何のためにいるのか

 

知人の元千代田区職員が、最近よく嘆きます。

区の重責にある人や千代田区議会議員が、

大局的な立場にたって仕事をしていないことに対するものです。

 

彼の認識によると、「まず自民党議員のスタンスが

わけわからなくなった。党内に左翼よりもサヨクと思われる

議員が何人もいる」、というのが第一に嘆きです。

 

それはいま始まったわけではなく、

そうなってから1年以上も経っているものです。

 

左翼議員を使って自分の発言権を強化する自民党議員は、

昔からいました。有名な元都議は、その道の匠でした。

千代田区の自民党議員としては、珍しく戦闘的な人でした。

 

50年前の自民党議員は、地域の名士が多かったと記憶しています。

それまでは周囲から攻撃されることが少ない人でしたので、

攻撃上手な左翼議員に対して論争できません。

 

事業に成功した人、地域貢献をしてきた人が揃っていましたが、

政策を考えるなどということは、まずありませんでした。

議会は、彼らが暮らしていた世界とはまったく違います。

 

当時の議員には、けっこうわがままな人が多かったようにも思います。

お互いに「〇〇先生と呼び合って、優越感に浸っていた感じでした。

 

鎌倉勉さんという古参議員(当時)が

「お互い先生と呼ぶのをやめよう」と、

本会議で呼びかけたことがあります。

議員を〇〇先生と呼ぶのは、聞いて気持ちがよくありませんし、

区民との間に壁を作ってしまいます。

 

この提案は画期的で、じんわりと浸透しました。

提案が議員バッヂをつけなくてもよいということにつながり、

それまでは真夏でもスーツ姿が半ば強要されていたものが、

夏服で登庁できるようになりました。

例の「クールビズ」の提案は、それよりずっと後のことです。

 

服装は自由になりましたが、「先生」呼称にこだわる議員がいました。

あるベテランの女性議員は「先生」を呼ばないと、返事もしません。

「あんたね、私のことを馬鹿にしているの」、という感じです。

 

ある日、彼女の元の職業が学校の先生であることがわかりました。

 

このこだわり、区政にとってはまったく意味がありません。

 

……話をそらしてしまいました。

 

自民党議員が「個人」として、左翼議員を利用することはありましたが、

組織的にこれを行うというのは、いまの自民党多数派が初めてです。

やっていることに矛盾を感じないのが、不思議です。

 

彼らが左翼議員の立場に立って、行政、少数派の自民党議員、

他の議員を攻撃するのです。

 

激しい議論を行うというだけなら、何の問題ありません。

区長に対して厳しい攻撃があっても、それは職務上のものでしょう。

 

しかし、「反樋口区長」を目的化したものだと、

政策論議とは言えません。

今のように相対的多数派の自民党が分裂をして、

お互いがいがみ合っている状態ではどうにもなりません。

 

区民の多数意思が分裂していることと同じですから、

幹部職員としては傍観するしかなくなることでしょう。

余計なことをすると、攻撃の対象になります。

 

結果として・・・・・・区政が沈滞することになります。

可もなく不可もない、覇気のない区政になってしまいます。

今の千代田区がそうでしょう。

 

 

責任転嫁はまずい

 

職員に覇気がない、職場が暗いというのは基本的に区長の責任です。

組織ぐるみの情報漏えいがあった場合も、区長に改善の責任があります。

体質改善を地域の人に、責任転嫁をするようなことがあってはなりません。

 

何か事件が起きて、それに対応するために

第三者機関的なものを設置する、幅広い視点から問題点を

検討していただくということがあるでしょう。

 

この場合でも、区長や区幹部職員がやるべきことまで、

第三者機関に委ねては無責任という話になります。

 

第三者が検討しようにも、「事実関係」が整理されていないと、

対応のしようがありません。

外部から庁内の問題点を鋭くえぐることなど、まずできません。

役所内を外から「窺う」というのは、

それほど簡単なことではないのです。

 

第三者委員会は、検討組織の事務局を担う区職員の

提示する「資料」に基づき、結論を導くことになると思われます。

その結果、区として「やりました」

というアリバイにされるかもしれません。

 

つまり、組織ぐるみの体質は改善されないということです。

区長・幹部職員・議会が一緒に「考えないと」、

今回の情報漏えい問題は整理できないのに、それをやりません。

為政者に不利になるような結論は出ない、と思ったほうが良さそうです。

 

一定規模になると、役所の情報漏えいは必ずというくらい発生します。

課題を考えるとしたら、どこまで「情報漏れ」を

制御できるかということではないでしょうか。

 

職員が事件に巻き込まれないためにどうするか、

職員を守るための仕組みを考えるということは大事です。

今回の事件のように、責任を部下に押し付ける上司たちがいるからです。

 

役職のない職員で対策を協議してもらったほうが、

効果があがるような気がします。

効果的な方策は、内部の人間が考えるしかありません。

 

吉村被告(元区幹部職員)が証言して、それを司法が認めたように、

今回の情報漏えい事件は当時の副区長がらみの組織的事件ということです。

 

この件を区民の立場から整理するのは、議会の役割です。

その議会は、事件再発防止の委員会を作りました。

委員会として、何ができるかまったくわかりません。

 

法律を守らない人たちが委員メンバーにいますから、

それだけでも先が見えてしまいます。

 

本来なら、「100条調査委員会」で調査すべき課題です。

被告の裁判中は、委員会が機能しないことがあるでしょうが、

間もなく結審します。

 

入札情報漏えい事件は、議員と元幹部職員から逮捕者が出ました。

「ミッドタウン日比谷」の区有地無償貸し付け問題も、再燃しそうです。

どうして、議会はこれらを本格的に調査・研究しないのでしょう。

 

実態が明らかになると、困る議員でもいるのでしょうか。

まさか立場を超えてこの問題を、〇〇するということではないでしょうね。

 

・・・・・・都知事選が迫り、自民党は候補者を出さないで

小池百合子知事を応援するのかもしれません。

都政がカオス状態になります。

 

そのことが、議会に影響を与えているのかはわかりません。