学校まで戻る道のり、オレはずっと雅紀の手首を掴んでいた。

逃げられてたまるか。

変な誤解をさせたまま今日を終わらせてたまるか。

そんないつもとは違うモチベーションでスタスタ歩くオレを見たイノッチ先生はちょっと困ったような顔をしつつも何も聞かないでいてくれた。

そしてふと立ち止まると振り向いて優しく笑いながらオレと雅紀の背中をポンと叩いて、また先導してくれた。

オレのほんの少しだけ斜め後ろを手を掴まれたまま歩いてついてくる雅紀はどんな顔をしているだろう。

まだ不安そうな顔をしているんだろうか。

それとも泣くのを必死に我慢してるんだろうか。

オレの動揺が伝わってしまっているんだから、それは全部オレの責任だ。

そんな顔をさせたオレが悪い。

雅紀は何も悪くないし、何も心配しなくていいんだ。

手首を掴んでいた手をそっとほどくと、オレはそのまま指を絡めて繋ぎ直した。

この手で雅紀に伝われ。

今は下校途中の生徒たちがたくさんいるからもう少しだけ待ってて。

ちゃんと説明するから。

オレの動揺の原因も話すし、なにより何も無かったなら無かったでちゃんとそれを話さなかったオレを許してくれ。

な？雅紀…。

・

・

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｢あら？櫻井くん？久しぶりねぇ…って！？どうしたの？その怪我は？？｣

｢お久しぶりです。へへ。ちょっとやっちまいまして。ごめんだけど簡単に処置してもらっていいですか？｣

卒業以来に保健室に入ると、多部先生が懐かしいやら相変わらず生傷が絶えないやら、相葉くんと仲良しやらで情報過多すぎるわとか言いながら手早く消毒をしてくれた。

そんなオレを雅紀は今にも泣き出しそうな顔をして遠くから見てるし、そんな雅紀の頭をふわふわと撫でながらイノッチ先生が優しく支えてくれていた。

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