片付けとか自分でやれるようになんないとマズイよなーとかって言いながら潤が食器を洗ってた。
潤は一人暮らしの経験も無いし、洗濯とか掃除とか料理ってほとんどしたこと無いらしい。
今日東京に行けなかったら、準備しながら洗濯とか少し教えて貰おうかなとか言いながら出かけて行った。
俺とかずは後片付けを潤がしてくれてる間に回しておいた洗濯物を干していく。
前と変わらない様子でサッサと干していくかず。
急いだりしないで、丁寧に干していく。
その横顔が綺麗でついつい見惚れてしまう俺。
のんびりやってる俺の手に残ってた最後のタオルを、かずがサッと取って干すとニコッと笑った。
「終わった」
「そうだな」
2人で洗濯カゴを持って洗面所に戻って、風呂掃除とトイレの掃除を手分けしてやった。
それから買い出しの準備をして、かずと歩いてシェアハウスを出た。
本当は自転車の方が楽なんだけど、昨日のかずの様子が気になって、あんまり刺激与えない方が良いのかななんて思って歩いて坂をくだる。
今日も天気は良くて海がキラキラしてるのを、かずは嬉しそうな顔をして見てた。
日用品はまだストックがあるから、スーパーで食材だけ買おうなって話しながら歩く。
かずはほとんど話さないけど俺の話に頷いて、時々笑った。
スーパーに着いてカートを押しながら、潤の好きなものってなんだろうなって俺が言ったら、生姜焼きってかずが小さな声で答えた。
かずが少し考えるような様子になって、それからキャベツとトマト、生姜って順番に手に取ってはカゴに入れていく。
トマトはプチトマトにしてた。
そういえば元気だった頃に、プチトマトは洗うだけだから簡単なんだよねって嬉しそうに話してたなって思い出す。
玉ねぎと豚肉をカゴに入れて、ついでに鶏肉もカゴに入れる。
もしも、かずが作れなくても鶏肉買っとけばシェアハウスにある食材と合わせてチキンカレーくらいなら俺でも作れるもんなって考えてた。
レジを通って、持ってきたマイバッグに買ったものを詰めて持ち上げたら、いつもより軽くてなんか笑えた。
それから商店街のケーキ屋で、いちごの乗った一番小さい丸いケーキを買うと、プレートには『潤おめでとう!』って、書いてもらった。
かずは嬉しそうにニコニコしてて、俺はホッとしてた。
かずがケーキを手に持って、俺はマイバッグを肩にかけてシェアハウスへの道を歩く。
坂を登るかずの眉間にしわが寄ってて、体力無いよなぁって思う。
「かず。これから毎日散歩しよう」
キュッと手を握って言ったら、一瞬嫌そうな顔をしたけど「行く」って小さく呟いたから、可愛すぎて抱きしめたくて堪んなかった。