「んんっ」
わざとらしい咳払いが聞こえて、おーちゃん...じゃなくて、さとしから離れようと胸を押したけど、ぎゃくに強く抱き寄せられて密着してしまった。
「ちょっ、さとし.....」
「なんだよ」
「ちょっと離れてよ」
「嫌だ」
「嫌だって.....」
「ずっと離れてたんだから、もう離れんのヤダ」
子供みたいなこと言って、俺をぎゅうぎゅうに抱きしめるさとし。
.....嬉しい。
どうしよう。
顔がニヤけそうなくらい嬉しい。
参ったなって思って少し目を伏せたら
「お二人さん、そろそろいい?」
「智くーん、お仕事ですよー」
「はいはい、にのちゃんはこっちね」
しまった.....。
さとしの雰囲気に流されたけど、ここミーティングルームじゃん。
幸い嵐さんしか居なかったけど、思いっ切りイチャついてたのを自覚してるだけに、恥ずい。
いくら気心知れてるメンバーだからって、メンバー同士の恋愛事情なんて知りたくもないに決まってるし.....もう、どうすんだよ。
そんなこと考えてる間にも俺は相葉さんに、智は翔ちゃんに捕まって、間に20センチくらいの隙間をあけて座らされる。
俺たちの向かい側のソファーには、真面目な顔した3人。
潤くんと目が合って、照れくさくてヘラっと笑ったら、じーっと見つめられたから大丈夫って気持ちを込めて、コクンと頷いた。
そんな俺に、ニヤッと笑った潤くん。
「元サヤってことで良いの?」
さすが潤くん、どストレート。
「おう。かずはおいらのだから、お前ら抱きついたりすんなよ」
って、さとし?
それより前に言うことあるよね?
「良かったねー。やっと元に戻ったんだねぇ」
相葉さんも、それ、素直すぎるでしょ。
「いや、えと、そうゆう事なの?」
翔ちゃん、それが正解です。
普通の人の反応はそれが正解だと思う。
「カズ?それで良いの?」
心配そうな潤くんの顔。
優しいなぁ。やっぱり。
「えっと、もう一回おーちゃん.....じゃなくて、さとしと2人になります。迷惑かけないようにします。許してください」
ペコッと頭を下げた俺。
それを見て、横で慌てて頭を下げてるさとし。
「お願いします」
って、言ってくれるんだね。
そんな事がすごく嬉しい。
そんな俺たちに、優しく笑う3人が当たり前だろって言ってくれて。
何かあったとしても、俺たちは5人で運命共同体なんだから、変な遠慮すんなよなんて、泣けちゃうような事言ってくれて。
さとしがスッと握ってくれた手の温かさを感じながら、この人たちの為にもきちんとしようって思った。
幸せな時間が、また始まった。