(※4月30日AM2:30、記事の内容を一部、加筆・修正しました…雑に書いたら読みにい記事だったので…)


…昔々、車好きの青年がいました…

幼い頃から車好きだった青年…免許を取ると、狂ったように、毎晩、車を走らせては楽しんでおりました…


そんな『車遊び』…言葉にすれば簡単ですが、いかんせん、そこは18そこらのシャバ憎…学生身分のバイトで稼げる収入はたかが知れていました。…毎晩走り回っていれば、ガソリンは減り、オイルはヘタリ、タイヤも磨耗していくワケで、当然『収入と支出のバランス』が大きく崩れてきたんです…。



さて、当時、青年の乗っていた車は『EP82』スターレットでした。

『4E-FTE』という直列4気筒Egを搭載したFF車両です。

『4E-F…』と紹介しましたが、このEg型式上の『F』は『フューエルエコノミー』の略(…だったと思います)。

判りやすく言えば、『お買い物車』に搭載されるEgと言うワケです。

(※AE86等に見られる『4A-GE』の『G』は逆に高圧縮Egを意味します。スポーツ走行に適したEgですね。)



『EP82』は、青年が以前に乗っていたコルサのEg(1.3L直列4気筒『4E-FE』(約85ps)Eg)をベースとし、ターボを搭載した事で約135psを叩き出しています。

明らかにオーバースペックなEg…ソコに約800kgの超軽量コンパクトボディだもんですから…かなりクセの強い車でした…。(…実はこのEP82…前出の中年男性が用意した車でした。)



足回りこそビルシュタインのサスにクスコの1wayデフを組んでいましたが…

…タダでさえアンダーステア傾向の強いFF車両において極端に『フロントヘビーなウェイトバランス』…

…そして『下がらない車高』(下げすぎるとマフラー等が地面に当たる為、市販のバネは長めなんです)…

…更にはパワステとは名ばかりの『半・ナマステ』…

…トドメにはアクセルONで見せるアノ『じゃじゃ馬ぶり』…。


青年はソレまでにコルサ・S13 Q’sと乗り継ぎましたが、その車には相当手を妬いたそうです…。

前に乗っていたS13 Q’sのようにコーナリング時にアクセルをONすると、足がついてこない事もしばしばでした…。




…悪戦苦闘の証か…1年もすると青年の『EP82』はベコベコとなりました…。
しかし当時、薄給の学生だった青年には、日々のガソリン代やオイル・タイヤ代だけで手一杯…板金のお金を捻出する余裕なんてありませんでした…。


…さりげなくガタつくコーナーレンズ…

…さりげなく『くの字』にへこんだハッチバック…

…そして、ブッシュが行方知れずになったことで、さりげなく盤線で吊られたマフラー…。



そんなこんなで(?)、たまに『閉まらなくなるハッチバック』や、たまに脱落しては引きずられて『火花を散らすマフラー』と言う『特別オプション』を抱えた『EP82』…

…コンパクトな見た目も手伝って、『トレンディー仕様』とは真逆の『バラエティー仕様』でした。



そんなボロボロの『EP82』見かねて、当時、車関係の仕事をしていた友人は『下取り流れ』(←バレたらクビです!!)の車を幾度となく青年へと勧めてきました(…5~6万がザラでした)。


しかし時の流れの成せる技と言うべきか、不思議な事にあれだけ悪戦苦闘した『EP82』に対して、いつしか青年は愛着を感じるようになっていました。


…きっとひとつひとつの傷やヘコミに思い入れがあり、青年なりの愛着が湧いていたんですね。

(…だったらボロボロにするなと言いたいですが)


青年にとっては比較的長期に渡って乗り続けた『EP82』…その車から学んだ事は、初代・コルサに勝るとも劣らなかったでしょう…。



…スペアタイヤを積んで山へと通った事…

…寒い山で真っ赤になったタービンに手をかざし、暖をとった事…

…山の斜面でタイヤ交換を実行した事…(真似してはいけません)

…テールトゥノーズで後輩のリアバンパーをプッシュした事…(絶対に真似してはいけません!!)

…ぬかるみにハンドルを取られ、危うく海に落ちそうになった事…(エ?)

…スピンの最中に目の前をFバンパーが飛んでいった事…(ヲ?)

…HBをへこませた翌日、反対側から蹴りなおした事…(…ヒドイ)



…良い行いも悪い行いも…青年にとってはその全てが良い思い出のようです…





…そんな『EP82』は走行が20万kmを突破した事で手放す事になりました…




愛着ある『EP82』とのラストドライブは知人の解体屋でした…

…そして解体屋の門に僅か50m手前まで迫った時…




…ドンッ!!…




…己の死期を悟ったのか、けたたましい音と共にボンネットから激しい白煙を登らせ、突然の『Egブロー』…




ナケナシは車に感情が宿るとは思いませんが、しかし、当時の青年はあの『EP82』の『最後の咆哮』から『特別な何か』を感じたそうです…。


多くの傷をつけてしまいながらも、毎晩、青年の足として動き続けてくれた『EP82』…ナケナシから言わせれば決して幸せな車とは言えなかったでしょうが…。