無理をしなくても大丈夫――家族の優しさに支えられて過ごした長男の誕生日

 

 

 

 


 

 

 

 

自分の体調と向き合いながら迎えた長男の誕生日 

 

 30代で乳がんを経験し、その後、外耳道がんやリンパ節転移、放射線治療などを経験している筆者。現在も体調に波があり、自分自身のことで頭がいっぱいになっていたため、長男の誕生日をすっかり忘れていたことに気づく。長男は結婚して別々に暮らしているが、以前は家族で集まって誕生日を祝うことが恒例だった。幸い誕生日当日が休日だったため、急きょ家族でお祝いすることにした。

 

 

 

 体調を考慮して料理は簡単なものにし、寿司を持ち帰ることに。さらに夫がYouTubeを見ながら手作りケーキに挑戦し、長男の好きなイチゴが見つからなかったためブルーベリーを使って完成させた。筆者は少量しか食べられなかったものの、家族と楽しい時間を過ごせたことを喜び、「なんとかお祝いできてよかった」と振り返っている。

 

 

 

 

病気と闘う中でも「家族との時間」を大切にする 

 

 がんの治療や体調不良が続いていると、どうしても毎日の意識が自分自身の身体に向いてしまいます。痛みや動悸、薬の副作用、病院での診察など、考えなければならないことが次々に出てくるからです。今回の筆者も、自分の体調のことで頭がいっぱいになり、長男の誕生日を忘れてしまっていました。しかし、それは決して家族を大切に思っていないからではありません。むしろ、治療と向き合いながら日々を過ごすだけでも精一杯だったことが伝わります。

 

 

 

 そんな中、長男の誕生日をきっかけに、家族が集まる機会が生まれました。以前から家族で誕生日を祝う習慣があり、長男のお嫁さんもそのことを気にかけてくれていました。誕生日を覚えていてくれたことだけでなく、「今年もみんなで集まれたら」という家族の思いが感じられます。

 

 

 

 病気になると、以前なら当たり前だった家族との食事やイベントが、特別な時間に変わることがあります。体調が安定しない以上、予定通りにできるとは限りません。それでも「できる範囲でやってみよう」と考えた筆者の姿勢は、とても大切です。

 

 

 

 豪華な料理を用意したり、完璧な誕生日会を開いたりする必要はありません。お寿司を買ってきて、簡単な料理を用意して、みんなで同じテーブルを囲む。それだけでも家族にとって大切な思い出になります。病気と向き合う毎日の中で、こうした何気ない時間が心を支える力になるのだと思います。

 

 

 

 

「無理をしない」という選択も家族を大切にする方法 

 

 今回の誕生日祝いで印象的なのは、筆者が自分の体調を考慮しながら準備したことです。家族の誕生日だからといって、以前と同じようにすべてを自分で頑張ろうとはしませんでした。お寿司は持ち帰りにして、自分で作る料理も簡単なものにしています。

 

 

 

 病気を経験すると、「以前できていたことができない」という現実に直面する場面があります。家族のために料理をしたい、イベントを準備したいと思っても、身体がついてこないことがあります。そこで無理を重ねてしまえば、その後の体調に影響してしまう可能性もあります。

 

 

 

 だからこそ、できない部分は他の人に任せることも大切です。長男とお嫁さんも「無理にやらなくてもいい」と筆者の身体を気遣っていました。この言葉からは、家族が筆者の病気や体調を理解し、無理をしてほしくないと思っていることが伝わります。

 

 

 

 さらに今回は、夫がケーキ作りを申し出ました。料理やケーキ作りを担当することが当たり前ではなかった夫が、YouTubeを見ながら短期間でケーキを完成させたというエピソードには、家族の温かさがあります。イチゴが見つからずブルーベリーになったとしても、それはむしろ忘れられない思い出になるでしょう。

 

 

 

 家族を大切にすることは、自分一人で頑張ることではありません。できる人ができることを分担しながら、一緒に時間を作っていくことも家族の支え合いです。

 

 

 

 

 

 

少ししか食べられなくても、楽しい時間は残る 

 

 筆者は体調のため、誕生日ケーキを少ししか食べられませんでした。しかし、それでも「とても美味しかったし、楽しい時間を過ごせた」と感じています。ここには、病気になった後の人生を考えるうえで大切な視点があります。

 

 

 

 病気になると、食事の量や食べられるものが変わったり、以前のように自由に楽しめなくなったりすることがあります。以前なら家族と同じ量を食べられたとしても、治療や体調の影響で少ししか食べられないこともあるでしょう。それを「以前の自分と同じようにできない」と悲しく感じることもあります。

 

 

 

 しかし、食事の量が少なくても、その場にいることはできます。ケーキを一切れ全部食べられなくても、家族が作ってくれたケーキを味わい、みんなと笑いながら過ごすことはできます。今回の筆者にとって大切だったのは、ケーキをどれだけ食べたかではなく、家族と一緒に誕生日を祝えたことだったのでしょう。

 

 

 

 そして、夫が作ってくれたケーキには、単なる食べ物以上の意味があります。長男のために夫が時間をかけて作ったこと、筆者もその場に参加できたこと、家族全員で誕生日を祝えたこと。その一つ一つが思い出として残ります。

 

 

 

 病気によって「できること」が減ったとしても、「幸せになれること」までなくなるわけではありません。できる範囲で楽しむ。少しだけでも味わう。家族と笑う。そんな小さな幸せを積み重ねることが、治療の日々を支える大きな力になるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

励ましの言葉 

 

 

 体調の波がある中で、長男さんの誕生日を家族みんなでお祝いできたこと、本当によかったですね。

 

 

 

 自分の体調のことで頭がいっぱいになり、誕生日を忘れてしまったとしても、それは決して家族への愛情が薄れたということではありません。病気と向き合いながら毎日を過ごすだけで精一杯の日があるのは、当然のことです。

 

 

 

 それでも、思い出したその日に「みんなでお祝いしたい」と考え、無理をしない方法を選びながら実現できたことが素敵です。

 

 

 

 そして、旦那さんがYouTubeを見ながら作ってくれたブルーベリーのケーキ。イチゴではなくても、そこには長男さんへの愛情と、ご家族の優しさがたっぷり詰まっています。

 

 

 

 たくさん食べられなくても、以前のように動けなくても大丈夫です。

 

 

 

 「できなかったこと」ではなく、「今日できたこと」に目を向けてください。

 

 

 

 家族と一緒に食卓を囲めた。ケーキを少し味わえた。笑うことができた。そして「お祝いできてよかった」と思えた。

 

 

 

 それだけで十分に素敵な一日です。

 

 

 

 これからも、体調の良い日は少し楽しみ、つらい日は無理をせず休む。そんなふうに、ご自身の身体を一番にしながら、

 

 

 ご家族との大切な時間を少しずつ積み重ねていってください。

 

 

 家族と過ごした今日の笑顔は、治療の日々を支える大切な力になるはずです。