「んんっ」
ぎゅっと抱きついたら、さとしの口から声が漏れた。
その声も愛しくてもう1回鼻にチュッとしたら、さとしの腕に抱きしめられた。
「.....ん...かず....」
まだ寝てるのに、俺の名前呼ぶの?
なにそれ。
すごい嬉しい。
愛されてる。
恥ずかしいけど、そんな言葉が頭に浮かぶ。
「さとし.......」
温かい胸の中でさとしの匂いに包まれてる。
もう一度、こんなに優しい気持ちでこの人の名前を呼べる日が来るなんてね。
指も
髪も
吐息までも
俺の全てはこの人のものだと教えこまれるように抱かれて、同じように俺に全てをくれようとするこの人を受け入れた。
「さとし......」
んんって少し身じろぎするさとし。
温かい腕の中をすり抜けて、さとしの顔を見下ろす。
セットしてないふわふわの髪がさとしの形のいい額にかかってる。
綺麗な目は閉じてても、長めのまつ毛に縁取られて美人だってわかるよね。
唇はふにゃっと緩んで、少し隙間が開いてて。
「.....本当に綺麗な人」
初めて会った日から、ずっと好きだった。
見た目からだったけど、知れば知るほど謎だらけで面白くて、そばにいるのが幸せに感じるようになって。
「大好きだよ.....」
チュッチュッて鼻や頬にキスをしながら、バカみたいに気持ちがこぼれる。
「さと.....好き.....大好き....」
きゅっと抱きついたら、さとしの腕にまた抱きしめられた。
「なんなのお前。可愛すぎだろ」
響いたさとしの声に顔を上げたら、優しく俺を見つめる目がそこにあった。