「やっとか」
「長かったな」
「がずぐーんよがっだねぇ」
ずびびびーっと鼻をすする音と共に、親友に抱きしめられてるカズ。
えっと、なんでだ?
俺とカズが楽屋の扉を開けて、おはようって一言言ったら、その返事がこれっておかしくないか?
今日、付き合うことになったって報告しようと思ってたから、良いんだけど、良いんだけどなんでだ?
俺が悩んでる間にカズは翔さんに抱きしめられて、今は大野さんに引っ張られて大野さんにぎゅうぎゅうに抱きしめられてる。
いやいやいやいや、おっさん。
それはやり過ぎじゃね?
カズはおれのだし、そんなぎゅうぎゅうされたらなんかヤダ。
文句言ってやろうと思って口を開いたら
「潤、お前気をつけろよ。こんなカズ、危なすぎるぞ?」
「その通りだよ智くん」
「そうだよね。可愛いからついつい夢中になっちゃうのも分かるけど、潤ちゃんが気をつけてあげないと、そのうち襲われちゃうよ」
3人に頭やら、頬やら、尻を撫でられながら「そんなことないよー」とか、言ってるカズ。
待て待て、頭や頬はともかく、尻撫でられるってダメだろ?
大野さんは要注意だな。
昔から、大野さんとカズのスキンシップは激しかったし、若干やり過ぎだと思うこともあったけど、もうカズは俺のなんだからやめてもらわないとな。
それに、なんと言ってもカズの自覚が足らないのも、ちゃんと言ってきかせないと。
仲良くなると誰にでもスキンシップが激しいし、もともと距離感がバカだし、それで言ったらメンバーには気を許しすぎだし。
特に大野さんには許しまくってるし。
てか。あの2人ってどこまでしてんだ?
ツンツン
なんだよ、考え事してんだよ。
ツンツン
上着の裾を引っ張られて、なんだよってそっちを見たら、真っ赤な顔のカズがいた。
「え?カズ、どうした?」
「..........」
なんか恥ずかしそうに、口をむーってしてる。
可愛いなぁ。
「潤、お前。心の声が全部漏れてる」
「は?」
「潤ちゃん。恥ずかしいよ?」
「え?」
「潤、俺とかずはひとつのベッドで寝る仲だぞ。チューも深めのチューもしたことあるぞ」
「えええーーー!!!!」
カズを後ろから抱きしめながら、ニコニコ話してるおじさん。
それはダメだ。
「だっ、ダメだろ。もうこれからはチューもダメ!一緒に寝るのもダメ!」
「潤、ケチだな」
「何言ってんだ!当たり前だろ」
「一緒に眠っちゃダメ?」
「カズ~」
「おじいちゃんみたいなもんだから、大丈夫だよ?」
ふたりで顔を見合わせて『ねー』って言い合う大宮コンビ。
俺の恋は前途多難.....なのか?
違うな。
3人が見たことないくらい優しい顔してるから、俺たちのこと、マジで喜んでくれてるってわかるよ。
ありがとうってなかなか言えないけど、今日は言ってみようかな。