今回、日野レンジャーという4トントラックを運転する機会を得たので少しレポートしてみたい。
まず、4トントラックとはなんぞやというと、大型トラックに対して中型トラックのことを総称して
いうらしい。しかし、中型とはいうものの、そのボディーサイズは乗用車とは比べものにならないほど巨大で未経験者がいきなり運転できるようなレベルではない。車幅はワイドボディーの場合 2m49cm 全長は長尺モデルだと 9m を超える物もあり、これはもう化け物級だ。また、免許制度について少し触れておくと、以前は普通免許を取得すると誰でも中型トラックを運転できたのだが、2007年から中型免許は普通免許から分離され、運転に際しては新しく中型免許を取得しなければならなくなった。では2007年以前に普通免許を取得した人はどうなるのかというと、新しい中型免許が車両総重量 11トンまでなのに対し、8トンまでの車両であれば従来どおり運転することができるというものになった。ちなみに僕の免許はこれに該当する。
さて、僕が試乗したのは 6メートル級の短尺モデルで車幅は 2m20cm これはアメ車のフルサイズカーより二回りはデカい。しかも、ドライバーズシートの着座位置がとてつもなく高く、キャビンへは、まさに よじ登るといった表現がピッタリだ。そして、シートに座ると、そこには今まで見たこともない景色が展開する。そう、なにしろアイポイントが軽く 2m 以上あり、大型車以外の車はすべて見下ろすという絶景なのだ。こういった部分もボディーサイズの大きさを痛感するポイントになっているのは間違いない。
早速、エンジンをスタートさせて軽く暖気を済ませたあと走り出してみる。第一印象は、やはりそのデカさだろう。それはもう笑うしかないといったレベルだ。なにしろボディーサイズをまったく把握できていないので、常に左右のミラーを確認して進路を逸脱していないかチェックしなければならない。さらに、奇しくもバックミラーが大型トラックと干渉する高さにあるため、並走する大型車とのミラークリアランスはギリギリになる。かといって、それを気にするあまり左に寄せすぎると今度は標識や電柱にヒットするというジレンマがあるので、運転に際しては細心の注意が必要だ。
僕の乗ったモデルは6400ccのインタークーラーターボ付きのエンジンで、トルクは 63kgmもあり空荷のボディーを軽々と加速させることができた。ギヤ比は全体的に低く 2速発進はもちろん 3速発進も余裕だった。ゴーストップの多い状況下でのターボエンジンは大排気量NAエンジンのトルク特性にはかなわないが、このエンジン特性とギヤ比なら積載時においても十分なドライバビリティーを発揮してくれるはずだ。
さて、試乗もそろそろ終わりに近づいた。短時間の異次元体験だったが、その巨大なボディーサイズによる運動神経の消耗といったら、まさに規格外のもので正直なところメンタル的にヘトヘトになった。ふと思ったのだが、この異様な感覚はどこかで体験したことがあるような気がしてならない。そう、あれは若き日のこと、バイトで稼いだなけなしのカネで取得した普通免許を握りしめ、父親に車を借りてドキドキしながら運転していたあのころと同じじゃないか。いつしか運転というものに慣れ、どんなに高価な車に乗っても新鮮さというものが無くなってしまった僕のカーライフだが、今回の試乗によって、あの日の新鮮な何かを取り戻せたような気がする。
J07E 6400cc ICターボエンジン
ここは国道ですが左右のミラーに映る白線は限りなくボディーとツライチ この車幅には
そう簡単に慣れませんって。 同乗者が撮影。