｢ほらほら！翔！ここの症例を参考にするんだ」

｢おお、なるほど｣

｢で、斗真はここを…こうして…｣

｢へぇ。さすが大病院占拠して学んできた技術だな｣

今日はテンションのバカ高い潤がオレや斗真にあれこれ指示を出してる。

まぁ仕方ねぇよな。なにせ今日は陽縁と縁翔が昼過ぎに退院するんだから。

｢おーい、まつゆん。そろそろ時間じゃねぇのか？｣

｢そーそー。早く迎えに行ってあげなさいよ｣

智くんとニノがニヤニヤしながら壁の時計を見るように促すと、ハッとした顔になった潤はガタンゴトンと机のあちこちにぶつかりながら慌ただしく帰り支度を始めた。

｢おいおいおいおい！落ち着け、潤｣

｢翔、大丈夫だって！心配すんな！じゃあお先に！｣

診療所の窓から潤の車が出ていくのを見送った。

いよいよだな。

陽縁と縁翔が帰るんだな。

姉ちゃんも忙しくなるだろうけど、潤もそのフォローで忙しくなるし、夜の授乳とかで寝不足になることは予想出来る。

そこはオレたち診療所スタッフでカバーしていこうなってみんなで話し合っていた。

そしてその申し出を潤は照れくさそうにしつつも受け入れてくれた。

オレも陽縁と縁翔に会いに行くよ。

雅紀と2人でな。

つか、オレのことは｢おじちゃん｣じゃなくて｢翔ちゃん｣って言わせてやる決意は1ミリも揺らいでないことを付け足しておこう。

｢翔、午後の診察始めるぞー｣

｢はーい｣

斗真の声に返事をして、白衣の袖を通した。

｢あ、その後どうです？｣

｢ええ。5匹とも元気です｣

定期検診に来た5匹の仔猫たちがみゃあみゃあと泣いていた。

サトシ、ショウ、マサキ、カズナリ、ジュン。

みんな元気そうだな。

潤の家に帰るのは双子だけど、こっちの5つ子もまた元気に家に帰れるようにと丁寧に診た。

Sounds of joy351