「ふー、お腹いっぱい」
「よく食べたなぁ」
「うん.....くるし......」
「そんなにか」
「うん、美味しかった。ごちそうさまでした」
「おう」
お腹いっぱいって言いながら、おいらの指を自分のぷくぷくになったお腹の上でいじってる。
口がちょっと尖ってて、夢中になってるのが分かった。
おいらの指をくすぐるようにしたかずの手をぎゅっと握ったら、その手を見つめた後、おいらの方を見た。
「なあに?」
「ん?可愛いなぁって」
「なによ、可愛いって。いつも言うけど俺、オトコなんですよ?」
「分かってる。でもかずは可愛い」
「ふふ。ブレませんね」
「当たり前だろ。お前はずっと可愛い」
「ありがとうございます」
ちょっとムッとして見せても、おいらの言葉ですぐにふふって笑っちゃうかず。
こいつがオトコなのは充分知ってる。
実は男気があって、後輩の面倒見もよくて、先輩にはきちんと気を使えるヤツ。
おいらの恋人はそんなヤツ。
だけど、誰より寂しがり屋で。
心を許した人間にはトコトン甘えるところもある。
共演した後輩に「構ってください」なんてメール送ったり、お前本当においらをどうするつもりなんだ?
構って欲しいならおいらに言えよ。
寂しい時も嬉しい時も、いつだっておいらにって思ってんのに。
この慎ましいオトコは、おいらの仕事のスケジュールやなんかを考えて、我慢してたりするんだよ。
もしも計算だとしたら、大したもんだよな。
そんなお前を見て、おいらはますますお前に惚れてくんだから。
まぁ、もちろん計算なんかなわけないんだけど。
おいらの負担にならないようにって、極力連絡も控えるとか、本当、健気なんだよなぁ。
コテっとおいらの肩に頭を預けて包まれた手を見てるお前は、誰よりも可愛くて愛しい俺のオトコだよ。