ゴールデンウィークが終わり、
物思いにふける。
あれから1年が経つのか…。



この一年、
わたしはずっと
海の底にいるようだった。




去年のゴールデンウィーク明けから
ぼくちゃんは
学校へ行きたくなくなってしまったのだ。



突然の出来事に
え?
え?

え…。

今まで
そんなことなかったのに…
まさか自分の子供が。



そこからが
海の底のはじまりだった。



わたしは毎日
無理矢理に引っ張って
学校へ連れて行った。



ママ、やめて。


泣くぼくちゃんを
わたしは
大声で怒鳴りながら…


今思うと
わたしはどうかしていた。
けれども
その渦中はそうしなければと
思ってしまったのだ。



朝はただでさえ時間がない。

お客さんが来てしまう。
その前に
学校に連れて行かなきゃ。




桜が散ったあとの
緑の葉っぱが眩しかった。
その
桜の木の下を
わたしは
毎日
無理矢理に
ぼくちゃんを引っ張った。




休めば癖になる、
今が踏ん張り時。
泣いても行かせろ


そう言われて

ここでわたしが頑張らなければ
いけないんだと

夫やお義母さんの
ピリピリした空気が毎朝苦しかった



学校に行かなければ
それはわたしの責任になる



どっしりと重い何かが
頭も心も支配してくる





緑色だった桜の葉は
気づいたら
カッサカサの
茶色い落ち葉になっていた
   


そのカッサカサの茶色い落ち葉を
踏みつけながら

わたしは
正しさに支配されて
鬼の形相で
ぼくちゃんを毎日必死で引っ張っていた



この手を引きながら
わたしは 
どこに向かっているんだろう

どう考えてもこれは
良くない方へ向かっている


でも
わたしは
ビリビリしたあの人たちの空気が怖くて



ぼくちゃんのためじゃなく
自分のために
無理矢理に引っ張って
学校へ行かせたのだった


わがままに育てた
ママは甘すぎる
もっと強くなれ


そうお義母さんに言われて
毎朝毎朝言われるのが辛かった


あまりに毎日言われて
わたしも何かが壊れてしまった


なんでみんなそんな
行け行け言うのよ
なんでわたしだけが
その責任を負うのよ

自分は関係ないみたいな顔してさ
母親だけの責任にしてさ。

この人たちは怒ってればそれで
今まで誰かがしてくれて
解決してきたんだろうな

エネルギー強い人ってそうだよね。
そうやって人を恐れさせて
人を動かすんだよね。

ま、
それが怖くて怖くて
動いてしまうのが
わたしなんだけどさ。





朝に無理矢理引っ張って、
いや
引きずって学校に連れて行って
朝に全部の気力を使い果たして

ボロボロのフラフラで
自分のサロンに行く。




ああ、
やっとここに来れた。




ネイルをしているときだけ
息ができた。



あぁ、
自分のサロンがあってよかった。
ネイルがあってよかった。
お客さんがいてくれてよかった。


この何年か、
わたしは苦しくて苦しくて
なんか白髪もめっちゃ増えた。笑

でも、
そんな時
ネイルしてるときが
めっちゃ楽しい。
嫌なことも忘れられる時間だ。



わたしは
ネイルしてるとき、
仕事してる時が
息ができたけど、



こんな状況のとき、
もしも家庭だけでなく、
仕事も地獄のような人がいるのならば、
その人は
どうやって生きていったらいいんだろうかと
心配になった。




家でも仕事でも
息ができないのなら、
もう
生きていられないよ、これは。



ネイルがあって
よかった。
本当に。
自分のサロンがあって、
お客さんがいてくれて、
本当にありがたい。

泣。



カッサカサの落ち葉がなくなって
冬が来た。
近年にない暖冬だった。
雪はあまり降らなかった。


3学期。
ぼくちゃんは完全に
学校に行かなくなった。



ぼくちゃんは大人を信用しなくなった
もうぼくちゃんの心は
砕けてしまった。




わたしもぼくちゃんも
心がボッキリ折れた。




もう、行かなくていいや。
大事なぼくちゃんが壊れちゃう。
この世でひとりの
わたしの子供。



熱がでて病院にいって
早く治れと心底心配して。
インフルエンザに溶連菌、
コロナに胃腸炎。
何度も何度も看病して。

喘息で何度も入院したり、
アトピーで皮膚科に
何年も通った。

大事に大事に育ててきた
わたしの子供。

わたしが守らなくて
誰が守るんだ。
今まで何してたんだ、
わたしのクソ野郎。
大事なぼくちゃんが
こんなになるまで気づけなかった。



春になり、
新学期が始まった。
ぼくは、学校に行っていない。


先生も変わり、
環境も変わった
今がチャンスだよ

周りの大人はみんなそう言った。
もちろんお義母さんも。


泣かせても行かせないと
もう取り返せなくなるよ。
鬼の心で行かせなさい。
ママも強くなって。



そう言われた。
ビビりのわたしはまた、
いつもの癖で
はい。と
言ってしまいそうになった。

グラッと軸がぶれそうになった。
けど、
目を覚ませ!と
わたしの心がいった。




わたしは初めてお義母さんに
物申した。


鬼の心になって
無理矢理引きずって学校に行かせた結果、
こうなってるんです。

これで行かせたら
もう何も取り戻せない。

お願いなので
見守っててください!


見守っててください!は
わたしの精一杯の
口出しするな!だった。


それから
お義母さんは、
何も言わなくなった。

夫も、
何があったのかは知らないが
何も言わなくなった。



毎朝、集団登校する他の子供たちを見てると
複雑な気持ちになる。
おなじ小学生なのになぁ。


今朝も、
運動会に向かう子供たちが
すごくまぶしかった。


これから、
一体どうなるのか分からない。
先も見えない。



でも、
ぼくちゃんとわたしは
案外すごーく
楽しく暮らしている。



人は、
わたしを見ると
正したくなるようだ。

昔から
そう。


無理矢理に動かすのも
動かされるのも
もうやーめた。


自分のことだと
麻痺してて分からなくなってるわたしに


神様は 
大事なぼくちゃんで
気づかせてきたのですか。

もう抗えない。
受け止めます😂