古くも新しくもないホテル。
おきまりのパネルの前で部屋を選ぶとカードキーが機械から吐き出される。
そのカードを持って少し暗い廊下を歩いていく。
前を歩く潤の足取りに迷いはなくて、少しステップを踏むようで楽しそう。
俺は.....楽しい?
ふっと自嘲するように笑ってしまうけど。
楽しいかどうかはこれからだろ?
心の中で自分に問いかける。
ピッとカードキーの音がして扉が開いた。
そうだ。
これはゲーム。
俺の身体を使ったゲーム。
より夢中になった方が負け。
いや、勝ちなのかもしれない。
その刹那だけ、夢中になれたらそれだけでいい。
心が欲しいとか、愛がどうとか、そんなことはどうでもいいから。
狭い入口で靴を脱いで、もう一つの扉を潤が開く。
その先には小さなソファーセットと大きなベッド。
潤に手を取られて、縺れるようにベッドへと倒れ込んだ。
縺れた手足のままで、潤のぽってりとした唇が俺のそれに重なる。
熱い...。
絡め取られるようなキスと、優しく俺を撫でる大きな手。
ダンスへの情熱と同じような、燃えるような潤の手がシャツの下へ潜る。
熱が.....上がる。
早く俺を快楽の果てへと連れて行って欲しい。
這い回る手。
そこにあるほんの少しの荒々しさが、潤の若い頃を思い出させる。
誰よりも熱くて、誰よりもキラキラしてた。
そして、いつも何かに苛立っているようなキツイ目をすることがあった。
「んっ....」
「カズ、やっぱ良い声だな」
身体の中を渦まく熱。
その熱にうかされるように潤の首に腕を伸ばしてしがみついた。
揺れる2人の腰がぶつかる。
「エロ....」
潤がペロリとその唇を舐めるのを、じっと見つめてた。
「啼かせたくなる」
「嬉し....」
楽しそうだった瞳がギラリと光った。