晩御飯を食べ進めながら、不意にお母さんが聞いてきたんだ。

｢ねぇ、翔ちゃん、雅紀。今日は泊まるんでしょ？｣

｢え？あ、いえいえ。そんなとんでもないです｣

｢うん。そうだよ。遅くなる前に帰るよ？｣

お母さんの言葉にオレも雅紀も帰りたいアピールをした。だって帰ったら約束通りに一晩中抱いてもらうつもりだったから。

でもオレたちのそんな考えを一瞬にしてぶった切ったのはお父さんさんだった。

｢なんだよ。せっかく20歳の誕生日なんだから雅紀と一緒に酒が飲めるって楽しみにしてたのに｣

いやいや、お父さん。

それを言ったらずるいです。

雅紀を連れて帰るなんてこと出来なくなるじゃないですか！反則です反則！！！

｢…それを言われたら…なぁ、雅紀？｣

｢…ったく、ずっちーわ、親父は｣

｢あらあらいいのよ？無理してお父さんのワガママに付き合うことなんてないのよ｣

｢はぁ、残念だなあー！！残念残念！！｣

｢お父さん。用意しているお酒、出しましょうよ。ね？ほら、雅紀のお酒デビューなんですから｣

｢…翔ちゃん…｣

｢いいの？翔ちゃん？お父さんを甘やかさないできいのよ？｣

｢悪いねぇ、翔くん！！どうせならキミも飲みなさい！！飲んだら帰れなくなるから自動的にここに泊まることになるけどな！！( ﾟ∀ﾟ)ｱﾊﾊ八八ﾉヽﾉヽﾉヽﾉ＼ / ＼/ ＼｣

まだ飲んでもいないのに一瞬にしてお父さんはご機嫌になった。

今日一日は雅紀のワガママを叶えるためにと奔走してきたけど、まさかその最後にお父さんのワガママを叶えることになろうとは…。

でもお父さんもお母さんも嬉しそうだし、雅紀もなんやかんやと嬉しそうだからまぁいいか。

｢ひぁー。目が回るうー。ビールってこんななの？？｣

ビールのほろ苦さに雅紀はクラクラしている。

もう限界みたいだな。

｢雅紀はまだまだだな。鍛え甲斐がありそうだ。それにしても翔くんは強いなぁ。日本酒も飲むか｣

｢ええ。いただきます。…お父さんもどうぞ？｣

酔いつぶれてソファーでひっくり返っている雅紀を見ながらお父さんと2人で飲む時間はなんだかくすぐったいやら嬉しいやら、不思議な時間だった。

Sounds of joy405