旧態依然

 

今日と明日、千代田区議会で各議員からの本会議質問があります。

本会議質問というのは、全議員が出席する正式な会議のことで、

正副区長を始めとした主要幹部職員が出席します。

 

千代田区の場合は、通常の本会議質問が「代表質問」と

「一般質問」に分けて行われます。

 

「代表質問」というのは、会派の意向をまとめて

一人の議員が質問するものです。

 

論理的にいえば、「代表質問」の内容は会派を構成する

全議員の見解を拘束します。

議員の質問に対する区長の答弁と、幹部職員の答弁が

同じであるようなものです。

 

会派構成員の誰かが「その質問については、私は関係ない」となれば、

会派を代表する見解(質問)ということにはなりません。

 

「一般質問」というのは、各議員固有の権利です。

所属会派全体の意向に拘束されることなく、

議員個人の立場で質問できます。

 

「一般質問」は、議員個人の質問権に基づくものですから、

会派として責任を持つ必要がありません。

 

おかしなことに、会派の法的根拠もなければ、

「代表質問」にも法的根拠がありません。

千代田区議会では、慣例が根拠になっています。

 

それなのに、「代表質問」は法的根拠のある

「一般質問」よりも重要視されています。

法制度よりも、感情優先の本会議質問なのです。

 

もし、区長や幹部職員が「法的根拠に基づかない質問には、

答える義務がありません」と対応したら、

「会派を侮辱した」と大騒ぎになることでしょう。

 

ほとんどの議員が、「代表質問」のことを勘違いしているか、

知らないので大騒ぎするのです。

 

千代田区区議会が、どうして「代表質問」を導入したのかはわかりません。

自治権拡充で、国会のやり方を参考にしたのかもしれません。

 

(昔の)自民党の古参議員から、「代表質問があれば、

個々の議員が一般質問をしなくてすむから」

という解説を受けたことがあります。

 

一般のまちの人が議員になって、いきなり質問などできるわけがない。

それをカバーするのが「代表質問」だった、という話でした。

 

実際、20年ほど前までは本会議質問する議員は多くありませんでした。

 

法的根拠のない会派のほうは、便宜的に存在しています。

議員数が多いので、「団体交渉」のための会派が必要になるのでしょう。

 

政務活動費は、その会派に支給されています。

 

状況が変わった

 

今回の千代田区議会定例議会では、22人が本会議質問します。

現在は一名欠員でしから、24人の議員数になっています。

正副議長を除く、全議員が本会議質問をすることになります。

 

全議員が質問をするというのは、とても良いことです。

ぜひ、委員会(詳細な質問ができる)でも、

活発な質問をしてほしいものです。

 

委員会で行政側(正副区長や幹部職員)と丁々発止するときには、

議員個人の力量が試されます。

本会議質問と違って、基本的には原稿なしの質問になるからです。

 

本会議質問は「議会だより」にも掲載されますので、

支持者がそれを読めば「仕事をしている」と安心することでしょう。

本会議のインターネット視聴もありますので、

一定のアピールにもなります。

 

ただ、全議員が質問する状況にまで活発化すると、

「代表質問」がなぜ必要なのか、さっぱりわからなくなります。

法的根拠のないものを、後生大事にする意味がわかりません。

 

「これまでやってきたから」・・・・・・ただそれだけなのでしょうか。

「代表」というと、存在感を示す感じがするからなのでしょうか。

 

仮の話ですが、行政が法的根拠のない事業に

大量の税金を費やしていたとします。

それを知った議員は、「法的根拠を示せ」・「事業成果を示せ」

となりませんでしょうか。

 

行政に対しては厳しい議会ですが、

自己チェックのほうはほとんどしません。

法制度上の根拠がない自分たちの「既得権?」を、

見直さないのが議員の皆さんです。

 

「保守」は現状を変えたくない人たちのことだとか、

アメリカの言いなりになっている人だと思っている人がいるようです。

 

そういう人が多いのは事実ですが、最近は違います。

「保守」は、日本の伝統と文化を大事にする、

国民の国家を大事にするということと理解されています。

「自主独立派」と表現したほうが、正確かもしれません。

 

千代田区議会では、「保守」議員が現状維持を訴え、

革新系議員(左翼)が改革を進めてきたわけではありません。

 

たとえば、議員定数削減を過去2回行いました。

たとえば、本会議場を区民開放可能な構造にしました。

たとえば、区庁舎1階に発達障碍者が

勤務できるパンショップの開設の道を開きました。

 

これらは、自民党(保守派)議員や公明党などが

取り組んできたものです。

 

彼らは目立った「改革」を旗印にしませんが、

確実に議会改革に取り組んできました。

(そう意識していたかどうか怪しいところはあります)

 

最近、「千代田区議会が何か立派なことをした」という話がありません。

「保守議員」と言われる人たちが、自信を失ってしまったのでしょうか。

それとも、自民党の多数派が左傾化しているからなのでしょうか。