さとしのマネージャーの運転する車に乗せられて、手をぎゅっと握られてる。
マネージャーは繋いだ手を見て、少し笑った。
それから、明日の迎えは大野さんの家で良いですかって、俺に向かって聞いた。
本当によく出来たマネージャーだよ。
別れる前から俺たちについててくれた人だから、全部見透かされてそうな気がする。
「新米には私の方から連絡しておきますので」
って、俺のマネージャーへの連絡も引き受けてくれて、ありがたいやら恥ずかしいやら。
どんな顔してりゃいいのか分かんないから、窓の外を見てた。
途中にあるドラッグストアで車が止まって、さとしがスルッと降りていった。
戻ってきたさとしの手にはビールやツマミの入った袋が2つ。
「そんなに買ったの?」
「ん?今、家に何にもねぇからな」
「そうなの?」
「うん」
また、手を繋いで窓の外を見ながら車に揺られていた。
「お疲れ様でした。.....程々にしてくださいね」
「おう。おつかれさまー」
「.....お疲れ様」
よく出来てるって思えばいいのか、お節介なのかちょっと迷うけど、良い人には違いないマネージャーに挨拶をして車を降りた。
ドンッ
玄関が閉まると同時に、さとしに壁に押しつけられる。
俺が知ってた場所とは違うそのマンションの玄関は、それでも俺の知ってるさとしの部屋の匂いがした。
塞がれた唇の隙間から熱い舌が滑り込んできて、俺の熱を上げていく。
どうしようもなく震える身体を、さとしの背中に手を回して支えた。