「ねぇ、おーちゃん」
最近、少しだけ隙間のあるにのちゃんとおーちゃん。
しょーちゃんは俺に任せとけって言ってたけど、たぶん何にも言えないよね。
今だって、タイミングを伺いまくって、自分の考えの無限ループにはまってそう。
それなら俺が話しかけようって思った。
こんなとき、にのちゃんは絶対に素直になったりしない。
まして今はまだ仕事の合間で、楽屋にはメンバーが揃ってる。
人一倍気遣いの出来るにのちゃんが、このタイミングで、この場所で素直になんてなれるわけないもん。
だから、おーちゃん。
おーちゃんなら、話してくれる気がする。
にのちゃんは、なんか、ややこしいこと考えてそうだけど、おーちゃんはストレートだから。
そう思って、おーちゃんに声をかけたら、間髪入れずににのちゃんが立ち上がって「トイレ」って言って楽屋を出ていってしまった。
それは、想定内。
その方がおーちゃんは、色々話してくれるかも知れないって思ったしね。
「ねー、おーちゃん。なんでにのちゃんを避けてるの?」
「は?」
「しょーちゃんには聞いてないの!お口チャックだよ?」
「あ、ごめん」
突然返事をしようとしたしょーちゃんに注意をして、おーちゃんに向き直る。
「おーちゃん?」
「相葉ちゃんは、かずが嘘ついてたらわかる?」
「へ?にのちゃん、なんか、嘘ついてるの?」
「わかんねえ」
「ああ、だから」
「うん」
「うーん。分かると思うけど」
「じゃあさ、かずが戻ってきたらおいら話しかけるから見てて、そんで教えて?」
「うん、分かった」
いつになく真剣な顔のおーちゃん。
おーちゃん、何を不安に思ってるの?
泣きそうな顔でにのちゃんを見てるのに、どうしてにのちゃんがおーちゃんを振り向く瞬間に目を反らすの?
にのちゃん、気づいてるよ?
おーちゃんが、にのちゃんと目を合わせないようにしてること。
目を反らしたおーちゃんを一瞬寂しそうに見て、その後少しだけ笑うの。
笑ってるのに、泣いてるみたいに見えるんだよ。