恋人になってからの雅紀は、めちゃめちゃ可愛かった。
いつもニコニコしてて、素直に好きって気持ちを表現してくれて、しょーちゃんしょーちゃんって、話しかけてくれる。
そのくせ俺を求めるときは、別人のように色っぽくて。
漏れる吐息だけでイッちゃいそうなくらい。
マジで、俺は文字どおり雅紀に夢中だった。
だけどガキっぽい見栄で、そんな自分を素直には出せなかった。
「しょーちゃん」って甘く話しかけてくれる雅紀に「なんだよ」って、大人のフリしてカッコつけて返事してた。
雅紀を抱くときも、恥ずかしくて好きだとか愛してるなんて言えなくて、気持ちが伝わるように、祈るような気持ちでキスをした。
だけど、やっぱり不安にさせてて
もしかして、もう飽きちゃった?とか、思わせることになった。
そんな風に雅紀が悩んでることだって、俺は自分じゃ分からなかったんだよ。
なんとなく、少し距離があるような。
側にいるのに、雅紀の笑顔を見てないような気がしてきて。
そんなことに、ある日突然気づいた。
気づいたとたんに、すげえ怖くなった。
雅紀は、俺をまだ好きなのか?
たまたま、遠くでのロケが中心の時期で、しかも5人じゃなくて、ふたりか3人での仕事が続いて、雅紀とは3週間会えない日々を過ごしてた
そんな時、二人での仕事でニノと会った。
仕事が終わって着替えをしてるときに、ニノが夕飯に誘ってきた。
「翔ちゃん、ご飯連れてってよ」
俺も、誰かに相談したかったから、二つ返事で良いよって返事をした。
俺が予約した個室で飲める居酒屋。
俺の向かいにはニノと何故か智くん。
「翔ちゃん、まーくんのこと、壊さないでよ」
食事を終えた俺に届いたのは、ニノの、愛想もへったくれもない声だった。