平成28年12月の最高裁の判断で、遺産分割協議がされていないと、銀行等も各相続人からの法定相続分での預貯金の払戻請求には応じないことになります。

 

この判断はどこまで影響するのでしょうか。

 

 金融機関を相手に訴訟で争っていて、判決の出ていない場合にも、「相続人全員での合意が必要」ということになるのではと思います。

 

では、銀行が口座名義人である被相続人の死亡を知らず、相続人の一人に全額払戻したケースで、他の相続人が銀行の過失を争っている場面ではどうなるでしょうか?

 

 銀行側が、相続人への払戻しは債権の準占有者への弁済であり有効などと主張しているのに対し、他の相続人が、銀行に過失があり払戻しは無効だとして、自己の法定相続分の預金債権を主張している場面です。

 

 このケースにも前述の判断が適用されるなら、相続人全員の合意が必要なので自己分の預金債権の払戻請求は認められないとも考えられます。

 

 一方で、このケースの問題の争点は、全額払戻した銀行の過失の有無ですから、銀行に過失があるとなると、預金債権は弁済により消滅していないこととなり、銀行に過失のあった払戻時点で妥当していた判断(預金債権は法律上当然分割)に従い、可分債権として請求が認められることになるのではとも思えます。

 

 

 最高裁の今回の判断は、影響を及す場面がいろいろとありそうです。

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中西雅子法律事務所
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