昼ごはんの時に冷蔵庫を改めてチェックしたら、もうほとんど空になっててやっぱり買い物行こうなってかずに話しかけた。
冷蔵庫を俺の後ろから覗いてたかずも、コクっと頷く。
確か松にいの関西行った時のお土産の中にお湯入れて作る粉のつゆがあったよなーって探して、お昼は茹でた乾麺のうどんをそのつゆに入れて食べた。
あっさりしてて美味しくて、かずもしっかり一人前食べたから、これまた買ってきてもらってもいいなぁとか思いながら後片付けをして。
俺のシャツの裾を持ってついてくるかずにニヤケつつ、窓や裏口の戸締りをちゃんとした。
かずがいつも使ってたエコバッグを廊下の棚から取り出す。
「よし、行くか」
「ん」
手を繋いで門から出た。
なんか久しぶりに外に出たような気がするのは俺だけなんかな。
かずを見るとさーっと吹いた風に目をつぶってる。
ほんの数日の間にすっかり空気が冷たくなって、もう冬が来たみたいだ。
シャツの上に暖かそうなカーディガンを羽織ったかずは、気持ちよさそうに歩き出す。
「かず、海の方散歩しながら行こうぜ」
「うん....いきたい」
繋いだ俺の手を、きゅっと握ったかず。
茶色い目が俺を見て笑った。
かずがいつも相葉さんと来てた砂丘への道を通って海岸沿いを歩く。
人の姿はほとんど無くて、遠くの方に大きな犬を散歩させてるおじさんがいるくらいだ。
少し寒いけど、海にキラキラ太陽が反射して綺麗だった。
「寒くないか?」
「ん」
「海、綺麗だな」
「ん...カモメ...」
「え?...あー、飛んでるな」
「ん」
話しながら歩けることがこんなに幸せだってこと、初めて知った。
ゆっくりゆっくり海辺を歩く。
繋いだ手から伝わる温もりが、心も温めてくれた。
スーパーの近くまで海岸沿いに歩いて、歩道にあがる階段をのぼった。
海風がかずの髪をクシャクシャにして、それがかずを幼く見せた。
「髪の毛クシャクシャになったな」
「さと...も....」
かずの髪を直そうと手を伸ばしたら、かずの手も俺の髪に伸びてきて、優しく髪を整えてくれる。
その手を捕まえてチュッとキスして、かずの髪を直してやった。
キスされた手を見て、パッと真っ赤になったかず。
可愛くて抱きしめたくなったけど
「スーパー行こうか」
「ん」
赤い顔で頷くかずと手を繋いだまま、スーパーへの道を歩いた。