたし、いつも見捨てられていた。正確に20年くらい。当然、ミョンヨと結婚を考えたが、ある日、彼女は甥と故郷に帰って暮らすとユンテクを捨てた。実際、ユンテクはミョンヨが再び戻ってくると思った。ユンテクはミョンヨに数えきれないほど振られたが、ミョンヨはいつもユンテクを再び訪れたりしたからだ。しかし1年が経って、2年が経っても彼女は戻ってこなかった。ユンテクはようやく、ミョンヨを握っていた最後の紐を放し、家庭を築きたい熱望で他の女性と結婚した。愛情なしに始まった結婚生活なので当然破局に突き進むと思っただろうが、愛あふれるユンテクは彼女と幸せな結婚生活を送り、子供ができず互いの幸せを祈りながら離婚した。その間、ユンテクは2人の女性にさらに出会い、いつものように心から彼らを愛し、いつものように子供ができず離婚した。皆、ユンテクにミョンヨの安否を伝える。まだ故郷に住んでいるって。文は書かないって。甥を本当に育てるんだって。誰かが訪ねて行ったのに門前払いばかりされたって。悪口を言ったんだって。悪口を。  ユンテクもミョンヨが気になる。しかし、彼女を訪ねることはできない。それが彼女に捨てられた彼が持つ最後のプライドだ。

※画像は全てtvN公式サイトから引用、翻訳
閲覧ありがとうございました☀️