船をおりた後はライブ会場に向かう。
会場から見た海に夕焼けが映えて綺麗だった。
その日は初めての会場でのリハーサル。
翌日からもリハーサルが続く。
取材もあったりして、ハワイでのライブに向けて気持ちも高まっていく。
リハーサルにも雨が降り、想定内だねってみんなで笑って、ホテルの部屋で2人で過ごしていても、やっぱり気持ちは昂ったままで。
『ライブが終わるまでは禁欲ね』なんて言って、ただ抱き合って眠った。
そうやって迎えたライブの当日。
暑さも凄くて、少し熱中症気味だったからなのか、俺は持病の腰をやっちゃって。
だけど、その事でライブのクオリティを下げるなんて絶対に嫌で。
潤くんの『スライドアップする?』って言葉に
『大丈夫』
って答えてた。
大丈夫って答えた以上、俺は誰にも気づかれないくらい完璧にジャンプアップしてみせる気でいたけど、いつもなら俺の意見を黙って受け入れてくれるさとしが
『スライドにしようよ』
って言ったその声が、無理するなって聞こえて
『その方がいい?』
なんて、答えてた。
潤くんは、言質を取ったとばかりにスライドにするって宣言するように言って。
俺は素直にありがとうって思った。
俺のことを、俺よりも分かってるのはさとしで、俺の腰は翌日のライブの寸前まで休んでいなきゃイケナイような、ギリギリの状態だった。
ライブの途中からはみんなに支えられて、なんとか最後までやりきった。
その晩は、久しぶりにさとしと離れて眠った。
日付が変わる頃まで、念入りにマッサージを受けて、そのまま眠ってしまったから。
翌朝目覚めると枕元にさとしが居て、びっくりしたけど嬉しかった。
「お前、戻ってこなかったから、よっぽど酷いんかと思ったけど、眠れたなら良かったな」
もうマネージャーから何かを聞いたんだろうね。
少しだけホッとしたって、顔をしてるさとし。
「うん。ギリまで休んでれば今日はちゃんとやれる」
「ん。ゆっくりしとけ」
頷くとさとしの唇が降ってきて、甘く優しいキスが繰り返される。
触れるだけなのに、じんわり痺れるように気持ちいいのはなんでだろうね。
あなたに触れられるだけで、気持ちよくなっちゃうのは、どうしてかな。
俺があなたを好きすぎるせいかもしれないね。
離れていく唇が寂しくて、ずっと目で追いかけてたら、部屋のチャイムがなって
『かずくーん?起きてるー?』
って、相葉さんの声。
すっかり素に戻っちゃってるよ、あの人。
仕方ねぇなって顔して、さとしがベッドから立ち上がった。