オレが帰ると蒼翔は玄関まで猛ダッシュしてきて飛びついてきた。

そしてオレについた雅紀の匂いをすんすんして甘えてきた。

めちゃくちゃ勢いよくシッポを振りまくりながら必死にすんすんしている蒼翔を抱き抱えてリビングに入ると、お袋がちょっと涙目になってた。

｢どうしたよ？｣

｢ん？うぅん。蒼翔にとって雅紀くんはとっても大切な人なのね？もちろん翔にとっても…一日でも早く戻ってこられるといいわね｣

｢お袋。その件なんだけどさ。いつかあちらのお母さんとさ、ここでゆっくりお茶してあげてよ。そんで蒼翔を会わせてあげて｣

｢そうね。近々ご家族になるかもしれないものね？｣

｢なっ////｣

｢今更照れてどうすんのよ？しっかり覚悟決めなさいよ｣

｢はい｣

｢ふふ。分かればよろしい。ご飯食べるでしょ？｣

｢姉ちゃんと潤は？｣

｢デートよ。たまには2人っきりにさせてあげないとね？潤くんもストレスが溜まるでしょ？ただでさえ嫁の実家なのに翔までくっついてるんだから｣

ちょっと厳しめのツッコミをしながら台所に消えていくお袋に向けてむうううってしてると、腕の中の蒼翔がオレの唇をぺろぺろした。

｢ふは。雅紀が分かんの？｣

｢わん！！！｣

｢蒼翔。雅紀もお父さんもお母さんもお前のことが大好きだって言ってたぞ？お前がオレに噛み付いたことだって誰も怒らなかったし、お父さんはちゃんと処置してくれたからな？蒼翔は相葉の子でもあるし、櫻井の子でもある。みんなで蒼翔を幸せにしようって約束してきたんだ｣

｢きゅう…ん｣

蒼翔を抱き上げたままそう言うと、蒼翔はめちゃくちゃ嬉しそうに腕の中で暴れて喜んでた。

蒼翔を床に下ろしてオレも胡座をかくと、蒼翔はオレの足に体を丸めて座り込んだ。

やっぱり雅紀の匂いがすると落ち着くんだろうな。

そこんとこはオレと同じかな？

胸ポケットに入れてある雅紀からもらったパスケースをそっと押さえた。

お袋が作ってくれたご飯を食べて風呂に入る。

当たり前だけど体についた雅紀の匂いは無くなってしまう。そうすると風呂上がりのオレの後をついてきながら蒼翔はちょっと不機嫌そうだった。

拗ねるなよ…。

お前も雅紀と同じで分かりやすいな？

リビングに置いてある雅紀のタオルをほいって床に広げてあげると、蒼翔はそこに頭を乗せて目を閉じた。

なぁ、雅紀。

この一連の動きを全部お前に見せてあげたいよ。

蒼翔はこんなにもお前を慕ってるぞ？

Sounds of joy287