長男は父と同居していましたが、特に家賃は支払っていません。

 

 父は遺言を残し亡くなりましたが、遺言は、全財産を妹に相続させるというものでした。私は、遺留分を主張したいと思うのですが、家賃相当額の利益が特別受益となり、遺留分はないということもあるのでしょうか?

 

 

 例えば、長男が父の建物に無償で居住し、独立の占有があるといえるような場合ですと、家賃相当額の特別受益があるとも思えます。

 

 しかし、建物の無償使用は、恩恵的な要素が強く、遺産の前渡しというものではないと評価できますし、被相続人の持ち戻し免除の意思表示があるとも言えます。

 

 また、土地の無償使用の場合と比較すると、建物の無償使用の場合、使用借権に経済的価値はあまりありません。

 

 ですので、独立の占有があると言える場合であっても、特別受益には当たらないのが通常です。

 

 特に、親の療養看護のためや、身の回りの世話をするためなどで同居されていた場合には、特別受益には当たらないケースが多いです。

 

 いずれにしても、長男が遺留分を主張していくことは可能であると思います。

----------------------------------------------------------
中西雅子法律事務所
弁護士 中西雅子
所属 東京弁護士会
〒103-0027
東京都中央区日本橋3-2-14 日本橋KNビル4F
TEL:03-3926-0762
FAX:03-6740-1724
離婚専門サイト
相続専門サイト
----------------------------------------------------------