なんて、なんて言えばいいの。


公開してた時も見たいなって思ってた作品だったけど

タイミング合わずで、

ちょうど本日監督をされている片山慎三監督の

最新作「さがす」が公開されたので

「さがす」を観る前に観ておきたくて鑑賞。


「さがす」の前に観ておいた方がいいよって

お勧めして頂いたのです。


いや、うん、凄かった。


監督はこの作品が初長編デビューで

話題になってた

『パラサイト半地下の家族』『母なる証明』の

ポン・ジュノ監督の助監督として

経験を積んできたんだとか。



それを意識して観ると韓国映画独特の

映し方や表現の仕方、人間のえぐみの部分

その鱗片が感じとれるというか。



とにかくね、えぐられました。


いろんなものが胸の奥底を

ぐっちゃぐちゃにしてくるのですよ。


今の日本映画ではここまで映し出すことは

ほとんどないんじゃないかなと思います。


自閉症の妹と障害者の兄。


日本の貧困の現状。生々しさ。


それだけに胸を痛めるだけじゃない。


それを観て自分が感じる感情に混乱して

悩まされて、心痛めて。


心痛めたただ観てるだけは偽善者でしかない、

だけど今はこの作品を観て知って感じるしか出来ない


出来てない。


でも他人事じゃなくいつでも

自分に降りかかって来るかもしれない未来でもある。


2人のやってる事はもちろん良くないし犯罪だけど

でも当事者としては仕方のない事で

じゃあどうやって、どうすれば生きていけるの?

どうすれば平等に扱ってもらえるの?

どうすれば普通に人を愛せるの?愛してもらえるの?


その答えがあの2人のあの時には

ひとつしかなかった

ひとつしか思いつかなかった




誰も責めれないの。


誰も悪くないの。


生きるためにただ必死なだけ。


そこに手を差し伸べられるのは

周りの人達しかいないのに。






ものすごく考えさせられます。





ちょうど今「王様ランキング」っていう

アニメも見てて、


耳の聞こえない、目の見えない人を見て

ダイダは弱者だと言う。

そして5体満足の自分を強者だと信じて疑わない。


そんなシーンで指南役


「それは彼と同じ立場になったら

生きていけないということか?」と問う。


「一般的に弱者だと見られる

境遇になっても生きている

らのほうがよっぽど強いのではないか」と。



そんなシーンを見た後にこの映画を見たからこそ

余計にハッとする事が多かった。


人はいつの間にか自分でも気付かないうちに

「人よりも勝っているもの」を探してる気がします

もちろんみんなじゃないしいつもじゃない。


そして勝ってる事が何よりも強いと信じてやまない。


でも果たしてそれは本当の強さなのか?




映画の中ではこの兄妹は弱くて脆くて悲しくて。


苦しくて仕方がなかったけど。


だけど、わたしには


誰よりも良夫と真理子の方がよっぽど

強く生きてるな、と感じさせられた。




最後のシーンは考えても考えてもわからない。



圧倒的違和感と、やるせなさが

一気に押し寄せてして、

真理子をどうしようもなく抱きしめたくなった。