上総舞鶴駅を出発して東京方面へ車を走らせた。

松葉杖での移動やオレを夜遅くまで抱いていたこともあり、雅紀は助手席で気持ちよさそうに眠っている。

なんかいいな、こういうの。

赤信号で止まる度にチラチラと雅紀の寝顔を見てはニヤニヤしてた。

と。

ぱち。

赤信号で止まって雅紀を見た瞬間に雅紀と目が合った。

｢うわ！ビビった！｣

｢なに言ってんだ。俺の寝顔をずっと盗み見してたな？｣

｢気づいてたか？…つか、いいだろ、別に////｣

｢なになに？そんなに俺の寝顔を見ていたかったの？｣

｢っせぇ｣

｢くふふふ｣

｢…見てたかったんだよ////悪いか////｣

｢くふふふー🎶照れちゃって可愛いー｣

｢んもぅ！知らねえ////｣

｢ああ、ごめんごめんて！！｣

ちょっと拗ねたフリをすると助手席から手を伸ばしてきた雅紀にちゅってキスをされた。

｢んだよ////周りから丸見えだろ////｣

｢は？そんなこと気にしてんの？この辺を歩いてる人と今後すれ違ったり顔を合わせる可能性なんてほぼほぼゼロよ？｣

｢そりゃそうだけど////｣

｢ひゃひゃひゃひゃひゃ！！さて、次はどこに行くの？｣

ご機嫌ちゃんな雅紀にぶん回されながらもなんか怒るに怒れなくなって照れるしかないオレを見て雅紀はさらにご機嫌になるんだ。

くっそ。

可愛すぎるじゃねぇか。

車を買うために節約生活をしてたけど、延泊したりレンタカーも延長したりでお金が飛んでしまうけどそんなのどうでも良くなる。

いやいや、良くはねぇけどさ。

くくうううー。

ああ、悩ましい！！！

あひゃあひゃしてる雅紀とわちゃわちゃしながらのんびりと一般道を走り抜け、都心へ戻ってきた。

お盆休みも後半戦へ突入したこともあり、さすがに空き部屋のあるホテルはほぼない。

んー。

参ったなぁ。

路駐しながらアプリでいろいろと調べていると、くいくい、くいくいくいくい。

雅紀がオレの袖を引っ張ってきた。

｢翔ちゃん…｣

｢ん？｣

｢あのさ、ホテルって高ぇだろ？｣

｢んー。場所やグレードにもよるけどなぁ｣

｢一度行ってみたいホテルあんだけど｣

｢お前、それを早く言えよ。調べてやるから｣

オレがスマホを出して空き状況検索アプリを開こうとすると、その手を雅紀が押さえた。

｢ラブホ｣

ぶっふおおおおおおお！！！！！

口に含んだ缶コーヒーを吹き出した。

Sounds of joy370