「すみません。他のメンバーを連れてきますのでここで待ってて下さい」
マネージャーさんがスタジオの駐車場に停めた車から降りていった。
今日は3人はレコーディングで、俺としょーちゃんはソロの振り移し。
午後からは、雑誌の撮影に移動ってことで、今、3人をスタジオに迎えに来てる。
しょーちゃんは、ずっと寝てるみたいだったし、俺も窓の外を見てボーッとしてた。
マネージャーが降りてくときに「はい」って言っただけ。
起きてたんだって、ちょっとビックリした。
それでも話しかけることも出来なくて、ちょっと居心地の悪さを感じながら、スタジオの方を見た。
「なあ」
話しかけられるとは思ってなくて、認識できなかった声。
「なあっ。聞こえてる?」
少しだけ苛立ったように聞こえる声に、ビクッとして話しかけられたことをやっと認識した。
「えっ!あ....ごめんなさい。なん....ですか?」
「俺って、そんな怖い?」
「へっ?」
聞かれたことの意味が分からなくて、間抜けな声が出る。
「相葉くん、ニノとか潤と話すときは普通なのに、俺にはいつもビクついてるように見える。俺って怖い?」
「あ、いや、あの、かずくんはずっと仲良しだからっ。で、潤くんは、前から話してたしっ。あれ、何言ってるんだろう」
「うん。大丈夫、分かるよ」
怖いって思ってる訳じゃないって伝えようとして、何て言ったら良いのか分からなくて、ちょっとパニック。
そしたら、しょーちゃんが大丈夫って少し低い声で言ってくれた。
その声にほっとして落ち着きを取り戻して、もう一回口を開いた。
「あの、怖くない....です。怖くないけど、何話したら良いのか分かんなくて。かずくんは大野くんのそばに行っちゃうから、どうしたら良いのかわかんなくなって....」
「ごめん!俺が悪かった。相葉くん、大人しくて自分から話しかけるの苦手なの分かってたのに、放っておいた俺が悪かった」
「へっ?」
「いや、ニノが、智くんに付きっきりだから、気になってたんだけど話しかけると、いつも顔が少しだけ固くなるから、怖がられてんのかなあって思ってて、ごめん!俺が悪いわ」
話してる途中で突然謝られて、何のことって思ってる間にしょーちゃんが、だーーーっと話し出して。
ああ、かずくんが言ってたのはこうゆうことかって思った。
『翔ちゃん、取っつきにくそうだけど、すごく真面目な良いお兄さんなんだよ』
本当だね、かずくん。
しょーちゃんは、優しい人だね。
思いきって呼んでみようかな?
怒らない?
怒らないよね?
「しょーちゃん」
パッと俺を見たしょーちゃんの顔。
キョトンってして、すぐに顔中で笑ってくれて。
グイって引かれた腕。
ぎゅって抱きしめられて。
「お前、可愛いな」
その後も笑ってる方が良いとか、色んなこと言ってくれたけど、最後に言ってくれたこと、今も忘れてないよ。
「俺たちは5人でひとつのチームなんだから、俺たちは絶対にお互いの味方でいよう。俺が相葉くんのことも守るからな」
だから大丈夫って、頭を撫でてくれた。
しょーちゃん、あの日からずっと、その言葉が俺の支えなんだよ?
しょーちゃんは、覚えてるかな?