なかよし創立60周年をお祝いして

先日、6月9日(日)“なかよし60thだよ全員集合!”が行われました。60年前の第1期卒園生から10年前卒園の第50期生とその保護者そして旧職員の皆様総勢223名がなかよしで一堂に会しました。

懐かしい面々が次々に現れて歓喜の声がそこかしこに響きます。

卒園してからもそれぞれの節目になかよしを訪れていた子(方)もいれば、卒園以来の再会の子(方)もいます。すぐに顔がわかる子もいれば、『あれ、誰だっけな・・・?』そんなときちょっと焦ります。せっかく来てくれたのに・・。『当ててみて?』でもそんな会話を続けているうちに『あっ、○○だ!』顔の造作、目の表情が昔のままの面影で教えてくれます。

中には私の勤務する前からの1期から11期の方もいます。1期生は今でもなかよしにご縁があり、園児達に歯科検診を行ってくださる森歯科の院長先生です。また、思い出写真館で写真を見て当時を振り返りながら『○○先生はどうしてますか?』と聞かれても分からずに失礼した方もいます。それでも妹さんを担任したつながりが見えてきてそのお兄さんは『私は今でも当時と同じ家に住んでます。こういう集まりは自分の周りにはないので、今日はとても楽しいです』とご挨拶いただきました。グループホームから来た車椅子のRちゃんはヘルパーのMさんと来ていました。ヘルパーのMさんは卒園児保護者の方です。偶然にもなかよしで繋がっていたので今日は一緒にやってきたということでした。48歳になるAさんは自閉症の世界を生きていてこの日はお母さんと一緒に来ていました。『この人(Aさん)ったら、なかよしの歌が始まったら口ずさんで歌ってんのよ。なかよしコドモエン♪のところは相変わらずヨウチエン♪だったけど・・・』可笑しげに言ってました。Aさんはなかよしの歌を聴きながら40数年前がよみがえったのでしょう。これも嬉しいことです。そうかと思うと、当時の写真を見て『僕だけどうしてはっぴを着てないの?』(なかよし祭りのあのタマネギで染めたハッピのこと)それに対してお母さんは『あなたはあの時どうしてもはっぴは着ない、と言い張ったの。そのときの担任の手島先生があなたの気持ちをわかってくれて着なくていいと言うことになったの。でも、見て!年長さんになったらちゃんと着て写っているでしょ。年中さんの時に着れなくても、年長さんになったら着れている。なかよしはそういうところ。』嬉しいことを覚えていてくださるものです。だから、『孫がいたら絶対になかよしに入れたい』そう断言してくれました。こどもを一人の人格として尊重し、そのこどもの気持ちを理解して応援する。そんな中でこども達は育ち、大人達もそうしたこどもの姿に教えられる。そして保護者の方達と大事にしたいことを大人同士が共有できる。それがなかよしなんだと確かめられた思いでした。

 

10年前の50周年の時はPTAの方にも実行委員会を一緒にやっていただき、1部は対外的にもお付き合いのある方々をお呼びして、2部は今回のように同窓会形式でなかよしの半世紀という歴史的な年をお祝いしました。実のところ10年後の60周年は素通りしてもいいかな・・そんな気持ちでいたときに私や菅野先生の気持ちを超えて『大同窓会、やりましょうヨ!!』と積極的に乗り出してきたのが園長、副園長、そして十数年間なかよしで卒園児達を送り出した先生達でした。自分が関わったこども達がどうしているか、ただただ卒園したこども達に会いたい、その想いがあったのだな。そういえば私もその昔卒園したこども達が園を訪ねてくるたびに『カワシマ(当時はこう呼んでいました)、どっか行こうよ・・』そう言われて時々出かけているうちに“なかよしキャンプ”(小学3年生~中学生のキャンプ)が始まって公私の時間も厭わずにやってきたことを思い出します。

今は社会事情が変わってなかなかそうはいかないけれど、なかよしってこども達にも保育者にもそういう気持ちを沸かせてくれるところなんですね。今も昔も変わらない・・・。

当日は今年度役員になったばかりの方にもお手伝いいただきました。駐車場案内に立って頂いたり、会場で気を配って頂いたり、会長さんにはご挨拶頂きました。同窓会が解散したあとは皆さん進んで片付けに回ってくださり、これも昔と変わらない、と思ったことです。

 

そう思うと、なかよしにはこうした思いが目には見えずとも通っているのを感じます。

今年は畑の会が始まっています。今日の乳児組の苗植えも明日の幼児の苗植えも、人手が必要だからと皆さんで声かけ合って手伝いに来てくれています。そこでまた姿が重なります。

その昔、まだなかよしには畑がない頃でした。園庭隣の通信隊の敷地内をこども達の収穫できる畑にしたいと、篠竹の根っこをスコップで切りながら保育者3~4名で開墾したときのこと。当時の大野先生がいともフツーにお母さん方に声をかけてくれて、お母さん方も声がかかったら行くわーみたいな感じで10名近い方が集まってくれて畑を耕したのを思い出しました。そのときの様子に似ている・・・。

 

 なかよしの古今東西。いろいろ姿は変われど大事なことが息づいているな・・・そんなことが確かめられた嬉しくて楽しくていい時間でした。

創設で力を発揮してくださった方々、そのあとのいくつもの難局を越えてきてくださった方々、そして今次の未来へつないでいく人の輪の息づかいが感じられます。

これからも “なかよし”がここに来るとほっとするような、今の自分を好きになれるような、そんな人の人生を豊かにしていく通過点でありますように・・・

なかよしに感謝! 皆さんに感謝! こども達に感謝!

                              

  2024.6.28

理事長 川島佐和子