本投稿では、「減塩が病気を作る!
下記書(Renaissance Vol.13{食がもたらす”病”】P.22~)では、
減塩がもたらす影響を論じています。
すなわち、
「塩分摂取増=悪者」の固定観念は正しいのか?→減塩こそが重大な病気を作る!
と警鐘を鳴らしている。
要約して以下に示します。
(1)「塩分は健康に悪い」という固定観念が生まれた背景
①固定概念の根拠
この考えは、1960年代に米国のL.K.ダール博士が日本国北・南部の塩分摂取量と高血圧の発症頻度を、塩分摂取の少ない、マーシャル諸島他の人々と比較した論文が大きく影響している。
その表を下記に示す。
この表を根拠として、塩分量増→高血圧になるとされている。
②塩分摂取量の推移について
・1945(S20)年以降の日本人全体の平均食塩摂取量は15g
・1979(S54)年には13.1g
厚労省は、当時、塩分は「10g以内が望ましい。」と発表した。
その後厚労省は、
・1985(S60)年に、塩分は「12.1g以内が望ましい。」と発表した。
・2015(H27)年に、塩分は「10.0g以内が望ましい。」と発表した。
・現在は「男7.5g以下、女6.5g以下が望ましい。」と発表した。
・WHOは、「5.5g以下を推奨」
これらは、本書では、”無茶苦茶”と断罪している。
(2)「減塩」で免疫力が落ち、ガンになりやすくなる。
・昔から、塩は生きてゆくための最重要食品とされていた。
・寒い東北地方に住む人たちは、体を温めるために塩(カロリーゼロだが体を温める作用がある)をとっていた。
・高血圧になりやすいことで、全国民に減塩を強制した。
・日本人の平均体温は、1957(S32)年に36.9℃
・今は35.8~36.2℃
・中には34℃台の人もいる。
・この原因の一つに現代人の筋肉量が減っていることがあげられる。
・塩分摂取量不足も大いに大いに関係している。
・体温が1℃低下すると免疫力が30%落ちる。
・がん細胞は35℃の低体温で増殖し、39.5℃の高温で死滅する事がわかっている。
・1975(S50)年のがん死亡者は13万人。医師数も約13万人。
・50年後、がんの研究・治療は格段に進歩した。
・2021(R3)年の医師数は33万人。しかし、がん死者数は38万人と増大している。
(3)塩分摂取は”長寿の知恵”
・現在の日本では、「塩分過多=高血圧」の固定概念となっている。
・塩分摂取量の全国順位が40位以下の大阪や沖縄では、高血圧疾患による死亡率が高い。
・がんによる死亡率も、塩分摂取量が全国順位40番以降の大阪、兵庫、島根では、全国平均より高くなっている。
・日本の最長寿県長野の塩分摂取量は、全国4番目である。
・日照の少ない地域では、うつ・自殺の要因には、日照時間の少なさと寒さとされている。
・人口10万人あたりの自殺者数は、秋田県、山形県、青森県、新潟県の北国が多い。
・北国の人々体を温めるために、塩分摂取量が伝統的に多いのは、先祖の知恵と言える。
・今や塩分を極端に制限された東北の人々の体温は下がり、うつ・自殺が増加している。
・「塩=高血圧」という一点の理由から始まった”減塩運動”が種々の弊害をもたらしている。
(4)「食塩摂取量と死亡率に明確な相関性はない。」
・M.H.アルダーマン博士が、英国の医学雑誌「Lancet]が、20万人の国民栄養調査結果を発表した。
・同調査では、食塩摂取量によって調査対象を4分類。あらゆる病気の死亡率を比較した。
・調査結果では、塩分摂取量が一番多いグループが死亡率が低かった。
・高血圧、脳卒中、心筋梗塞、等の心臓・循環器系疾患の死亡率も食塩摂取量少ないほど高いかった。
・米国アインシュタイン大学尾ハイレル.W.コーエン博士は、8,700人ん栄養調査結果を発表した。
・その結果は、塩分施主量の最も少ない25%に属する被験者は、摂取の最も多かった25%に
比べて心臓病による死亡率が80%高かった。
・デンマ-クのニース.クラウダル博士は、健康的な食塩摂取量は、6.7~12.6gと論じている。
(5)塩分を多く摂取しても、発汗・排尿を促せばOK
・塩や塩分を多く含んだ食物(漬物、つくだ煮、塩辛、明太子、ポテトチップなど)を沢山食べると血液中には水分が多くなり、血圧が高くなることは事実である。
・降圧剤は、利尿作用を促し、排尿量の増加を促し塩分を体外に排出し、高血圧を是正する。
・塩分の多い食物を多くとっても、入浴、サウナ、運動などで、汗をかくことで、尿の出もよくなるので、体内塩分量の是正になる。
(6)「塩分不足」の方が重大疾患を引き起こす。
食塩の効能を列挙する。
①調理に使用する。
・かん味(塩味)を出す。
・殺菌作用が有る。
・肉や魚の身を引き締め、旨味を凝縮する。
②摂取した際の効能
・体を温める。
・体液(血液、リンパ液、細胞内液など)の浸透圧を一定に保ち、水分の代謝や、体液のpHを維持する。
・神経の興奮伝達に関与する。
・筋肉の収縮作用に大きく関与する。
・胃液、腸液、胆汁などの消化液の原料になる。
・体内の有毒物を解毒する。
③塩野接取不足による症状の可能性
・新陳代謝(低温)が低下する。
・食欲が減退する。
・痙攣が起きる。
・血圧低下やショック症状を起こすことがある。
・腎機能の低下に陥る。
本書は、この機会に「塩の重要性」を理解し、本能が欲するなら、しっかり摂取し、運動、入浴で発汗・排尿を促すことをすすめている。