いつもより早く目が覚めて、そんな自分に苦笑いする。
ぐるぐる巡る思考回路を抱えたまま、浅い眠りについたのは、朝に近い時間だったのに。
緊張なのかな、やけにスッキリしてる頭。
起き上がって洗面所で顔を洗ったら、真っ直ぐな目をした俺がいた。
あー、覚悟決まってんだなって、自分の事なのにそう思って。夢で潤くんに言ってたセリフを思い出す。
言えるのか?
言えないだろ。
夢の中で、俺は潤くんに抱きしめられて
「好きだよ。ずっと好きだったよ」
って、泣きながら言ってた。
決して、現実にはならない夢。
夢の潤くんは俺の髪を優しく撫でて、頬に優しいキスをくれた。
あの頃と同じ、優しくて泣きたくなるようなキスだった。
眠る前に決めてたのは、恋人の存在を確認することと、自分にもそうゆう相手がいるって話すってこと。
潤くんは俺のことなんて、別に何とも思ってないんだろうけど、俺がなんてゆうか、背水の陣みたいな。もう潤くんには戻らない。戻れないって自分を追い込もうとしてるだけ。
きっと智はバカじゃんって、お前は本当に不器用だなって笑ってくれるから。
だから、今度こそ、この恋から卒業しよう。
行き場を塞がれた想いを、解放してあげよう。
この胸の痛みも。
きっと思い出になるから。
「よしっ」
顔をパチンと挟んで、気合を入れる。
「俺、まだイケてるな」
鏡の中の自分に声をかけて、潤くんを想う最後の日が、イケてる日で良かったなって、女の子みたいなこと思ってた。