神奈川気功太極拳倶楽部・横浜武術院では「健身気功 五禽戯」だけではなく「伝統華佗五禽戯」の普及活動も行っています。今回は「五禽戯」について説明をしながら、「健身気功と伝統華佗」の違いを紹介できたらと思います。

 

五禽戯の成立は中国後漢時代末(2世紀頃)、約1800年のという長い歴史を持っています。古代中国の民間に伝わっていた導引という健康体操を基に、「神医」と呼ばれていた「華佗・かだ」によって作られた体力増強法です。

 

華佗は薬学・鍼灸に非凡な才能をもった医者で、同郷の曹操の典医でもありました。映画「レッドクリフ」などにも登場していますし、中国ドラマ「三国志 軍司司馬懿」の中では五禽戯(健身気功ですが)が登場しています。史実の記述では陳寿(233‐297)の『正史三国志』「魏書」の中の「方技伝 第二十九 華佗伝」で紹介されています。

 

この華佗が創始した五禽戯が「伝統華佗五禽戯」と呼ばれ、中国安徽省亳州市ではいまでも大切に受け継がれ、人々の健康を支えています。

 

 

 

 

この「伝統華佗五禽戯」の動作や理論をもとに、上海体育大学が研究をして、編集したものが「健身気功 五禽戯」になります。共通した動作は少ないのですが、その要素をふんだんに取り入れて作られています。

 

五禽戯の要素というのを先生のブログから一部引用すると、まず「五禽戯」の「五」とは五行思想と五臓学説、経絡学説などをと入れて研究し、5種類の「禽獣(虎・鹿・熊・猿・鳥)」の性質を合わせ、その動きを模倣する形で行います。

 

成澤先生の「五禽戯の概念」についてのブログ

 

上に紹介したブログの中でも、先生が説明していますが、この「戯」という感覚が、五禽戯を行う上ではとても大事ということです。中国武術運動の特徴として、“武技” “武舞” があり、出陣前の軍舞のことを「戯:武戯」と呼んでいたそうです。そんなことを思いながら、映画やドラマを見てみると、健康体操である五禽戯も少し印象が変わって来るのではないでしょうか。