大きな変化はないが

 

英国では政権与党の保守党が議会下院選挙で大敗を期し、

労働党が政権を担うことになりました。

 

英国は日本と違い厳しい小選挙区制ですから、政権交代が行われます。

 

各党の議席獲得数を見てみます。

 

労働党                        412(+211)得票率32.1%→33.7%

保守党                        121(-250)得票率43.6%→23.7%

自由民主党                   71(+63)

スコットランド国民党       38(-38)

シンフェイン党                  7(±0)

リフォーム党                     4(+4)  得票率  2.0%→14.3%

緑の党                              4(+3)

ウェールズ党                     4(+2)

                                (得票率は2019年との比較)

 

労働党は2019年の選挙で大敗しましたが、

今回倍近く議席を伸ばしました。

 

では、得票数をそれだけ伸ばしているかというと、

1.6ポイントしか増えていません。

 

それなのに、どうして議席が倍加するかといえば、

得票数1位しか当選できない小選挙区制において保守党が

得票を失い、その分がリフォーム党などに

分散されたからだと思われます。

 

前回選挙で1位になった人が僅かに得票を減らすだけでも、

簡単に政権が交代するシステムです。

 

今回は、国民が保守党にやや厳しい対応をした、

ということのようです。

 

世論調査では、労働党の政策が良いので投票したという人は、

調査対象の5%しかなく、多くは「保守党に反省させるために

投票しなかった」と答えています。

 

政権交代があったので英国の政治が変わるのかというと、

どうもそうではなさそうです。

 

近年、保守党と労働との違いにそれほど

大きな差がないと伝えらえています。

 

そのため、対ロシア、対中国などの基本姿勢に変化はなく、

急激に政府が左傾化するということもなさそうです。

 

 

能力もなく退屈

 

新首相に就任したキア・スターマー党首は、

「能力はあっても退屈な男」と言われているようです。

まじめで面白味がない、という意味だとメディアで説明されています。

 

今回の選挙では、退屈であっても安定感がある

ということで評価されたようです。

 

どこかの国の首相のように、「無能で退屈な男」よりも

ずっと良いのかもしれません。

 

スターマー首相はEUとの関係は修復するとのことですが、

直ちにEU復帰することはないようです。

 

伝統を大事にする「紳士の国」のように言われている英国ですが、

「日が沈まない国」として世界を支配してきた強かさがあります。

 

ウクライナ戦争を長引かせている国の一つであることを、

承知してつきあう必要がありそうです。

彼らにとっては、戦争はビジネスなのでしょう。

 

フランスで与党が大敗しました。

こちらは保守陣営の躍進です。

 

カナダでは左翼のトルドー首相が、所属の自由党内部から

退任しろという声をあげられています。

 

イランでは、宗教指導者が指名した人ではない大統領が誕生しました。

 

実績や政策についてよくわからない人たちでも、

国の指導者に推される現象が生まれるという現象が発生しています。

 

わが国では自民党が左傾化したために、

国民の共産主義への警戒心が薄れました。

 

「立憲共産党」だとしても、政権を担わせてみようという

風潮が生まれつつあります。

 

反対ばかり、攻撃しか知らない政党や恐怖の共産主義者でも

許容されるのは、自民党の体たらくが原因でしょう。

 

そうそう、千代田区でも自民党議員団の左傾化が進行しています。

 

共産党や左翼議員たちと連携して行政や、

保守系議員を攻撃するのが日常茶飯事になっているようです。

 

彼らは、何を目指して浮遊しているのでしょう。