。。。。。。。。。。。。。。。。。
「にのちゃーーーん」
楽屋でいつも通りゲームをする俺の恋人に煩いくらいかまってるのは、彼の親友。
いつもと変わらない顔のカズから何を感じとるのか、いつも以上にくっついてる。
その反対側には俺の恋人をやたらと甘やかすうちの最年長がいて、向かい側には心配性な末っ子がやっぱり心配そうな顔してカズを見てる。
さすがに長い付き合いなだけあるよな。
最近のカズはちょっと物憂げで、本人は気づいてないんだろうけど、いつもより隙がある。
共演する芸人さんも、俳優さん達もみんなカズの笑顔とその合間に見える寂しげな顔にやられてる。
わかるんだよ。
俺だってそうだったんだから。
人懐っこいワンコみたいな後輩が実は結構ナーバスで、寂しそうな横顔が印象に残って気になって仕方なかった。
可愛いな、気になるな。
俺に甘えれば良いのに。
俺だけには甘えろよ。
スライドしていく感情は、あっという間に恋になった。
好きだと言った俺に、泣きながら俺でいいのってカズが答えたあの日から、俺達は恋人になったんだ。
すぐにメンバーにも報告して、付き合うことを許してもらった。
今まで喧嘩したこともあるし、イチャイチャしすぎて怒られたこともある。
だけど1度も付き合うのをやめろとは言わなかったメンバーは、いつだって俺達の味方で。
今も、少しだけ元気の無いカズを心配してくれてる。
「カズ、今日行っていい?」
「イイデスヨ....」
少し照れたような返事が愛しい。
俺の部屋と違ってモノの少ないカズの部屋。
風呂上がりにビールを飲みながら、資料の新聞を読んでる俺の向かいで肘をついて小さくため息を漏らしたカズ。
気づかないフリで明日の約束を取りつけた。
俺のワガママに弱いカズ。
お前が悩んでるのはいつも同じこと。
それが悩んでも仕方のないことだってお前もわかってるだろ?
だけどそう言ってもきっとお前は悩むから、俺はお前にワガママ言うんだ。
散らかった俺の部屋で、きっとお前は少し口を尖らせて片付けをして掃除機をかけて、時間があれば洗濯もして、それから俺の大好きなオムライスを作ってくれるだろ?
ゲームをしてたって、きっと悩むんだ。
それなら俺のワガママ聞いてる時の方が、お前の悩みを忘れられるだろ?
お前のことが好きなんだよ。
絶対、離したくないんだ。
誕生日を迎えるその時、腕の中のカズが甘く囁く。
「翔ちゃ....誕生日...おめでと....」
細いカズの腰をつかんで揺らしながら、ちゅっちゅっとキスをして言う。
「カズは余計な事考えずに、俺のそばにいなさい。こんな手のかかる男、お前しか相手してくれないだろ?」
ぽろっと零れた涙と、少しだけ呆れたような笑顔。
なぁ、その涙も笑顔もお前の全部、誰にも渡したくないんだ。
だからずっと俺のそばにいろよ。
カズ、愛してる。
おしまい
。。。。。。。。。。。。。。。。。