わんわん！！

わんわんわんわん！！！

懐かしいオカアサンの匂いとオカアサンの声がショウの家の玄関の方から聞こえてきたから、俺は慌ててリビングから玄関にダッシュしたんだ。

｢蒼翔…元気にしてた？？｣

オカアサンだ。やっぱりオカアサンだ！

ショウオカアサンとオカアサンは友達みたいだ。

毎日のようにショウはマサキの匂いをつけて帰ってきてたけど、やっぱり会えないのは寂しかった。

サクライの家はめちゃくちゃ好きだ。

だけどやっぱりアイバの家も好きなんだ。

オカアサンが声をかけてくれたから俺はオカアサンに飛びついた。

飛びついてシッポをブンブン振りながらめちゃくちゃ甘えた。

オカアサンはいつかのショウみたいに目から涙をポロポロ零しながら俺をぎゅうぎゅうに抱きしめてくれた。

泣かないで。俺は元気だよ。

寂しかったけど、ショウやハナ、ジュン、ショウオカアサンやショウオトウサンと一緒にいたから大丈夫だよ。大丈夫なんだよ。

オカアサンの顔をぺろぺろするとオカアサンは俺の頭を何回もいい子いい子してくれた。

それからショウオカアサンとオカアサンは俺をかわりばんこに抱っこしてくれながらお喋りをしていた。

それからそれから。

｢蒼翔、行こうか？｣

｢わん！！！｣

ショウオカアサンが俺とオカアサンと2人で散歩に行っておいでって言ってくれた。

ショウが前に言っていたように俺はオカアサンと2人だけで散歩に行ける！！

グイグイとリードを引っ張りながらオカアサンをショウの家の近くを案内した。

いつも行っている公園、いつも歩いてる道。

ねぇ、オカアサン、俺はここに住んでるんだよ。

もうひとつの俺の街なんだよ。

オカアサンたちと離れてそんなに時間は経ってないかもしんないけど、俺はこんなに色んなことを知ってるんだぞ。

すごいだろ！？

グイグイ引っ張りながら振り向くと、オカアサンは前と同じように笑ってた。

マサキが怪我をする前と同じように笑ってた。

笑ってたんだ…

オカアサンが笑ってる。

笑ってる。

めちゃくちゃ嬉しい。

嬉しすぎて泣きそう。

泣き顔を見られたくなくて慌てて前を向いた。

なのにさ、やっぱりバレちゃってた。

オカアサンは俺を抱き上げてしっかり抱きしめてくれたから。

だから俺は人間の子どもみたいに泣いたんだ。

ショウに抱かれて泣いたあの日みたいに泣きじゃくったんだ。

オカアサン。

オカアサン。

オカ…ア…サン…。

Sounds of joy289