ザッとシャワーを浴びて、髪と身体を洗う。
まだちょっと肌寒い季節だけど、シャワーで充分だと思うくらいには気温も上がってる。
普段はお湯につかってゆっくりすることもあるけど、今日は准一くんが来てるから、サッと泡を流してタオルで水分を拭き取った。
「お待たせしました」
「おー、湯上りニノは色っぽいなぁ」
「オッサンかよ」
「お?口悪いなぁ。バンビに言いつけるぞ」
「後輩に色っぽいとか言うからですよ」
「本当のことだからしかたないだろ」
「そっちこそ、しょーちゃんに言いますよ」
「げ。マジでやめて。あいつお前のことに関しては冗談通じないもん」
俺のことからかって遊ぶつもりが、すっかり慌ててる准一くん。
タオルを首にかけたままで、冷蔵庫からビールを取り出してラグに座ってる准一くんの前に座った。
「ん、とりあえずカンパーイ!」
「カンパーイ」
缶のまま飲んでる准一くんに合わせて、俺も缶のままビールを飲んだ。
風呂上がりの乾いた喉に染みわたる。
「美味いっ」
「美味いな」
「あ、なんかツマミ出しましょうか?あとグラスとか」
「ん、あー、今日は乾きもんとチーズくらいで良いよ」
「はいよ。ちょっと待っててくださいね」
「おう」
キッチンで、ツマミに買ってあるチーズと、ナッツ類を皿に適当に出して、グラスを2個持ってラグに戻った。
「はい、どうぞ」
「お、サンキュー」
グラスにビールを注いでもう一回カンパイすると、ポリポリとナッツを摘みながらビールを飲む。
「で、アレはいつ見せてくれんの」
「本当に見たいの?」
「ばーか。今日はそれがメインだろ」
「はぁ?もう。はいコレ」
テレビボードの中に入れておいた手のひらサイズの箱を取り出す。
准一くんは丁寧に手に取ると「開けていい?」って聞いてきたからコクンと頷いた。
そっと箱を開けて、ジーッと中身を見て
「なあ、つけてみろよ」
「え、やだ」
「なんでだよ」
「なんか恥ずかしいじゃん」
「いいだろ、つけてみせて」
「もう、わかりましたよ」
箱を受けとって中でキラキラ光るソレを薬指に滑らせた。
「うわぁ。マジか!左手薬指かよ」
「うっさい」
「翔、マジなんだな」
「もー、うるさいよ」
「ニノ.....」
「何よ」
やめてよ、そんな真面目な顔。
突然、真面目な顔で俺を見つめる准一くん。
それからすごく、すごく嬉しそうに笑って
「ニノ、良かったな」
って。
俺のことぎゅっと抱きしめた。