旅館の大浴場は誰もいない。
ちょっと貸し切りみたいな状態だ。
とはいえ、いつどのタイミングで他の宿泊客が入ってくるか分からないからイチャイチャ出来ないし、そもそも太陽さんの慰安旅行という気持ちで来てるからイチャイチャ気分でもない。
でも、やっぱりデッカイ風呂は気持ちいい。
「なぁ、雅紀?」
「ん?」
「太陽さんさ。オレのことウザイとか思ってないかな」
「ないない!!ないない!!」
「ホントかな?大丈夫かな?オレ」
「ないよ。絶対に」
大浴場のお湯に浸かりながらついいいーーーーっと雅紀の隣に行くと、雅紀はオレの頭をくりくりっとしてから、バシャっと顔にお湯をかけてきた。
んだよ!!!ってなりながら雅紀にかけ返してやると雅紀もまたオレにお湯をかけてくる。
2人でギャハギャハしながらお湯をバッシャバッシャやって遊んでた。
そんな時に大浴場の脱衣場の方から賑やかな声が聞こえてきた。
「シィ─── ⎛´・ε・`⎞ ───ッ」
「だなwww他の人たちも来るなwww」
なんてクスクス笑いあったオレたちはこっそりお湯の中で手を繋いで、表向きは静かにお湯に浸かる宿泊客を演じてたwww
そして大浴場からの帰り道に売店でアイスを3つ買い込んで部屋に戻ると…。
「あれ。太陽さんいないや」
「どっか出かけてんのかな?一人で留守番させたら寂しかったよな…」
「んー。もう少し早く戻って来た方が良かったかなぁ」
「おーーい!太陽〰️!早く帰ってこーい!アイス買ってきたからなーーー!」
なんて言いながら買ってきたアイスを冷凍庫にしまって、部屋の窓から出かけている太陽さんに向けて2人で呼びかけた。
そして
桜の花の香りとともに、太陽さんの気配が部屋に帰ってきた。
『ただ…い、ま…』
「もぉ。太陽さん、また泣いてる…」
「ばーか。泣き虫太陽」
大きな瞳からポロポロと涙をこぼして泣きじゃくる太陽さんを雅紀は強く抱きしめた。
オレもまた太陽さんの背中にピタッとくっついた。
太陽さんはオレたちが風呂に行っている間に、母さんの所に行ってきたんだと話してくれた。
母さんに甘えて色んな話をしたんだと、泣きじゃくりながら話してくれた。
そんな幼ない子どものように泣く太陽さんをただただ雅紀は抱きしめていたんだ。



