お互いが必要 | 中屋敷左官工業(株)

お互いが必要

ベテラン島とヤング島の距離は何故出来たのか?
56

今日はその辺を考えてみたいと思います。

この原因は、ある時期を境に左官職人のなり手がパタッと減ったことがあげられるでしょう。
ここで左官職人の世代の繋がりが途絶えたとでも言えるでしょうか。

なぜパタッと減ったかと言えば、いくつかの原因が挙げられます。

①建築工事がモルタルやプラスター主体の湿式工法からサイディングやプラスターボードにビニルクロス等の乾式工法に移り変わり、左官工事の需要が激減したこと。

②バブル崩壊で不動産業、建設業が大きなダメージを受け、労務単価が急落し、仕事としての魅力を失ったこと。

平成に入り乾式工法が増え続け左官工事が激減し、さらなる追い打ちとしてバブル崩壊で単価下落。
したがって、誰も左官職人になんてなろうとしなくなってしまったのではないかなと。


この間およそ20年・・・まさに「失われた20年」

この20年の空白がこの「世代間における価値観のギャップ」を生み出したのではないかなと。

20歳以上離れると相手は生き方も価値観もまったく違う「外国人」

特に私達の仕事のようなマニュアルだけでは育てる事が出来ない、人と人のコミュニケーションが必要な仕事においてはこのギャップは致命的なのだと思うんです。

しかし、なんとかしてこのギャップを埋めなければ左官技能継承が途絶えてしまうのではと思っています。

技能の継承が上手くいっている方達ももちろんいらっしゃいます!
しかしそれはほんの一握りかなと・・・
全国津々浦々、業界全体でこの動きが芽生えないと左官業界の衰退は避けられないと思うんです。

先週お伝えした会議の時に二つの島の人達にこんな話をしました。

それぞれの島の人に「自分の島を見渡してみてください!」とお願いしました。

みんな自分のまわりをキョロキョロ・・・

そしてベテラン島の人達に言いました。
「ベテラン島の人だけで日々15階建てのマンション工事の上がり降りをして、また大きな土間を連続して何日もやってって・・・どうでしょうか? このメンバーだけでこれからやっていけるでしょうか?」

「・・・」

もう一方のヤング島の人達に言いました。
「ヤング島のメンバーだけで昨年の精度の要求された大規模な土間工事を同じ品質で施工し、また難しい自分達が今までやったことの無い左官技能の必要な仕事をこなせるのでしょうか?」

「・・・」

島を二つに分けた一番の理由がここにありました。

「どちらの島の人達も、幸せに生きていくためには相手の島の力が必要だということ。」

みんなに「この二つの島の距離をなくさなければ自分達が幸せになれないんだ」ということに気付いてもらいたかったんです。

「失われた20年」を埋めるのはとても難しいかもしれません。

しかし、相手を認め、受け入れ、譲歩する・・・「相手を思いやる心」さえあれば必ず埋められると私は思っているんですよね~